次世代産業社会へ 中国 商用EVを対日輸出 東風など一万台 日本に競合なく 物流の脱炭素に照準

物流大手が物流配送車に中国EV車を選びました。日本の内需産業が、いよいよ切迫してきました。

 

林業再生・山村振興への一言(再開)

2021年11月 (№159)

 

□椎野潤(続)ブログ(370) 次世代産業社会へ 中国 商用EVを対日輸出 東風など一万台 日本に競合なく 物流の脱炭素に照準 2021年11月23日。

 

☆前書き

いよいよ、中国の小型電動トラックが、日本の物流産業車両を独占しそうです。内需産業での危機の到来を感じます。2021年10月12日の日本経済新聞が、これを書いていました。今日は、これを取り上げてブログを書きます。記事は、以下のように書き出しています。

 

☆引用

「中国の自動車メーカーが商用の電気自動車で日本に攻勢をかける。東風汽車集団系などが物流大手のSBBホールディングスに1万台の小型トラックの供給を始め、比亜迪(BYD)は大型EVバスで4割値下げを目指す。世界的な脱炭素の動きを受け、物流大手はEVシフトに動くが、日本車メーカーの取り組みが遅れており、価格の安い中国車を選んでいる。出遅れた日本車は早期に巻き返さないと国内市場を奪われかねない。(参考資料1、2021年10月12日、日本経済新聞から引用)」

 

☆解説

中国の自動車大手、東風汽車集団のグループ会社である東風小康は、日本の物流大手、SBSホールディングスに、1トン積載のEVトラック(注1)の供給をはじめました。これは、言葉を代えれば、日本の物流会社が、EV(注1)を中国から本格的に輸入し始めたと言うことです。このEVは、日本のEVスタートアップのフォロフライ(京都市)が設計し、東風小康が生産するものです。SBSホールディングスは、2030年までに、別の中国メーカーに発注する1.5トン車と合わせて、合計1万台のEVを、中国から購入する計画です。

1トン車の価格は補助金なしで380万円ほどです。同様規模のディーゼル車とほぼ同価格です。2022年1月から本格輸入します。国の補助金を見込めるため、「現行トラックより安くなる」と判断しました。今後、5年間で、配送の協力会社に使用を促す分も含め、国産ディーゼルトラックから順次、切り換えます。航続距離は300キロメートルで宅配に使います。

東証1部上場のSBSホールディングスは、配送時の温暖化ガスの排出を減らそうとEV導入を模索しましたが、国産の1トン積載車は市場にありませんでした。そこで、日本車のメーカーに生産依頼をしてみましたが、1000万円ほどかかることがわかりました。やむなく、中国車の輸入を決断したのです。

日本では、EV小型トラックについては、2021年7月に、トヨタ自動車やいすず自動車などが設立した商用EV企画会社にスズキやダイハツ工業も参画すると発表しましたが、ここでは、日本勢の出遅れは鮮明です。

2020年の小型バンの国内市場は23万台でした。ネット通販の伸びに伴い宅配需要が拡大しており、中国EVが広がる可能性は、大いにあります。商用車は決められたルートで事業者が使います。乗用車に比べ、充電インフラの確保や保守メンテナンスが容易です。参入し易いのです。(参考資料1、2021年10月12日、日本経済新聞を参照引用して記述)

 

☆まとめ

私は2019年頃から、日本の次世代に向けた反応が、官も民も、極めて鈍くて不活性だ。そこで、危機感を持たせるため、ライバルを国内に入れた方が良いのではないか。ライバルに、日本国内で事業を奪われ始めたら、日本の民間事業者は、猛反発して、国の内需産業の不活性は、一挙に解決するだろうと、ブログに書きました。

でも、参入者は日本に上陸しましたが、全く事業実績を上げられずに、私の期待は、結局、現実のものとはなりませんでした。日本の市場は安泰だったのです。日本の産業界を守る力は、期待通り、極めて強靱だったのです。その代わりに、日本のその分野では、見る見るうちに、諸外国から引き離され、日本は、その分野では、初期段階から、国際競争の蚊帳の外になり続けたのです。

今回は、そうはいきません。もう初期の実験段階ではないからです。実需の商品が、どんどん、入ってきて、日本人の馴染みのものに、ぐいぐい、なってしまいます。一般消費者が直接使うものではなく、物流事業者が使う、安価な小型EVトラックの内需が、中国に略奪される重大な危機に遭遇しているのです。今すぐ緊急な対策に、国だけでなく、民間事業者は、さらに、強力に動かねばなりません。私は、日本の内需産業に、いよいよ、本格的な危機が到来したと感じています。外敵を撃退すれば、危機はさらに深化するからです。私は、今、強い危機感をもって、これを注視しています。(参考資料1、2021年10月12日、日本経済新聞を読んで記述)

 

(注1)EV=電気自動車:電気をエネルギー源とし、電動機(モーター)で走行する自動車。略称はEV(Electric Vehicle)。内燃機関(エンジン)を持たない事から、走行時に二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物が出ないゼロエミッション車。

 

参考資料

日本経済新聞、2021年10月12日。

 

[付記]2021年11月23日。

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