国産材活用 木造公共施設建設(その2)関東1都7県版 首都圏地域 善戦

☆巻頭の一言

このブログは、国産材活用 木造公共施設建設の第2編です。関東1都7県版です。

 

林業再生・山村振興への一言(再出発)

 

2022年6月 (№214)

 

□椎野潤(新)ブログ(425) 国産材活用 木造公共施設建設(その2) 関東1都7県版 首都圏地域 善戦 2022年6月7日

 

☆前書き

2022年5月14日の日本経済新聞は、このことを記事に書いていました。今日は、これを取り上げてブログを書きます。記事は、以下のように書き出しています。

 

☆引用

「関東8都県でも、地元産木材を使った公共施設が増えている。北関東(茨城、栃木、群馬)と山梨は、全国平均を大きく上回り、都市部の1都3県も2010年度からの10年間では増加している。国産材活用を促す法の施行や建築工法の進化が後押しする。官民一体で建築業界に工法を広め、木造率引き上げ、林業振興を目指す動きも見られる。」参考資料1、日本経済新聞(刈谷直政)2022年5月14日から引用)

 

☆解説

2020年度の木造率が、8都県の中で最大だったのは、群馬県でした。群馬県は「1990年代から、道路設備など、様々な分野で県産木材の活用を進めてきた」と県の林業振興課は言っています。同県では、県北部の沼田市や南西部の上野村など林業の盛んな地域の振興を目指しているのです。

群馬県畜産試験場(前橋市)は、木造牛舎を、現在、新築中です。一般的には、牛舎は耐久生などを考慮して鉄骨で建てられるのです。でも、ここでは県産スギの活用振興を目的に、木造化をしています。群馬県立前橋高等支援学校(前橋市)は、校舎や体育館にカラマツなど県産木材を多く採用しています。

 

2020年度の木造率が、2番目に多いのは栃木県です。でも、2010年度の木造率は12.4%に止まっていました。でも、頑張って2020年には、24.0%にまで、増加させました。2011年に「とちぎ木材利用促進方針」を策定しました。公共施設の木造化を急ピッチで進めました。那須塩原市のアスレチック場などレジャー施設でも木材を活用しています。2024年度に開校予定の林業大学校の校舎も、木造とする予定です。ここでは校舎の梁(はり)や柱など随所に、様々な工法を取り入れ、建物全体を木造工法の見本となることを目指しています。例えば、木材を単純に横に渡すと、柱が必要になるのですが、複数の木を組み上げることで、柱のない空間も設計できます。「鉄筋コンクリート造」に近い設計も可能になることを広く伝えて、「大型木造建築の可能性を広めたい」と県木材産業化は言っています。

 

山梨県は、県土の8割を森林が占めています。その内半分が人工林で、今、伐採期を迎えています。2011年から、公共建築物の木造化に取り組みました。2019年には、県が公共施設を整備するときは、原則、木造とするとした「山梨県産木材利用促進条例」を、制定しました。

2019年末に完成した県立やまびこ支援学校(大月市)の校舎・寄宿舎には、800立方メートルの木材を使いました。2019年の秋には、民間建築物での県産木材の利用を促進するため、業界団体も交えた「yamanashiウッド・チェンジ・ネットワーク」を設立しました。

 

木造化の波は、1都3県にも押し寄せています。人口増を背景に、2018年に新設した東京都江東区立有明西学園でも、木の利用の工夫をこらしています。竹中工務店が施工した、5階建て混合校舎では、教室や廊下など子供が、日常的に接する部分は木造にしています。耐火集成木材を使うなど安全面も配慮しています。

 

埼玉県では、2011年度から、県産木材を使用した公共施設を、年間60施設建設する目標を掲げました。保育所や図書館などを県産木材で建設しました。2020年度までに、県産木材を使った公共施設は1114カ所に達しました。

 

千葉県流山市は、子育て世代の流入増を受けて、2021年4月に、流山市立おおぐろの森小学校、2022年4月に、同市立おおぐろ森中学校を開校しました。いずれも、木のぬくもりを取り入れた3階建ての国内最大級の木造校舎です。この校舎は、木を使った美しい景観も実現しています。県産のスギに加え、姉妹都市の長野県信濃町のカラマツなど6000立方メートルの国産木材を使用しています。

おおぐろの森小学校は、2021年度の木材利用優良施設コンクールで環境大臣賞を受賞しました。

 

神奈川県は、県産木材を活用した施設を整備する民間企業などに補助金を支給しています。2020年12月に、小田原駅東口に開業した商業施設「ミナカ小田原」もその一つです。タワー棟(14階建て)と木造棟(4階建て)から構成されており、木造棟では江戸時代の小田原宿の旅籠(はたご)をイメージして造られました。ここでは外装材に県産スギが使用されており、最先端の木造耐火技術も採用されています。(参考資料1、日本経済新聞(刈谷直政)2022年5月14日から引用)

 

☆まとめ

日本の産業創生と地域振興に関して、東京を中心とする関東地方と山梨県が、大きく躍進している姿を、突然発見しました。

特に、国産材産業と森林サービス業の急展開の目覚ましい姿が垣間見えたのです。これは私が、ブログを書き続けてきて、永い間、待望していた姿です。読者の皆様とともに、目指してきたものが、かすかに姿を現わしたのです。私は、今、すごい驚きの渕にいます。

 

☆参考資料

(1)日本経済新聞、2022年5月14日

 

[付記]2022年6月7日。

 

 

 

[追記 東京大学名誉教授 酒井秀夫先生の指導文]

[指導を受けたブログ名:□椎野潤(新)ブログ(424) 国産材活用 木造公共施設建設(その1)全国版 東北地方が牽引 木造率は秋田県が34%で首位 岩手県、山形県、青森県が、これに続く 2022年6月3日]

 

文月恵理様

 

ブログ配信ありがとうございます。

 

2010年に制定された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が徐々にその効果を発揮しはじめてきたのではと思います。とくに秋田県は、2001年から「原則木造化」を徹底したとのことで、2020年度までの8年間に造った県営の125施設のうち7割が木造・木質というのは大きな成果だと思います。

よく木造はコストが高いとか言われますが、補修しながら長く使えば結局は一番安いですし、修理や改築も容易です。その証拠に明治時代の校舎が残っていたりします。令和の木造建築物をもっと増やし、末永く後世に残していきたいです。

 

酒井秀夫

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