日本社会改革先進企業に所属 意欲ある人達 デュアルライフに飛び込み 次世代への改革誘導 

日本の社会の変換点で2拠点居住(注1)に飛び込み、企業と社会の変革に挑む凄い人達が出現しています。この人達にとっても、エッジAI(注6)は、貴重なツールになると思います。積極的な活用を切願します。

 

林業再生・山村振興への一言(再開)

 

2021年9月 (№141)

 

□ 椎野潤(続)ブログ(352) 日本社会改革先進企業に所属 意欲ある人達 デュアルライフに飛び込み 次世代への改革誘導  2021年9月21日。

 

☆前書き

日本社会を次世代へ前進させる先導企業に所属する意欲のある人達が、デュアルライフ(注2)に飛び込み社会を牽引してくれています。2021年7月5日の日本経済新聞がこれを取り上げていました。今日はこれを読んでブログを書きます。記事は以下のように書き出しています。

 

☆引用

「都市部と地方に家を構え、行き来しながら働く2拠点居住(注1)」が広がっている。かっては富裕層が別荘としてセカンドハウスを持つのが一般的だったが、今は違う。地域振興につなげたい自治体、アイディアを生み出したい企業が後押しし、気楽に「デュアルライフ」を楽しむ。暮らしと仕事を一体化し、都会と地方の二兎(にと)を追う。」(参考資料1、2021年7月5日、日本経済新聞から引用)

 

☆解説

三菱地所の藤井宏章さん(58)は、2拠点居住(注1)を始め、「デュアルライフ(注2)」を楽しんでいます。2015年、南房総に気に入ったところが見つかり、価格も納得できたので、家を建てました。家を建てるまでは、横浜の自宅から東京・丸の内のオフィスに通っていました。今は、横浜からオフィスに通ったり、南房総でテレワーク(注3)をしたりしています。

三菱地所は、新型コロナウイルスの感染拡大前の2018年から、社員の自由な働き方を推奨していました。テレワーク(注3)のほか、フレックスタイム制(注4)も導入していました。三菱地所は、都市開発を手掛ける企業ですから、社員は様々な地域と接点を持ち、いろいろなアイディアや考え方を身につけるべきだと、常に考えていたのです。

2019年には、勤務時間の10%以上を、通常業務以外にあてる制度も始めました。これにより、多くの社員が、仕事と生活の結びつきを強めることになったのです。

藤井さんは、南房総と東京の2拠点居住を始めてから、地域の草刈りや祭りなどに積極的に参加しました。熱心に地域社会に溶け込む内に、見えてきたものも多かったのです。

若者の流出が多いことを知りました。伐採されず荒れ果てた里山も目の当たりにしました。ここで思いついたのが地元の木材を使ったバイオマス発電事業です。藤井さんの仲介で地元自治体と三菱地所が事業化に向けた話し合いを始めました。

2021年4月からは新規事業の部署を兼務し、自らバイオマス事業も担当することになったのです。藤井さんは「生活や趣味と仕事がつながり、やり甲斐を感じるようになった」と言っています。

アクセンチュアの相川英一さん(45)も2拠点居住の実践者です。福島県会津若松市のスマート事業を手掛ける拠点で統括を勤め、同時に事業のクオリティの責任を持つディレクター(注5)として東京でも数百人の部下をもっています。2018年秋、会津若松市の仕事が始まった当初は、出張での対応を考えていました。でも、思い切って近くの猪苗代町の土地を購入し、家を建てたのです。相川さんは、「会津若松の仕事も長くなりそうで、本気で取り組みたいと思った」と言っています。

横浜市の自宅と猪苗代町の家を、1週間ごとに行き来しています。緊急事態宣言が発令された際は、猪苗代に1カ月滞在し、東京の仕事はリモートでこなしました。(参考資料1、2020年7月5日の日本経済新聞を参照引用して記述)

 

☆まとめ

2拠点居住は、富裕層だけの「モノ」ではありません。リクルート住まいカンパニーの調査によれば、2拠点居住者のうち、所帯収入が600万円未満の人が、34.4%に上るのです。投資金額は、それほど大きくないのです。500坪(1坪=3.3平方メートル)の土地が数百万円で購入できるのです。2拠点で生活しても、住民税を払うのは、原則1カ所です。月1回以上利用実態がある「居住用財産」とみなされれば、固定資産税などが軽くなるのです。最も低い場合だと、数万円に抑えられます。

