2026 年頭にあたって 塾頭 酒井秀夫

□ 椎野潤ブログ(塾頭 酒井秀夫 年頭所感)

年があらたまって初日を拝むと、今年が無事で過ごせますようにと祈らざるをえません。一昨年の元旦を襲った能登半島地震の復興は、多くの方々が努力されていますが、いまだに道半ばです。
昨年をあらわす漢字は「熊」でした。熊が市街地の建物や施設に侵入したり、人身被害も過去最多最悪でした。顕著になってきた気候変動の影響を自然界は敏感に反応しています。
一方、都市部では「米」ではなかったでしょうか。米の事業者向け販売価格は前年の1.7倍と言われています。米は私たちの死活にかかわっています。米の価格には経済や政策、心理などの人為的な要素もからんでいますが、生産される方へのリスペクトと消費する側の価格の折り合いをどうつけて、安心できる供給量を確保していったらよいのか。現実と理想の間の戦略が見えないまま年を越してしまいました。
水田には連作障害がありません。森林は土壌や山体にたくさんの水を貯え、水田に良質な水を安定供給しています。水にまさる肥料なしです。日本は瑞穂の国です。黄金の国ジパングの由来として、一面黄金色の稲穂という説もあります。近海の水産資源も森からの栄養が欠かせませんが、昨年は海水温上昇により昆布が不作でした。
当たり前がますます当たり前でなくなったのが昨年でしたが、「熊」も「米」もその共通しているベースは森林です。熊はやぶとなった休耕田や空き地に姿を隠して人前に現れるようになりました。休耕田を森林にするのか、円安下で輸入飼料に頼っている畜産業に対して飼料作物を育てるのか、あるいは太陽光発電用地にするのか。これからの土地利用にも関わっています。
幸い、戦後に造成された人工林が育ってきました。日本は工業国であると同時に森林国にもなりました。森林が国土の基礎体力となって、食糧とエネルギーの自給に大きく貢献できるようになりました。気候変動や環境緩和、水資源にも森林の役割がいっそう大事になってきました。これらの森林はいつでも伐れるかもしれませんが、ここであわてることなく、いろいろな選択肢がようやく揃ってきたととらえるべきです。森林は人間だけのものではなく、生きとし生けるものすべてのものでもあります。林業の担い手不足の中で、林業の本来の姿はどうあるべきか。未来の子ども達に顔を向けることができるようにしていきたいです。

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