「NPO法人おおすみ100年の森」活動報告 R5年1月

椎野潤ブログ(大隅研究会第六回)  「NPO法人おおすみ100年の森」活動報告 R5年1月

 

大竹野千里

前回、12月までの活動報告(森林認証取得に向けて)を行いました。今回は(市町との連携に向けて)についての報告を行いたいと思います。

南大隅町からの委託による風倒木処理作業請負について。

前回報告にも書いたように、これまでのような単体での事業請負ではなくNPOとして森林経営管理制度における作業を請け負うため、川上が連携をとり森林組合、素材生産事業者間の合意を図る事が必要でした。地域林業界での慢性的な担い手不足を考える時、今後も現場同士、横の連携は必要不可欠です。数回にわたる担当者間での話し合いのもと、11月末にNPOとしての作業見積書を南大隅町へ提出する事ができました。令和5年度当初予算にて計上し年度内の作業実行を行う予定です。

話し合いの中で今後サプライチェーンを確立していく上で改善するべき点がいくつか見えてきました。

① 地形や立木材積といった山の正確な見積もり。

これまでは、山作業は手作業によるプロット情報または、山師の勘(正しく!山カン)を基に見積もりを出してきました。これでは、実際に作業が終わってみるまで実際の収益は分からず、売上にも大きな差が出るため、互いの信用に繋がらない状況でした。

今回は、NPOという母体の中でまとめることができましたが、会員相互の信頼を構築するためにも、ICTによる正確な山の情報が必要です。

② 作業費の分析。(作業経費の正確な見積もりと情報の共有)

山の作業は、自然地形的な部分も含め一つとして同じ作業はありません。木材が買い叩かれないためにも、チェンソーを使った作業から高性能林業機械を使用した作業を難易度まで含めて細かく経費を見ていき、どの作業に最低限必要な経費はいくらなのかデーター化する必要があります。

皆さんご承知の通り、相互の信頼なくしてサプライチェーンは成り立ちません。利害が一致することは難しいですから。しかし『まだ見ぬ孫やひ孫の為に』という信頼と共通の大義があれば、サプライチェーンは成り立ちます。信頼構築のためのICT化、情報共有であることを忘れてはいけません。

全国各地あらゆる業界で、ICTとDXの必要性を耳にします。ここへきて、ICTとDXの必要性を山の現場から訴えることは大変意義あることだと思っています。

その他にも、森林経営管理制度の意向調査後の「森林の集積計画立案」について、森林環境啓発活動としての「木育活動」など、当NPO法人との連携を模索する市町の動きが出てまいりました。森林環境譲与税が森林環境税へと移行するのを前に、行政もその使い道を本気で考え始めたようです。

森林環境税をどう使うか。

引き続き地域の100年後を皆で思い描きながら「まだ見ぬ孫やひ孫の為」持続的な林産業システム作りを進めてまいります。

 

まとめ 「塾頭の一言」 本郷浩二

商売上、需給や価格に係る情報を隠すことによって、一方的に有利な地位を確保し、有利な取引を行うことで利ザヤを稼ぐことが行われがちです。また。流通において多段階を経ることによって、このような情報が曖昧になります。そのために誤解や疑念が生じ、信頼関係が作りにくいということも起こります。互いの信用や信頼関係を確立するために需給や価格などのデータを共有して利用するのに、デジタルデータ、ICTを使うことが便利で、公正かつ迅速ですね。ご高齢の方がデジタルデータの利用に躊躇されるのは仕方のないことですが、なんとか皆さんが慣れて使えるようにしていただければ、サプライチェーンの中の信頼関係が高まると思います。そして、そのことは消費者の信頼も得られることにもつながると思います。

森林環境譲与税については市町村行政の対応がポイントです。市町村の森林行政は、施策を実行するのに必要なお金が配られ、それは人件費にも使うことができるので、もう何もしないことへの言い訳はできません。市町村にとっては、森林に関する問題に対して何もしないことは不作為として追及される行為になっているのです。ぜひ、市町村に働きかけて、本気で考えてもらってください。

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