職場の改革は 働き方改革と意識改革の両輪で「女性の活躍する会社」アクセンチュアが第1位 

林業再生・山村振興への一言(再開)

 

2021年7月 (№122)

 

□ 椎野潤(続)ブログ(333) 職場の改革は 働き方改革と意識改革の両輪で 「女性の活躍する会社」アクセンチュアが第1位 2021年7月16日

 

☆前書き

日本経済新聞などが調査した「女性が活躍する会社ベスト100」では、アクセンチュアが1位でした。日本経済新聞の2021年5月10日は、この記事を書いていました。今日は、これを取り上げてブログを書きます。まず、この記事の「書き出し文」の引用から始めます。

 

☆引用

「日本経済新聞社と日経BPの女性誌「日経ウーマン」による2021年の「女性が活躍する会社ベスト100」は、アクセンチュアが初の1位になった。2006年に女性活躍推進を目指す社内横断組織を立ち上げ、直近3年間で女性経営幹部比率が9ポイント上昇するなど、着実な歩みが評価された。(参考資料1、日本経済新聞、2021年5月10日から引用)

 

☆解説

アクセンチュアは2006年に、女性活用の取り組みを始めました。2015年からは「Project PRIDE」と名付けた多様性を重視した働き方改革を始めました。生産性のさを評価する給与システムへの改定、午後6次以降の会議の原則禁止など、風土改革につながる24の人事制度の変更を行い、実践しています。この結果、実施前に比べて、一人当たり平均残業時間は1時間に減少しました。離職率は1/2になりました。有給休暇取得率は70%から85%へ上昇しました。社員たちは、「働く環境が劇的に改善した」と評価しています。

働き方改革と平行して男性社員の意識改革にも、凄く力を入れました。社内では少数派である女性の問題を、自分のこととして捉えるには、どうすれば良いかを考えさせたのです。そして、その課題の一つとして、2014年から「アンコンシャス・バイアス研修(注1)」を始めたのです。これは、性差などの誰でも持つ無意識の偏見に気づいて、適切な判断をさせるのが目的です。管理職は年1回の研修で、実例を題材にして部下への接し方を確認しています。

社内イベントでは、あえて男性の人数を一人として、組織で少数派であることの「居心地の悪さ」を実感させる仕掛けも作っています。

この記事には、産休後復職した女性の事例を、具体的に紹介しています。素材エネルギー本部シニア・マネージャーの桜井理沙さんは、緊急事態宣言中の2020年4月、第3子の育休から11カ月ぶりに復職しました。管理職として、部下をまとめる立場でしたから、多少の戸惑いはありました。でも、オンライン会議などの遠隔業務にも、すぐ馴染みました。桜井さんは「ベースの環境が整っていたから」と話しています。(参考資料1、2021年5月10日の日本経済新聞を参照引用して記述)

 

☆まとめ

この「女性が活躍する会社」への改革により、女性社員の比率は、2007年の17.7%から、2021年3月時点には35.5%にまで増えました。女性管理職比率は、同8.7%から同17.9%に増えました。女性経営幹部比率も、2017年の8%から2020年には17%となり、この3年間に大きく伸びているのです。

この会社では、子育てに経験のある先輩社員が、育休の復職者の相談に乗る制度あります。それは「ワーキングペアレンツサポーター制度(注2)」です。桜井さんも、そのサポーターの一人です。

桜井さんは、復職後6カ月の女性社員から相談を受けました。この人は大分、悩んでいた様子で、「時短勤務でも、プロジェクト勤務に、うまく入れるのでしょうか」と尋ねられました。でも彼女は、なんとか、この難関を乗り越えて新たな挑戦をしたいと考えている様子でした。

そこで桜井さんは、自身の経験を丁寧に説明して、「前もって退社時間を上司に説明し、理解を得られれば問題ない」と話しました。それで彼女は安心した様子だったのです。桜井さんは、「この会社には働きやすくなるように、経験を共有する文化があります。それが、とても心強いのです」と話しています。この会社では制約がある中で、どう動き続けるかを、前向きに議論できるのです。

アクセンチュアには、女性を働きやすくするための「働き方改革」が、積み重ねられていました。さらに、男子社員への対策は「意識改革」の固まりでした。この両輪が見事に回っていました。このような会社は、激しく変化していく、これからの社会の中でも、見事に対応して進化し続けていけるはずなのです。(参考資料1、2021年5月10日の日本経済新聞を参照引用して記述)

 

(注1)アンコンシャス・バイアス研修:「無意識の思い込み」や「自身で気づいていない偏ったものの見方」に気がつかせ、改めさせる研修。

(注2)ワーキングペアレンツサポーター制度:子育てに経験のある先輩社員が、育休の復職者の相談に乗る制度。

(注3) AI:AI(artificial intelligence)=人工知能:「『計算(computation)』という概念と

『コンピュータ(computer)』という道具を用いて『知能』を研究する計算機科学(computer science)の一分野を指す語。人の頭脳の代わりに、記憶し考える機械システム。

(注3)IoT:(Internet of Things):モノのインターネット:あらゆる「モノ」がインターネットで接続され、情報交換により相互に制御する仕組み。

 

参考資料

(1)日本経済新聞、2021年5月10日。

(2)椎野潤(続)ブログ(327) 林業担い手「脱3K」若返り図る 林業若手中心に新たな流れ NPO法人「熱海キコリーズ」 2021年6月25日。

 

[付記]2021年7月16日。

 

[コメント]

アクセンチュアは、「職場改革」や「働き方改革」で、日本で最も進んでいる企業です。一方、林業・山村は、一番遅れています。この林業・山村がアクセンチュアに、何をどう学べば良いのでしょうか。

私は、6月25日のブログ(参考資料2)に、次世代林業を先導する熱海キコリーズのことを書きました。このグループを創生し牽引しているのは、女性経営者、能勢友歌(39)さんです。

これからの日本は、このようなスタートアップが、どんどん産まれてきて、林業界を次世代に、誘導してもらわねばなりません。でも、このような女性先導者の動きを、周囲の男性達がきちんと受け止めて、改革に立ち上がってくれるでしょうか。それには、林業企業の中での男性社員の意識改革「アンコンシャス・バイアス研修(注1)」が、極めて重要です。これを国をあげて、企業をあげて実施しなければなりません。

今後、林業は、人手不足が一層厳しくなります。次世代に向けて女性の役割が、さらに重要になります。また、最先端の人工知能を登載した自動機が、作業の主力になります。この操作には、女性が適任でしょう。でも、単にオペレーターとして操作するだけでなく、「人工知能で考えるロボットの相棒」と相談して作業を考える、「生産性向上」のキーマンになってもらわねばなりません。そして、AI(注3)、IoT(注4)などの知識も身につけていかねばならないでしょう。

さらに、この人達の出生率が大きくなって、多くの娘たちが社会人になったときは、地元林業を支える柱になっていくことが望まれます。そうなれば、アクセンチュアの「女性の活躍する会社」は、きわめて重要な参考モデルになるはずです。

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