島根県津和野町と東京都文京区の提携

島根の津和野町も、東京文京区と提携しています。津和野の心を込めた「宅配便」を、個人客へ配送しています。コロナ後の経済再出発で、スパートをかけるとすれば、このパイプが生きてくると思われます。

 

☆前書き

前回の「山村振興」の新ブログを書いている中で、その活動の核となる、凄い中核都市を見付けました。秋田県五城目町です。東京千代田区と姉妹都市の絆を紡いでいて、都市国家東京と独立地方都市の間の好ましい交流が行われている姿を知りました。これは、コロナ以後の日本の経済再建において、大切にしなければならない「山村振興」の柱だと感じました。ここでは、このような中央と地域との、濃度の濃い「連携コンビ」を、各地に作ることが望ましいと痛感したのです。そう思い立ったとき、すぐ、頭に浮かんだ「山村」がありました。東京都都文京区と提携している、島根県津和野町です。今回は、津和野について書きます。

 

☆本文

津和野町のホームページを開きました。冒頭に大きな文字で、「歴史と文化の薫る日本の

ふるさと津和野」と書いてありました。 津和野には、長い歴史の中で、築き上げられてきた凄いものがあるのです。

明治維新前には、津和野藩亀井氏の城下町であり、亀井氏の治政の時代から、骨太のしっかりとした城下町社会が構築され、独特のモノが維持されてきました。2017年9月10日には、藩主亀井家入城400年記念式典が、開催されています。

 

町域の90%が山林であり、津和野は文字通り山村です。典型的な山村の「マチ」です。人口は7000人程度で、五城目が8000人ですから、似たような規模です。

神社・仏閣、城閣、上級武士の居住地など、見応えのある歴史的建造物が良く保存されており、観光地として極めて著名です。海外の人達にも良く知られています。観光客が多く訪れ、そのため、観光業者が築き上げたものが著しく大きく、そのため、「ふるさとの心」のような、津和野の本当の魅力である「心の文化遺産」が見えにくくなっています。

このような中で、こころある人達の中で、その殻を破ろうとする試みが始まっています。私は、2019年6月23日のブログに、津和野の改革への挑戦を書いています。今日は、このブログを引用して書きます。

このブログは、二つの重要な改革を書いています。

(1) インターネット通販と東京への宅配便。

(2) 自伐型林業の育成。

今日は、この内(1)の宅配便の開設を「山村振興」のテーマとして取り上げて書きます。昔ブログの中から(1)の部分を抜き出します。抜き出したブログは、当時の文を出来るだけ、そのまま書きます。

 

□椎野潤ブログ(232) 森鴎外古里の味 インターネット通販 島根県津和野 東京文京区と連携 隔週自宅へ宅配 地域起こし協力隊 自伐型林業者育成

2019年6月23日

 

森鴎外の生誕地、島根県津和野町と東京・文京区の同町東京事務所をつなぐネット通販が、2019年6月に開通しました。私の楽しみなネットが、また一つ増えました。2019年6月11日の読売新聞に、この記事が出ていました(参考資料1)。今日は、これを取り上げてブログを書きます。記事は、以下のように書きだしています。

 

☆引用

「文豪の森鴎外(1862〜1922)の出身地・島根県津和野町の特産品を取り扱ったインターネット通販サイトが、2019年6月開設された。鴎外が60歳で死去するまで、32年間過ごした文京区にある同町の東京事務所で、PR活動を展開しており、担当者は『ぜひ鴎外の古里の味を楽しんでもらいたい』と話している。」(参考資料1、2019年6月23日、読売新聞から引用)

 

☆解説

文京区と津和野町は、2012年に、鴎外が縁で、文化振興や災害応援に関する協定を結び、交流を深めてきました。通販サイト「まるごと津和野ストア」では津和野の豊な自然の中で育ったワサビのしょうゆ漬けや蜂蜜シロップ、地元で愛飲さている「まめ茶」のティパックなどを販売しています。このたび、野菜や加工食品の特産品を隔週に、都内で宅配サービスすることになりました。

サイトを運営するのは同町の東京事務所です。運営実務は、同町の町おこしに携わっている台東区のスタートアップ、「ファウンディングベース」です。これまでは都内で開かれる町産品販売会や移住支援を行ってきました。今回は、津和野町のブランド力強化や農業の所得増加を狙って通販も始めました。

 

☆まとめ

戦後、東京に出てきて東京家族を創業した、創業者たちは、いよいよ、人生の最晩年を迎えています。これから、中心になるのは曾孫世代でしょう。曾祖父の故郷との繋がりは、ぐっと遠くなるのです。この人達には、心の古里が必要です。

津和野の人達は、世界の激しい変化に必死で付いていこうとしている「都市国家東京」の人達が、見付けてくる「モノ」を、身につけ、理解していく必要があります。努力しなければ、一気に古くなってしまうからです。ですから、両者の心の絆は、極めて重要なのです。

五城目では、「東京へ出ている五城目の人。五城目出身でなくても、五城目に興味を持っている人達」を集めて、プロジェクトチームを作り、熱い議論を進めていました。五城目の未来社会を牽引してくれるスタートアップを育てていたのです。

津和野でも、同じことをやっていると思いますが、私が、インターネットで、いくら調べてみても、そのような記述は見つからないのです。

インターネットのページは、世界的に有名になった神社・仏閣・城閣、武家屋敷などの写真で溢れていました。その意味で、コロナの後に、強力にスタートダッシュするには、もう一段の脱皮が必要だと思われます。そこで、1年前から始めている、東京へのネット通販と個人宅への宅配は、津和野町民と都民を結ぶ太いパイプとして、次への進展を支えてくれるでしょう。

ネットで「モノ」ばかりでなく、「津和野の心」を送らねばなりません。「文京の心」を受け取らねばなりません。こうしてみると、日本全国の有名な「山村」の多くは、このような状況になっていると思われます。でも、このことで、「山村振興」をテーマとして努力している人達にとっては、凄いテーマが見えてきたと言うことです。(黄色い文字は、2020年6月記述)

 

参考資料

(1) 読売新聞、2019年6月11日。

 

[付記]2020年6月22日、椎野潤記。

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