地域再生 テレワーク移住が地域の暮らしと仕事の質を高める 地域はテレワーク移住者に熱視線 

テレワークで移住してくれる人材は、大都市の大企業の文化・管理・知識・経験を地域に伝えてくれる存在です。この人たちは、地域の宝です。

 

林業再生・山村振興への一言(再開)

 

2021年11月 (№155)

 

□椎野潤(続)ブログ(366)  地域再生 テレワーク移住が地域の暮らしと仕事の質を高める 地域はテレワーク移住者に熱視線  2021年11月9日。

 

☆前書き

テレワークの広がりが、地域を活性化する事例が、各地で増えてきました。2021年10月5日の日本経済新聞が、これを書いていました。今日は、これを取り上げてブログを書きます。記事は、以下のように書き出しています。

 

☆引用

「新型コロナウイルス禍で広がったテレワーク(注1)が、大都市部の働き手を地方にいざなっている。自分らしい生活スタイルが仕事の効率やワークライフバランス(注3)を改善し、企業は地域とのかかわりをオープンイノべーション(注4)や価値向上に生かす。テレワークを活用した移住・定住が地域活性化につながれば「三方良し(注5)」となるだけに、自治体は受け入れに積極的に動き始めた。(参考資料1、2021年10月5日、日本経済新聞から引用)」

 

☆解説

コロナ禍で広がったテレワークが、大都市部の人口移動に変化をもたらしつつあります。2021年8月に総務省が発表した人口動態調査によりますと、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)の人口の伸びが、0.07%となり、2020年の0.37%を下回りました。また、関西圏(京都、大阪、兵庫、奈良)と名古屋圏(岐阜、愛知、三重)を加えた三大都市圏の総人口は、2013年に調査を開始して以来、初めて減少しました。

一方で、地方移住への関心は高まっています。内閣府は、テレワーク(注1)の浸透が関心増大の一因だとみています。

移住者にとって、これまで大きな壁は、地方での職探しや収入の減少でした。テレワークによって転職なき移住が可能になりました。大都市から人を呼び込む大きなチャンスが到来したのです。

山梨県の二拠点居住推進課の担当者は、「中央自動車道が開通して以来の好機」と目を輝かせています。富士山麓の豊かな自然を満喫できて東京都心から2時間圏内にあるのが、同県の最大の魅力なのです。二拠点居住やワーケーション(注2)なら定住より、遥かにハードルは低いのです。2020年の移住相談件数は、初めて3000件を超えました。

東京から離れた自治体も受け入れに積極的です。山口県は2021年7月に、県庁1階にテレワーク用オフィスを開設しました。防音ブースも完備しており、重要な会議も開催できます。県庁内にあるため利用者は、住まいや子育てなど、定住に向けた相談がしやすいのです。東京からの出張者が、飛行機を多く利用することに着目して、2021年8月、山口宇部空港内に、ワーケーション(注2)の案内施設を開設しました。また、顧客のニーズに合わせてプランを練るコンシェルジュ(注6)を常駐させ、顧客の利便性の向上を目指しています。(参考資料1、2021年10月5日、日本経済新聞を参照引用して記述)

 

☆まとめ

テレワークの広がりは、東京一極集中の是正に取り組む国にとっても追い風なのです。2020年12月に、新型コロナの影響を踏まえて地方創生戦略の第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2020年改定版)をまとめました。テレワーク移住の促進戦略です。100億円の予算規模で「地方創生テレワーク交付金」を創設し、自治体によるサテライトオフィス(注7)の整備などを支援しています。

企業の取り組みを可視化し、地方活性化の機運を高めています。また、地方創生につながるテレワーク移住に積極的な企業に「自己宣言」をしてもらい、好事例を表彰します。

でも、これで自治体があまねく追い風に乗れるわけではなりません。地方への人の流れを定住につなげるには、暮らしやすさや文化の魅力の発信が是非とも必要です。さらに、そのフォローが欠かせません。

しかし、これを実現するには、それを実現できる人材がいることが大前提になります。でも、そのような人材は、限られているのです。ですから、そのような人材をいち早く探し出して育てることが出来る自治体が、勝機をつかむことになるのです。

さらに見方を変えてみればテレワークで移住してくれる人材は、大都市の大企業の文化・管理・知識・経験を地域に伝えてくれる存在です。地域に活性を与えてくれるエネルギー源です。地域の宝になる存在です。ですから、この移住者を地域創生の核と考えて、従来型の誘致策を大きく超えた施策を、展開することが強く求められています。(参考資料1、2021年10月5日、日本経済新聞を参照引用して記述)

 

(注1)テレワーク:勤労形態の一種で、情報通信技術(ICT、Information and Communication  Technology)を活用し時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働く形態をいう。tel (離れたところで)とwork(働く)の合成語。

(注2)ワーケーション:work(ワーク)とvacation(バケーション)の合成語。休暇中に旅行先でテレワークを行うこと。

(注3)ワークライフバランス:生活と仕事の調和・調整。生活の充実によって仕事がはかどり、うまく進む。仕事がうまくいけば、私生活も潤う。生活と仕事の「相乗効果」のこと。

(注4)オーブンイノベーション:企業等が自社だけではなく他企業、学校(大学)、地方自治体など異業種・異分野の組織と、技術、アイデア、ノウハウ、サービス、知見を組み合わせて革新的な価値を生み出すこと。イノベーション=革新

(注5)三方良し:「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」。

(注6)コンシェルジュ(仏: concierge):サービス業の一つ。顧客のあらゆる要望に対応する「総合世話係」というような職務を担う人の職業名。組織機能の名称。

(注7)サテライトオフィス(satellite office):企業の本社や、官公庁・団体の本庁舎・本部から離れた所に設置されたオフィスのこと。本拠を中心としてみた時に、惑星を周回する衛星(サテライト)のように存在するオフィスとの意から命名された。主に二つの意味がある。勤務者が遠隔勤務をできるよう通信設備を整えたオフィス 郊外に立地する企業や学校などの団体が、都心に設置した小規模のオフィス。

 

参考資料

(1)日本経済新聞、2021年10月5日。

 

[付記]2021年11月9日。

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