椎野潤(続)ブログ(285) 塩地博文の大型パネル事業(5)大型パネル事業の技術移転(その1)

林業再生・山村振興への一言(再開)

2021年2月(№74)

 

□椎野潤(続)ブログ(285)塩地博文の大型パネル事業(5)

「大型パネル事業とは何か(その6)」大型パネル事業の技術移転(その1)

2021年2月2日

 

☆前書き

塩地博文さんから、貴重な追加論文が送られてきました。今日は、私が後世に遺す最大遺物を、確認できた日です。

 

☆引用

「大型パネル事業の技術移転」(その1)             文責 塩地博文

大型パネルを地域に技術移転する事は、国産材活用の意味においてだけでなく、大型パネル普及においても、避けて通れない選択です。それは以下のような理由に起因しています。大型パネルを生産する事よりも、不定形物で且つ大型化したパネルを建設現場まで輸送する方が、実は難易度が高いのです。国道、県道、市道と、行政単位によって管理者が異なるため、個別に道路使用の事前申請を行う必要があります。また、長距離輸送の場合には、建設現場に直行できずに一旦仮置きして、再輸送することが求められます。地場で生産して輸送することが合理的であり、地場の道路事情に精通した企業による運営の方が、スマートなのです。

 

ウッドステーション単独による大型パネル事業になると、当然ながら住宅需要地に大型パネル工場を作る事になります。関東圏、中京圏、関西圏の住宅需要地に大型パネル工場を新設すると、調達しやすい木材を選ぶため、普及が進んでいる海外木材が中心となります。また、それらの住宅需要地は国産木材の産地ではありませんので、大型パネルと国産木材との親和性は遠のいてしまいます。

 

輸送を考えても、国産材との親和性強化のためにも、大型パネル事業は、地場企業による地場生産が最も合理的な方法なのです。半径100キロメートル以内に、国産材産地、地場製材工場、プレカット工場、大型パネル工場があって、地場需要に対して供給するサプライチェーン(注2)を形成するのが理想的なのです。

1県に1つ大型パネル工場が存在し、そこで1000棟の供給を行うと、製材ベースで20000の需要が生み出されます。これだけの製材を作るには、原木にとしては、50000となります。これは小規模の製材工場で、その供給を賄うことが可能です。

1000棟の供給は人口百万人規模の県では、総需要の20%程度です。遠隔地に輸送する必要もなく、国産材は地場で加工され、地場の住宅建設で消費されます。総需要が減少していく住宅産業の、先ずは20%のシェアを獲得することで、そのサプライチェーンは、無理することなく、定着していくでしょう。

その基礎を築いた後、住宅需要地である都市圏への供給を狙い、製材工場の大規模化、地域材大型パネル工場の新設などを計画すべきと考えます。(参考資料1、塩地博文の大形パネル事業とは何か(その5)2021年1月24日から引用)

 

☆まとめ

塩地さんが、ここで論じていることは、全く正論です。でも、人間という生物は、自己欲が強いですから、なかなか、このように、主張できないのです。塩地さんは「立派」の一語につきます。

私は、日本社会が、今後も、永続的に進化して行けるように、改革の芽を育てて行きたいと、常に念じてきました。そして、その信念を、後世に引き継いで行ってくれる人を、常に探していました。私は、今日、後世を託せると確信できる人を、また、一人見つけました。

塩地さんは、自らが立ち上げられた「大型パネル」事業が、今、快調に推移し、拡大できるチャンスに直面しているのにもかかわらず、それを求めず、日本各地に古くからおり各地を支えてきた同志に、拡大のチャンスを与え、地産の国産材に優位を持たせ、外国材に対して勝利させる道を拓こうとしています。これは、私が、晩年の20年、常に描いて進めてきた、日本民族の確かな成長の路線を、しっかり、継承してくれるものです。私は、これで後世に、確かな遺物を遺して行ってくれる跡継ぎを、次世代に遺すことができました。

これで国産材は、外国材に確実に勝利し、日本の各地域の成長も、着実に進展するでしょう。自社の利益より、日本全体の利益を追求してくれる人物、これが、私が自分の後世に遺したい人物です。

今後、この構想に沿って、地域を強力に育てていってくれる人材が、続々と現れてくれることを強く期待します。

 

参考資料

(1)塩地博文著:「大型パネル事業とは何か(その6)」大型パネル事業の技術移転(その1) 2021年2月2日。

 

[付記]2021年2月2日

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