国産材活用 木造公共施設建設(その1)全国版 東北地方が牽引 木造率は秋田県が34%で全国首位 岩手県、山形県、青森県が、これに続く

☆巻頭の一言

国産木材の建築利用が拡大し始めています。特に、主要部に国産木材を使った公共施設の割合が拡大しています。

 

林業再生・山村振興への一言(再出発)

 

2022年6月 (№213)

 

□椎野潤(新)ブログ(424) 国産材活用 木造公共施設建設(その1)全国版 東北地方が牽引 木造率は秋田県が34%で首位 岩手県、山形県、青森県が、これに続く 2022年6月3日

 

☆前書き

2022年5月14日の日本経済新聞は、このことを記事に書いていました。今日は、これを取り上げてブログを書きます。記事は、以下のように書き出しています。

 

☆引用

「国産木材の建築利用の裾野が拡がっている。主要部に木材を活用した公共施設の割合(木造率)は、2010年度の8.3%から、2020年度は13.9%に上昇し、低層に限れば3割に迫る。」(参考資料1、日本経済新聞(江口博文、磯貝守也、青木志成)2022年5月14日から引用)

 

☆解説

日本の国土の7割は森林で、2020年の森林率は、経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国で、3番目に高いのです。

一方、林業は安い輸入材の台頭などで長期低迷していました。担い手の減少とともに高齢化が進み、私有林の半分近くを占める人工林の3分の2は、手入れが行き届いていません。

こうした状況を改善しようと、国は2010年、公共施設などの木材利用を促す法律を施行しました。これにより、2002年に18.8%まで沈んだ木材自給率は、2020年に4割に回復しました。

林野庁の試算を基に2015〜20年度の公共施設の平均木造率を調べたところ、都道府県別で、最も国産材を利用した公共施設が多かったのは秋田県で、木造率は34.3%でした。以下、岩手県、山形県、青森県が続き、東北が上位を独占しました。日本政策投資銀行東北支店の渡辺秀幸企画調査課長は「東北は壁や柱に適したスギやマツが豊富で、製材工場も整っている」と指摘しています。

 

秋田県は、2001年、県産材利用推進会議を設置しました。木造化や内装の木質化になじまない案件は、理由を添えて会議に諮るなど、「原則木造化」を徹底しました。2020年度までの8年間に造った県営の125施設のうち7割を、木造・木質にしました。

 

岩手県も、木材需要が低迷していた2003年、秋田と同種の組織を立ち上げました。市町村と連携し、東日本大震災で被災した公共施設や災害公営住宅の整備に、県産材を積極的に利用しており、2020年度に市町村が整備した低層(3階建て以下)の木造率は、43.8%と、全国平均(17.2%)を大きく上回っています。

森林は二酸化炭素(CO2)を吸収する特徴があり、木を燃やさずに使えば、CO2を長期間貯蔵できます。民間が整備する病院や学校も含め、多くの人が集う公共的施設は、木造の良さを訴えやすいのです。

 

山形県白鷹町は、人工林が流出した2013年〜2014年の豪雨災害を契機に、森林の循環利用を高めました。製材所など6社が2016年、木材乾燥設備を整備し、伐採から加工までを、ほぼ完結できるようになりました。2019年に完成した庁舎などの複合施設では、木材利用量の75%が、地元のスギになりました。

 

☆まとめ

教育分野では、木造校舎そのものが「木育」の教材になります。文部科学省によりますと、2020年度に新築した学校施設の19.1%(154棟)は木造でした。

国が規制緩和などを実施すると、教育現場は対応が迅速なのです。富山県魚津市は、2019年、全国初となる木造3階建ての小学校を誕生させました。

国内最大級の木造校舎の整備で、千葉県流山市は、地元産の木材では量的に間に合わないため、姉妹都市の長野県信濃市から木材を調達しました。すなわち、地域材の確保が難しい「都市部」と「地方」の、木材を通じた連携も拡がっているのです。

 

ここで参照引用した2022年5月14日の日本経済新聞には、二つの図表が掲載されていました。都道府県別の公共施設木造率(2015〜2020年度平均床面積ベース、図表1)。人工林の蓄積は約50年で6倍になった(図表2)。

 

図表1は、この新聞紙上に、日本列島の地図として示してあり、都道府県別の公共施設の木造率が、緑色の濃淡で塗り分けてありました。一番、木造率が高い(25%以上)地域は、秋田県、岩手県、山形県、青森県でした。

次に木造率が高い(20%以上、25%未満)地域は、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、宮城県でした。そして最も木造率が低い(10%未満)地域は、東京都、神奈川県、大阪府、京都府、兵庫県、広島県、香川県でした。結局、中部圏から北東が、総じて木造率が高く、東京・大阪・京都などの大都市が低い状況でした。

 

図表2には、1996年から2020年までの人工林の量が図示されていました。1996年の5億立方メートルから、2020年には30億立方メートルに増えています。すなわち、約50年で6倍になっています。右肩上がりの、ほぼ綺麗な直線です。この50年間、日本は官民をあげて、植林に努力してきたのです。

 

☆参考資料

(1)日本経済新聞、2022年5月14日

 

[付記]2022年6月3日。

 

 

 

[追記 東京大学名誉教授 酒井秀夫先生の指導文]

[指導を受けたブログ名:□椎野潤(新)ブログ(423) 小柳雄平ブログ(その2)JBNの協力のもと木の文化を繋ぐ(後半)木の文化を繋ぐプラットフォーム 2022年5月31日]

 

文月恵理様

 

ブログ配信ありがとうございます。

 

地域工務店が、使用する木材の生産者との関係を大切にし、取引価格の見える化、木材流通の可視化を実現することで、木材を使用する人と森林との信頼関係が生まれていくと思います。

「木を美しく表現することが木への恩返しになる」という言葉は素晴らしいです。まさに大事な指摘です。「文化的取組みの中に文明を活かしてこそ、人々に長く喜ばれ、継続的なものとして受け継がれていく」、これこそが飛鳥の時代から今日まで続く日本の文化だと思います。私たちの根底には「木の家に対する愛情」が潜んでいるはずです。工務店間のネットワークがどう進化していくか楽しみです。

 

酒井秀夫

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