地方自治体も2拠点居住を誘致しています。長野県佐久市は月2万5000円を上限に、新幹線の乗車券などを補助する制度を始めました。栃木市は空き家をリフォームした費用を、最大50万円まで、負担します。

 

このブログに登場した、三菱地所やアクセンチュアは、早くから働き方改革を進めていた先進企業です。でも近年は、2拠点居住・デュアルライフは、時代の潮流になっています。ですから、誰でも実施できる体勢になっているのです。でも、ここでは、実施する本人の信念が重要です。このブログに登場した藤井宏章さん、相川英一さんは、立派な信念をもって生きている人達でした。

 

お二人は、日本の社会が、今日の姿に進化してきたことに関して、大きな功労者です。藤井さんは、日本の働き方改革を先導しようとしてきた、先進三菱地所の改革を大いに具体的に先導し、今日の姿を実現しました。相川さんも、アクセンチュアという日本の企業の近代化を目指す会社に所属し、その具体的な改革に関して、事業を統率して、大きく前進させました。また、自治体が地域再生のために2拠点居住を使おうとしていた時、企業側のディレクター(注5)としてプロジェクトを統括し、その自治体の改革を大きく前進させました。

お二人とも、ご自身の生活を、デュアルライフに思い切って切り換えることにより、自身の生活も、勤め先の企業も、自治体も、迅速に進化させることに貢献したのです。それにより、デュアルライフ(注2)では、結局、住むことを「どう楽しむか」、仕事を「どう効率化するか」だけではなく、「どう生きるのか」を明確にして生きることが重要なのだということを気づかせてくれたのです。

 

人口が減り続ける難しい日本社会の中で、これを支えていってくれる人達とは、明確なビジョンを持ち、それを計画して力強く実行していく人達です。

 

再生を目指す「地域」も「山村」も、このような若者たちが満ち溢れる地域を目指さねばなりません。「地域」「山村」の若者たちこそ「わが生涯の目的」を「明確に見定めて」それを断固計画して生き抜いて欲しいのです。そのような若者が各地の「地域」「山村」に、どんどん湧出してくる社会になれば、日本の未来は、まさに、希望に満ちたものになります。

 

でも、そのような希望へ向けた出発点において、これを牽引するのは、危機感も多く、刺激も強い都市側に住む若者です。都市部に住む若者たちこそ、日本を、そのような未来に向けて進めていくために、「自分はどう生きるのか」の見本をつくるために「デュアルライフ(注2)」を実践して欲しいのです。そのために、自分が最適と思う地域を選び、そこを第2拠点として定め、今すぐ2拠点居住を始めて欲しいのです。社会の転換点にある日本で、今がまさに、絶好のチャンスです。(参考資料1、2020年7月5日の日本経済新聞を参照引用して記述)

 

(注1)2拠点居住:都会に暮らす人が、週末や、一年のうちの一定期間を農山漁村等で暮らす居住形態。近年では、さまざまな2拠点での居住が行われている。

(注2)デュアルライフ:2拠点居住により、「住む」を楽しみ、「仕事」を効率よくこなす生活を送ること。このブログでは、「住む」を楽しみ「仕事」を効率よく実施するだけでなく、「どう生きるか」を明確にし、その目指す生涯を貫徹することが「デュアルライフ」であるということになった。

(注3)テレワーク:勤労形態の一種で、情報通信技術(ICT、Information and Communication Technology)を活用し時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働く形態をいう。tel (離れたところで)とwork(働く)の合成語。ワーケーション:work(ワーク)とvacation(バケーション)の合成語。休暇中、特に旅行先でテレワークを行うこと。

(注4)フレックスタイム制(flextime system):労働者自身が日々の労働時間の長さあるいは労働時間の配置(始業及び終業の時刻)を決定することができる制度。弾力的労働時間制度の一種。

(注5)ディレクター:制作物のクオリティに責任を持つ人のこと。制作現場において指揮を執る役割を担う。一例、映画監督。

(注6)エッジAI:クラウドで運用している人工知能(AI)と異なりカメラ、ドローンなど利用者に近い端末(エッジ)で画像解析などを担うAI。あらかじめ多量のデータで学習させたAIを使って予測や分析をする利用方法が一般的。小型の端末でもデータをリアルタイムに高速処理できる。略してエッジと言う。

 

参考資料

(1)日本経済新聞、2021年7月5日。

 

[付記]2021年9月21日。

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