小柳雄平ブログ(その2)  JBNの協力のもと木の文化を繋ぐ(後半)木の文化を繋ぐプラットフォーム

林業再生・山村振興への一言(再出発)

2022年5月 (№212)

 

□椎野潤(新)ブログ(423) 小柳雄平ブログ(その2)  JBNの協力のもと木の文化を繋ぐ(後半)木の文化を繋ぐプラットフォーム 2022年5月31日

 

☆前書き

森林パートナーズの小森雄平社長から、この記念すべき快挙を報告する論文が送られてきました。これは、前回に続く「後半」です。

 

☆論文引用

[JBNの協力のもと木の文化を繋ぐ(後半)木の文化を繋ぐプラットフォーム]

木材流通サプライチェーン「森林再生プラットフォーム」を構築運営する森林パートナーズ株式会社(注2)は、東京世田谷の地域工務店、伊佐ホームズ株式会社内で研究開発した流通システムを普及、実運営するために設立されました。その伊佐ホームズは美しい家づくりを追求してきました。このブログの後半は、「木の文化を繋ぐプラットフォーム(注3)」という題名で書きます。

 

木材、木造建築物に関わる中心的な立場である地域工務店だからこそ、地域の森林を豊かに保つこと、使用する木材の生産者との関係を大切に持続的に協同すること、地域の木材の流通を効率化し、連携する皆と利益創出をすることを、しっかりと意識することが大事です。

 

森林パートナーズの仕組みとは、以下です。工務店が直接山元から高品質な丸太を適正価格で購入する、工務店が購入したい品質、量(需要情報)を山元と共有し生産してもらう、中間の木材加工業者とも情報を共有し、取引価格の見える化をすることで六次産業化して連携する、木材流通を可視化して、管理することで、「トレーサビリティ情報(注4)」となり、消費者へ「顔の見える木材」を提供できるようになり、木材に付加価値が生れる。

 

この情報プラットフォーム(注3)に、技術的な効率化を付加していき、サプライチェーンを強化していき、持続的な産業連携、安定的な木材流通、脱炭素・カーボンニュートラル(注5)への貢献を進めており、これが消費者との価値共感につながっています。このバリューチェーン(注6)の構築が循環して、地域工務店の営業支援に還ってきます。

 

工務店が、木材に価値をつけるべき最大のことは、施工する建物の中に木を美しく表現することです。森林から伐採した木に対して、使用用途の機能をもたせ且つ美しく表す、これは、木への恩返しになります。何よりも消費者が喜び、その建物に愛着を持って大事にしてくれます。これまで、大量生産や効率性のみを追求したメーカーの住宅が蔓延し、日本の住宅、街並みから「美」が失われました。

 

最近では国内で木材を使うことの意義が広がり木造化、木質化された美しい建築物が増えてきています。一方で、ただ闇雲に木材を乱用している、木を使用することだけに目的化したような木への冒涜のような建築物も見受けられます。やはり文明的価値を追求するだけで文化的価値を疎かにしては、「木の建築物の真の価値」は成立しません。文化的取組みの中に文明を活かしてこそ、人々に長く喜ばれ、継続的なものとして受け継がれていくのです。これによって、美しい住宅、建物が、住まう人や活用する人に、「木の家に対する愛情」を呼び起こすのです。われわれの森林再生プラットフォームに参画していただく工務店とは、一緒に美しい家づくりを追求していきたいと考えております。

 

また森林についても同様です。地域ごとの生態系を逸脱しないかたちを守りながら森林と持続可能な付き合いをするという、日本人の森林に対する文化感をしっかりと持ちつつ、その中で森林の多機能を活かした産業づくりを進め、林業経営に結び付けていかなければなりません。

 

この度、森林パートナーズがJBN・全国工務店協会(注1)の協力のもと、森林再生プラットフォームを全国に展開する、大きな一歩を踏み出しました。木材流通という機能を共有しながらプラットフォームを参画する工務店間で、美しい設計を共有し、洗練し合えるネットワークも作れると確信しております。また部材の共通化などを推進することにより、加工やストックの効率化を図ります。ネットワークをつかい、新しい技術を取り込みながら、山から家まで木の文化を繋ぐプラットフォームを展開させて参ります。

 

☆まとめ

小柳雄平さんは、以下のように述べておられます。

このブログの後半では、「木の文化を繋ぐプラットフォーム(注3)」という表題で書きます。

 

森林パートナーズの仕組みを列記すると、以下です。直接工務店が山元から高品質な丸太を適正価格で購入する、工務店が購入したい品質、量(需要情報)を山元と共有し生産してもらう、中間の木材加工業者とも情報を共有し、取引価格の見える化をすることで六次産業化して連携する、木材流通を可視化のうえ管理することで、「トレーサビリティ情報(注4)」を構成する、消費者へ「顔の見える木材」を提供する。木材の高いレベルの付加価値を生成させる。

 

