政府目標「希望出生率1. 8%」1割が達成 144自治体 日本の未来に希望の光 

林業再生・山村振興への一言(再開)

 

2021年7月 (№123)

 

□ 椎野潤(続)ブログ(334) 政府目標「希望出生率1.8%」1割が達成

144自治体 日本の未来に希望の光 2021年7月20日

 

☆前書き

日本は少子高齢化が続き、子供の誕生の減少も続いています。しかし、この状況を打破しようとする努力も続けられており、詳しく調べてみると、その努力が実り、明るい兆しも見えてきています。日本経済新聞の2021年6月19日は、これを記事に書いていました。今日は、これを取り上げてブログを書きます。まず、この記事の「書き出し文」の引用から始めます。

 

☆引用

「1人の女性が産む子どもの数を示す合計特殊出生率(注1)の低迷が続く中、政府が目標とする「希望出生率1.8(注2)」を2013年〜2017年時点で達成した自治体が、全1741市区町村のうち144ある。うち136市町村が2003年〜2007年に比べて改善させた。出生率は将来のまちづくりに影響を及ぼすだけに、財政面だけでない総合的な支援が欠かせない。(参考資料1、2021年6月19日の日本経済新聞から引用)

 

☆解説

厚生労働省がまとめた2020年の合計特殊出生率(注1)は、1.34でした。5年連続で低下しました。都道府県で「希望出生率1.8(注2)」を超えたのは、沖縄県(1.86)だけでした。超少子化への警戒ラインとされる1.5を上回ったの14県に止まりました。これは西高東低の傾向が顕著です。東日本では、長野県(1.53)と山梨県(1.50)の2県のみでした。

新型コロナウイルスの拡大による不安の高まりで、足元では出生率のさらなる低下の恐れが強まっています。こうした状況を反転させるために、何が必要か、日本経済新聞は、こう考えて、2013年〜2017年に、大きく改善させた自治体の動向を調べています。

全国の市町村でトップの出生率、2.47をあげたのは、沖縄県金武町でした。改善率からみても、0.53ポイント上昇しており、改善率2位でした。この町では、子供1人につき10万円を支給する激励金を支払っています。また、5歳から、中学校卒業までの給食費や高校卒業までの医療費も無料にしました。

愛知県大府市や岡山県奈義町は、教育や雇用面での安心感を打ち出しています。大府市も、出生率1.93を達成しました。改善率でも0.46ポイント改善しました。同市では、2015年から2016年にかけて、小学校3年生以上の、2人に1台、タブレット端末を配布しています。

奈義町も出生率1.84を達成しました。改善率でも、0.32ポイント改善しました。同町は、2012年に、子育て応援宣言を出して支援を充実させました。出産祝い金を1人10万円支給しました。進学が困難な学生への奨学金を無利子で貸与しました。そのほか、子育て期の孤立を防ぐことをめざして、親同士が子供をケアし合う仕組みを作りあげるなど、様々な工夫をこらしています。(参考資料1、2021年6月19日、日本経済新聞(天野有輝子、山本公彦、桜井佑介)を参照引用して記述)

 

☆まとめ

2015年の出生動向調査によりますと、夫婦が理想の子供数(2.32人)をもたない理由として、最多だったのが、「子育てや教育にお金がかかる」でした。結局、地域の活力を維持する上で、子供をもちたいという思いに応えることが、自治体の最大の責務と言えるのです。

改善率0.57ポイント上昇で全国トップの東京都日の出町(出生率1.59)も、充実した支援で、子育て世代を呼び込みました。2006年度から、給食費などに充当できるクーポンを始め、中学校卒業時までに、1人月1万円を支給してきました。また、高校生には、支援金を月1万円給付しています。

人口流入が続く大都市と違い、地方では、出生率をあげても、即座に人口増には結びつかないのです。例えば奈義町では、50人の出生数を維持していますが、高齢化の進展により、現実には亡くなる人が上回ります。でも、奥正親町長は「魅力があれば戻ってきたい、外から入ってきたいという人も出てくる」と、意義を強調しています。

支援拡充は、子育て世代の囲い込み競争を過熱させるだけという、冷やかな見方もあります。でも、私は、子育て世代が、住んでみたいと思える環境を、日本各地に拡げられれば、日本全体の状況は、必ず良くなっていくと確信しています。人口減少が続くため、暗い思いになりがちな日本の未来にも、明るい光が射してくるはずです。

日本経済新聞も、ここで、新たに「女性活躍エディター」とよぶ専門職を設け、記事作成に投入してくれました。記事が格段と豊かになりました。これから先が楽しみです。(参考資料1、2021年6月19日、日本経済新聞(女性活躍エディター天野有輝子、山本公彦、地域再生エディター桜井佑介)を参照引用して記述)

 

(注1)合計特殊出生率(total fertility rate、TFR): 人口統計上の指標で、一人の女性が、出産可能とされる15歳から49歳までに、産む子供の数の平均を示す。

(注2)希望出生率1.8:若い世代の希望が実現すれば、出生率は1.8程度に向上すると想定されることから、政府は国民の「希望出生率」として「希望出生率1.8」を定めた。

 

参考資料

(1)日本経済新聞、2021年6月19日。

 

[付記]2021年7月20日。

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