塩地博文の大型パネル事業(6)大型パネル事業の技術移転(その2)

林業再生・山村振興への一言(再開)

 

2021年1月(№75)

□ 椎野潤(続)ブログ(286) 塩地博文の大型パネル事業(6)

「大型パネル事業とは何か(その7)」大型パネル事業の技術移転(その2) 2021年2月5日

 

☆前書き

このブログは、前回のブログの続きです。2001年に、早稲田大学のアジア太平洋研究センターに設置した「建築市場(けんちくいちば)研究会」での、林業〜家つくりサプライチェーン・マネジメントの構築で、一緒に学んでいた、新潟県の志田木材店の志田喜弘さんが、塩地博文さんの大型パネル事業に、参加することが報告されました。大型パネル事業も、凄い戦力を得たと思います。塩地さんは、以下のように書いています。

 

☆引用

「大型パネル事業の技術移転」(その2)             文責 塩地博文

戸建住宅需要は、数少ない地域内完結の木材需要です。地域で育成された木材が、地域内で加工され、戸建住宅として消費された上、残りはバイオマス燃料として、地域内のエネルギー供給に貢献します。この図式は、理想的と考えられます。

この理想形を担う具体策が、大型パネルですが、本格的参加を決定したのが、新潟県の木材会社である志田材木店です。志田材木店の社長である志田喜弘さんは、「戸建住宅はもちろんだが、大型パネルは中規模木造分野にも対応力が高い。プレカットの次は大型パネルで間違いない」と大型パネル工場の新設を決断しました。

 

志田さんと話しを詰めている最中に、椎野潤ブログが公開され、彼の目に留まりました。志田さんからは、「椎野先生と過去に、ご縁がありました。大型パネルに大きな縁を感じました」との話を頂きました。志田さんは、2002年に、鹿児島建築市場(けんちくいちば、参考資料2、注1)という新しい挑戦が始まっている事を知り、椎野先生の著書を求めたようです。鹿児島まで赴き、椎野先生と直接会って、木材流通の新しい挑戦を解説頂いたとの事です。北米の木材加工流通の実情を調査していた志田さんは、「日本にも新しい木材流通が始まる」と期待を寄せたそうです。「大型パネル事業を椎野先生が評価されている事が、自らも参加すべきとの判断に至った理由の一つ」と話されました。

 

鹿児島建築市場の提唱や、その後継続されている椎野潤ブログが、大きなご縁につながって、新しい芽を生み出していることは、決して奇跡ではないと思います。先人達が守り抜いた貴重な地域資源を、徹底的に無駄を省いて、地域内経済活性に直結させることは、誰にとっても、いつの時代でも、理想形なのです。

大型パネル事業は、地域への技術移転を進めていきます。ウッドステーションは、そのミッションを達成するために、誕生した企業です。第二、第三の志田材木店を、発掘して行きたいと思います。

 

☆まとめ

私が早稲田大学に、建築市場(けんちくいちば)研究会を設置したのは、2001年4月でした。間もなく、丁度20年になります。その頃、鹿児島で、日本の未来社会の夢を語りあった志田喜弘さんと、ここで再会できるとは、凄い縁です。驚きです。最高の喜びです。

しかも、私が、日本の未来をかけるものとして、今、実現に努力している「林業再生と山村振興」の中核をなす活動「大型パネル」事業の、牽引者として参加してくれるとは、こんな嬉しいことはありません。

私が晩年の20年、ひたすら、それにかけてきた活動を、後世に引き継いでくれる人が、また、一人見つかりました。塩地さんが描いている路線に沿って、地元の新潟を、力強く育てて、新潟県産材の外国材との闘いの勝利を確実にし、各地の同志と連携して、人口減少が続く日本の中にあって、希望の未来に向かって爆進してください。志田さんも、私にとって、後世への最大遺物です。

 

(注1)鹿児島建築市場(けんちくいちば):インターネットとイントラネットで結ばれた鹿児島県内の160社の集団。鹿児島モデルというIT時代の新しいビジネスモデルを形成した集団。参考資料2、pp.107〜117。

 

参考資料

(1)塩地博文著:大型バネル事業とは何か(その6)、2021年1月19日。

(2)椎野潤著:椎野先生の「林業ロジスティクスゼミ」、ロジスティクスから考える 林業サプライチェーン構築、全国林業普及協会、2017年2月20日。

 

[付記]2021年2月5日

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