この情報プラットフォーム(注3)に、技術的な効率化を付加していき、サプライチェーンを強化させていき、持続的な産業連携、安定的な木材流通、脱炭素・カーボンニュートラル(注5)への貢献を進めていきます。これが消費者との強い価値共感を生成します。このバリューチェーン(注6)の構築を循環させて、これを地域工務店の営業支援に還元させて行きます。

 

工務店が、木材に価値を付加すべききころは、施工する建物において、木を美しく表現することです。森林から伐採した木に対して、使用用途の機能をもたせつつ美しく表わす、これは、木への恩返しです。これを、消費者は何よりも喜びます。その建物に愛着を持って大事にしてくれます。

 

これまで、大量生産や効率性のみを追求したメーカーの住宅が蔓延し、日本の住宅、街並みから「美」が失われていました。ただ闇雲に木材を乱用している、木を使用することだけに目的化したような建築物も見受けられます。

やはり文明的価値を追求するだけで文化的価値を疎かにしては、「木の建築物の真の価値」は成立しません。文化的取組みの中に文明を活かしてこそ、人々に長く喜ばれ、継続的なものとして受け継がれていくのです。

ここで生れる美しい住宅、建物が、住まう人たちに、「木の家に対する愛情」を呼び起こすのです。森林再生プラットフォームに参画していただく工務店と一緒に、美しい家づくりを追求していきたいと考えています。

 

また森林についても小柳さんは、以下のように明言しています。地域ごとの生態系を逸脱しないかたちを守りながら森林と持続可能な付き合いをする。日本人の森林に対する文化感をしっかりと保持しつつ、その中で森林の多機能を活かした産業づくりを進める。

 

今、森林パートナーズは、全国工務店協会(注1)と連携し、全国に、森林再生プラットフォームを展開する大きな一歩を踏み出しています。木材流通という機能を共有しながらプラットフォームに参画する工務店との間で、美しい設計を共有し洗練し合えるネットワークを作ります。また部材の共通化を推進し、加工やストックの効率化を図ります。ネットワークをつかい、新しい技術を取り込みながら、山から家までの「木の文化を繋ぐ」プラットフォームを展開させて行きます。小柳さんは、力強く、こう明言しています。(椎野潤記述)

 

(注1)全国工務店協会(Japan Builders Network:JBN): 全国の地域工務店を、技術、人材、品質、事務、情報等の面からサポート、関係省庁や各機関、関係事業者と協力・連携し、地域の良好な住環境と木造建築物の整備・維持で、地域社会に貢献することを目的とした全国組織。47都道府県で3000社の地域工務店が登録。年間3万棟の新築。30万件の施工実績がある。

(注2)森林パートナーズ株式会社: 国民的課題である森林の維持・再生と、地域材の活用促進の事業を行う 地域工務店と林業・木材加工業の連携による6次産業化を実現するため、「森林再生プラットフォーム」を提供する新木材流通コーデイネート事業を行うことを目的に、2017年6月30日に設立。

(注3)プラットフォーム(platform):サービス、システム、ソフトウェアを提供・カスタマイズ・運営するために必要な「共通基盤となる標準環境」。情報プラットフォーム:情報を提供・運営するための共通基盤となる標準環境。

(注4)トレーサビリティ(traceability)=追跡可能性 :その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのかを明らかにすべく、原材料の調達から生産、そして消費または廃棄まで追跡可能な状態にすること。英語の「Trace(追跡)」と「Ability(能力)」の2つを合成した語。

(注5)カーボンニュートラル (carbon neutrality):環境化学の用語の一つ、または製造業における環境問題に対する活動の用語の一つ。日本語では炭素中立と言う。何かを生産したり、一連の人為的活動を行った際に、排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素を、同じ量にするという考え方 。

(注6)パリューチェーン:製品の製造や販売、それを支える開発や労務管理など、すべての活動を価値の連鎖として捉える考え方。競合と比較して、強み・弱みを分析して事業戦略の改善策を探るフレームワーク。

 

[付記]2022年5月31日。

 

 

 

[追記 東京大学名誉教授 酒井秀夫先生の指導文]

[指導を受けたブログ名: □椎野潤(新)ブログ(422) 小柳雄平ブログ(その1)  JBNの協力のもと木の文化を繋ぐ 2022年5月27日

 

文月恵理様

 

ブログ配信ありがとうございます。

 

今回は、森林パートナーズの小森雄平社長の論文です。

このブログでも紹介された大竹野千里さんの「おおすみ100年の森」に賛同され、木材流通プラットフォームによる産業連携を構築し、サプライチェーン内でデータを共有し、複合的なビジョンを持って、バックキャスト思考で取り組もうとされています。

家を建てようとする人は工務店が窓口になります。JBN・全国工務店協会と連携した木材流通サプライチェーン「森林再生プラットフォーム」の全国展開の意義、破壊力は非常に大きいと思います。

 

酒井秀夫

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