大隅地域の林産業をモリアゲる講演会

椎野潤ブログ(大隅研究会第12回) 大隅地域の林産業をモリアゲる講演会

 

大竹野千里

令和5年7月15日に、鹿屋市森林認証協議会後援のもと講演会を実施致しました。

演者は、『株式会社モリアゲ』代表の長野麻子様。長野さんは、元農林水産省の官僚でありながら、日本の森を元気にすることこそ天命と、一念発起、起業されたバイタリティある方です。地元大隅選出の森山先生の強い推薦もあり、今回の講演会開催となりました。

長野さんには、日本林業の現状を分かりやすく解説していただき、森林の新しいビジネス(森林業)を具体的事例とともにお話しいただきました。

当日は林産業関係の方々はもちろん、地域行政、議員、一般の方へ幅広く告知し、約150人の方が参加されました。鹿児島県内でも林産業の盛んな大隅地域。大盛況のうちに終えることができました。参加された方は「新しい山ビジネスを知ることができ面白かった」「生物多様性(ネイチャーオフセット)が参考になった。」など、一人一人がより身近に林業を考える機会になったようです。

また、「定期的に講演会など実施してもらい、市民、業界一緒に勉強したい」「地域PR、子どもたちへのPRをお願いしたい」など、当NPOに対する要望も多く、今後も林業の啓発・広報活動を行っていきたいと思います。

さらに、長野さんの元上司でもあり、地元選出の森山裕代議士も会場にお見えになりました。挨拶の中で国政から見る鹿児島県林業に対する期待として、鹿児島県にも林業大学校を設立して欲しい、と話されました。それに対し鹿児島県塩田知事からも前向きな言葉を頂き、会場が盛り上がりました。

当団体に対しては「このようなNPO法人の団体があること、素晴らしいと思います」「定期的に講演会など実施してもらいたい」などあるなか、「森林資源のあり方について積極的にビジョンを示してほしい。」「大隅半島のまとめ役をして欲しい」など、具体的にかつ積極的な活動を望む声も多くありました。

2市4町という広域での活動となるとハードルも多くなります。一方で人材が多岐にわたるという利点もあります。しっかりとしたビジョンを示して、地域森林業を牽引していけるよう、今後も活動を充実させていきたいと思います。

 

まとめ 「塾頭の一言」 本郷浩二

森林を育てる時間が長すぎて、その間、森林はお金を生まないので、いつしか所有者はもとより、地域に住まわれている方の関心も地域の森林から離れていってしまいました。間伐などの手入れも不十分なのですが、森林の外から見ると、木は大きくなって緑が溢れているように見えるので、住民の皆さんからは特に問題意識も持たれず、山の風景として受け入れられている、というのが普通の状況であったと思います。

成長する森林が水を吸い上げるので、川の水量が昔に比べて減ったというようなことに気づかれる方もいらっしゃいますが、人間の時間に比べて森林の時間はゆっくり進んでいて、森林が地域において果たしている役割を忘れている、気づかないでいるということが普通になっていると思います。森林を利用することに地域の方々の様々な応援を得るために、ぜひ、普及啓発活動を続けてください。

長野さんは木材利用課長時代、私の部下でもあったので、当時「ウッドチェンジを合言葉に」と色んな場でアジらされました。今は全国を営業活動しているようですし、あいかわらずフットワークが軽いので、諦めずに地域の森林を使って地域を良くしていこうという方々のネットワークも作っていくようです。最近は一社一山なんていうことを言っているようですが、まとめようとしている森林を細かく分けずにやって欲しいですね。

普及啓発活動だけでなく、林業分野も政治力を持たなければ、社会に森を利用する意義が浸透していきません。農業のようにはなかなか票にならなくなったことが林業の政治力を維持できなかった原因と思います。これからは森林を使って生きる人が増えていくのですから、ぜひ政治力も身に着けていってください。

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