次世代産業社会へ 世界最大の半導体受託生産会社 台湾積体電路製造(TSMC)を日本に誘致 工場建設 量産開始

世界の半導体の需要が、今、著しく拡大しています。しかも、近年、先端的技術進歩が、まことに迅速です。ポストコロナ産業の発展競争の中で、半導体生産者ポジションの壮烈な争奪戦が始まっています。これに勝てるかどうかが、勝負の分岐点になるでしょう。日本政府は、勝負に出ました。世界の半導体受託生産において、5割超のシェアーを保持する台湾積体電路製造(注1)を日本に誘致しました。同社に日本国内に、量産工場を建設させ、日本が次世代に向けて、半導体輸出の先導者になることを目指しました。このプロジェクトには日本勢として、ソニーとデンソーが参加します。日本は、半導体の先端技術や受託生産の裏ワザを駆使して、近未来には、世界の先導者にふさわしい力量を発揮するでしょう。

 

林業再生・山村振興への一言(再開)

2021年12月 (№162)

 

□椎野潤(続)ブログ(373) 次世代産業社会へ 世界最大の半導体受託生産会社 台湾積体電路製造(TSMC)を日本に誘致 工場建設 量産開始 2021年12月3日。

 

☆前書き

2021年10月15日の日本経済新聞が、このプロジェクトについて報じていました。今日は、これについてブログを書きます。記事は、以下のように書き出しています。

 

☆引用

「世界最大の半導体受託生産会社である台湾積体電路製造(TSMC)は2021年10月14日、日本で初となる工場を2022年から建設し、2024年末に量産を始めると発表した。半導体不足が長期化するなか、日本政府は経済安全保障上の観点から、有力企業の工場が国内に必要との立場だ。数千億円規模の補助金などを通じて支援する方針だ。(参考資料1、2021年10月15日、日本経済新聞(中村裕)から引用)」

 

☆解説

台湾積体電路製造(TSMC、注1)の魏哲家最高経営責任者(CEO)は、2021年10月14日、開催した記者会見で、日本での工場の建設と運営について「当社の顧客及び日本政府の双方から、プロジェクトを支持すると言う強いコミットメントを頂いた」と話していました。さらに、日本の岸田文雄首相は、「TSMCの総額1兆円規模の大型民間投資などへの支援を大型経済対策へ盛り込む」と表明しました。また、政府は10月31日の衆議院選挙後に編成する2021年度の補正予算にTSMCへの補助を念頭にした数千億円を組み入れる予定です。

台湾積体電路製造(TSMC)は、ソニーグループやデンソーと共同で熊本県に新工場を建設する調整を進めています。新工場の投資額、具体的な建設地などの詳細は、まだ、明らかにしていません。でも、TSMCの広報担当者は、日本経済新聞の取材に対して、「早ければ2021年内に詳細を発表できる」と述べています。(参考資料1、2021年10月15日、日本経済新聞を参照引用して記述)

 

☆まとめ

台湾積体電路製造(TSMC、注1)の半導体生産量は世界の首位ですが、その生産量の9割は、現在では台湾国内です。今回、米国・中国に続き日本にも進出することを決断しました。いよいよ、生産を世界に展開します。台湾では、2022年から、高性能スマートフォンに登載する回路線幅が3ナノ(ナノは10億分の1)の製品の生産を開始します。また、2025年には、2ナノ品の量産も開始します。日本の工場では自動車や産業用で現在主流の22〜28ナノ品を量産します。

 

日本は、戦後の高度成長時代から、日本人の人件費の高騰に伴い、人件費の安い国に生産を委託してきました。しかし、今、次世代産業社会への移行へ向けた、産業進化の速度はコロナ禍を境に、さらに加速しました。特に、半導体に代表される最先端技術の生産技術と製品の進化の速度は、著しいものがあります。

ですから日本も、これまでのように、開発段階だけの対応では、進化の速度に付いていけなくなります。もう一度、世界の最先端製造業に回帰する必要があります。この時にあって、ソニーとデンソーが組んで、日本国内で最先端品を、国内で 量産をすることになったのは、素晴らしい前進でした。

私が期待する日本の未来における産業の姿の一つは、最先端技術の「技術」「商品」の輸出産業です。これを世界で牽引することでした。いよいよ、その本格的な一歩が踏み出されます。モノつくり大国日本の復活です。これは素晴らしい朗報です。

 

日本国内で、世界の最先端技術品の量産が、大規模に拡大し、輸出額が増大すると、その工場に部品を供給する.周辺産業が日本各地で勃興し、内需が拡大します。GDPが伸長し、高齢者サポート、福祉・育児支援の資金の捻出可能額が増大し、今、最も危機感を高めている国の財政健全化を促進します。ですから、これは今の日本の最重要な課題です。 (参考資料1、2021年10月15日、日本経済新聞を読んで考えて記述)

 

(注1)台湾積体電路製造(TSMC:Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.):中華民国(台湾)の新竹市新竹科学園区に本社を置く半導体製造会社。世界の半導体受託生産の5割超を占める世界最大の受託製造会社。

 

参考資料

日本経済新聞、2021年10月15日。

 

[付記]2021年12月3日。

 

[お詫び] 12月3日のブログ発信に際して、私が発信ブログの選択を間違えました。この混乱を解消するため、本日(12月10日)に、12月3日分を発信しました。ブログ発信日が入れ替わりましたこと、深くお詫びいたします。 椎野 潤

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です