鹿児島県大隅半島での「林業再生・山村振興」の動き(その2) 鹿児島の森林経営管理制度の取り組みの報告

林業再生・山村振興への一言(再開)

2021年3月(86)

 

□椎野潤(続)ブログ(297) 鹿児島県大隅半島での「林業再生・山村振興」の動き(その2) 鹿児島の森林経営管理制度の取り組みの報告 2021年3月16日

 

☆序文

鹿児島県の南大隅町の森田町長から、貴重な活動報告が送られてきました(参考資料1)。ここでは、これを紹介します。

 

[鹿児島県の南大隅町の森田俊彦町長からの活動報告]

☆前書き

鹿児島県の南大隅町の森田町長から、貴重な活動報告が送られてきました(参考資料1)。私は、本州の南端、鹿児島で起きている日本の林業・山村振興の灯の「着火の知らせ」を、凄く楽しみにしていたのです。森田さんの報告は、私が楽しみにしていた、その第一報のはずなのです。

 

☆引用

ぎふフォレスター協会(注1)の代表理事 小森胤樹氏に講演をお願いしました。2021年2月3日鹿児島県自治振興促進大会にて、鹿児島県24町村長、県林務課参加で「なぜ今、森林経営管理法が必要になったか」と題してご講演頂きました。

100年の歴史を有する町村会で、森林林業がテーマになったのは、初めての事であったそうで、各首長さんも目を丸くして興味深く拝聴しました。時間の制約と首長ということもあり、森林経営管理と環境税の概要と、実情、背景をお話頂きました。質疑も活発であり、まだまだ皆さんには、お聞きしたいことがあったようです。各首長さんは、これからの森林管理の大事さをよくご理解されたようでした。

2021年2月4日、大隅南部の鹿屋市、肝付町、錦江町、南大隅町の1市3町の官民森林関係者の35名参加のもと、「地域の森林管理をどう考えるか、ゴールはどこなのか」と題した講演を2時間と、その後、活発な質疑応答がなされました。官民の森林林業関係者が一堂に会し、現実的な意見交換することは無かったものですから、参加者のほとんどが発言されました。森林経営管理を地域の林業関係者で今後、どう取り組むべきかや、最後のチャンスではないかなどのご意見が飛び交い、当初は消極的であった方々も講演終了後には駆け寄って来られ、充実した協議会であったことが、良くわかりました。そして、なるべく早くに森林経営管理の組織設立をしましょうとのお言葉を頂き手応えを感じた次第でした。

 

その後、2021年2月22日に、先の講演に参加された民間事業者の勧めで、鹿屋市議会林政委員による森林経営管理の勉強会が、官民計30数名で執り行われました。民間事業者の方々が意識して動き出したように思われます。一部の首長さんからも何とか形あるものにしてくれとのお声掛けいただきました。

2月27日に民間事業者の有志数名で、森林経営管理の協議を重ねるべく仮称「大隅半島100年の森」の組織が設立されました。(参考資料1から引用)

 

☆まとめ

市町村の境を超えて、SDEGs(注2)の取り組みを踏まえた活動等を目的に、これから始動していきます。当初考えていたスケジュールよりは、コロナ禍の中で遅れ気味ではありますが、各団体の意思統一は、大分、進んできたようです。今後の民間事業者組織の活動が楽しみです。 (ここまで森田俊彦著、参考資料1から引用)

 

☆結言

小森胤樹さんは、日本の林業を再生し、山村の振興を進めたいと、ぎふフォレスター協会(注1)を設立されました。小森さんは、この協会を通じて、市町村の林務行政の支援体制を構築して、組織化しようとしています。

全国の市長村の林務関係者のパイプを通じて、各市・町・村で官民一体となって、「林業振興を進めたいと熱望する処」を募集しました。でも、なかなか、そのような熱意のある自治体は現れませんでした。

どこか、紹介できる良い処はないかと考えていましたら、九州鹿児島の大隅半島南端にある南大隅町の森田町長のことが頭に浮かびました。

それは今から17年前の2004年、早稲田大学アジア太平洋研究センターにいた私は、産学共同研究会「建築市場(けんちくいちば)」で、壮大な実証実験を行いました。これが、九州木材ロジスティクス改革プロジェクトです。

このブロジェクトは、「杉が北欧のホワイトウッドに負けていた諸要素」を大幅に改善し、立木価格を復活させることをめざしたものでした。このときの林業側の相棒が、鹿児島県肝属(きもつき)郡根占町にあったベネフィット森林資源協同組合で、その組合長が、森田俊彦さんだったのです。

この森田さんと再会しました。再会したとき、森田さんは、南大隅町の町長になっていました。再会した森田さんに、小森さんの活動を話し、一緒に「林業再生と山村振興」を進めてくれないかと頼みました。森田さんは快諾してくださったのです。(参考資料2、コメント欄を参照)

そして森田さんの、その後の活動は積極的でした。鹿児島県の24の町村の首長、一人一人全員に、直接お話しをされ、「なぜ、この活動が重要か」を、熱心に説得されたのです。そして全員から「出席する」と確約をとったのです。

「これで、いよいよ、日本の『林業再生と山村振興』に火がつくぞ」と、私の心は燃え立ちました。物凄く楽しみにしていたのです。九州の南端で発生した、この活動の灯は、燃え上がって、全国に拡がって行くことでしょう。私は、これに多大な期待を寄せています。(結言、椎野潤記述)

 

(注1)一般社団法人ぎふフォレスター協会:市町村の森林行政支援や民間事業体の森林監理のアドバイス、実行管理を行うことを目的に、岐阜県が認定する岐阜県地域森林監理士4名(内森林総合監理士2名)と森林総合監理士1名で設立した一般社団法人。本店、岐阜県郡上市、設立2019年11月。

(注2)SDEGs:「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。エス・ディー・ジーズと発音する。SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標。

 

参考資料

(1)森田俊彦:鹿児島の森林経営管理制度の取り組みについて  2021年3月1日。

(2)椎野潤(続)ブログ(270)鹿児島県大隅半島での「林業再生・山村振興」の動き(その1) 南大隅町の森田俊彦町長からの手紙 2020年12月11日。

 

[付記]2021年3月16日

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