林業再生・山村振興への一言(再開)
2021年6月(№111)
□ 椎野潤(続)ブログ(322) 秩父フォレストのこの一年
2021年6月8日
☆前書き
伊佐ホームズ、森林パートナーズ代表の伊佐裕さんが、「秩父フォレストのこの一年」という、皆様への献言を起草してくださいました。この一年の活動を明確に整理され、強い決意を述べておられます。この論文が、森林パートナーズの小柳雄平社長から、送られてきました。今日は、これを皆様に、お届けしてブログとします。 (椎野潤記述)
☆本文 小柳雄平
東京世田谷を中心に、日本の美しい家づくり、地域の森林環境・安全災害の社会問題に取り組む家づくりを牽引する、伊佐ホームズ株式会社の代表であり、森林の維持再生と地域材の活用促進のために、地域工務店・林業・木材加工業の連携による六次産業化を実現する「森林再生プラットフォーム」を提供する、森林パートナーズ株式会社の代表である伊佐裕さんが、2020年年始に設立した団体「秩父フォレスト」について、皆様への献言を書いて下さいました。以下、皆様にお届けします。
[皆様への献言] 伊佐 裕
「植樹を通して、さまざまな形で都市部の人々を森林とつなぐ、「秩父フォレスト」の取り組みは、ボランティアにとどまらず、文化、経済を動かし、日本の豊かな森林・人と森の関係を取り戻す活動に結び付くべく、具体的な事業になろうとしております。
[秩父フォレストのこの一年]
森と都市(消費者)を結ぶことを目的として設立した秩父フォレストも、2年目を迎え、秩父市市有林における植林活動を中心とした、様々な展開も少しずつ始まり、森への理解を国民(消費者)の皆様に広めるために、本当に必要な組織だと確信が持てるようになりました。
[その1 植樹イベント]
2020年11月14日、秩父市ミューズパーク(旧ゴルフ場跡地)での植樹活動(総勢50名・コロナ禍で参加者を制限)は、親子での参加者が中心でしたが、子供達が土を掘り、樹を植える、真剣な姿に、祖父母、両親の方々の満足そうな笑顔が印象的でした。地元の環境を守るグループやサントリーの研究者達の話も素晴らしく、自然環境への興味(オオムラサキの幼虫発見)も湧く、良き機会となったと思います。感動から始まる学問研究のきっかけにしたいと思います。
[その2 企業との連携]
大手企業の中でも環境問題への取組みが社会貢献、新しいビジネスの創出の点からも、大変関心を持たれました。現在大手商社、生命保険会社などが、企業としての植林活動を実行するべく協議を進めております。これにより森林環境への関心とともに、地方(地域)への人の移動も起こり、かつ商社において、ビジネスとしての森林資源の活用も目的とされています。ここに新しいビジネスチャンスをつくりたいと考えています。地方創生のきっかけとなるべく、行政と連携して進めていきます。
[その3 インタープリテーション(自然・文化を分かり易く人々に伝えること)]
植林とともに自然環境に学び、その学問体系を身につけ、人に教えることが出来るインタープリテーション制度(注1)を活用して、森林への関心の深化と、シルバー世代にインストラクターとして活躍してもらうべく高齢者の健康寿命化へ、寄与する仕組づくりを進めています。
[その4 樹木葬へ]
秩父市における私どもの森との取組みに、大変共感をいただいた秩父神社・薗田宮司(京都大名誉教授(宗教学・民俗学))が、世界的なコロナ禍の中で、葬送儀礼として日本人の元来の死生観に根ざした樹木葬(森林葬)について、会議を開催されました。この会議は森林環境(地域環境)への人々の関心を高め、持続可能社会実現のためにも、きわめて有効でした。秩父フォレストとしても新しいテーマとして積極的に取組んで行き度いと考えています。葬送儀礼として、自然と人間の関係の樹立のために各宗教を超越して、実現出来たら良いと考えています。ドイツでは、国民の25%で、森の中の葬式が定着しています。
以上、植樹から始まる各種の取組みのテーマは、各々が現代社会の課題を解決する一助となるものであり、建築→林業→森林環境→教育→シルバー活用→葬送儀礼→地方創生へと連鎖していくことを願っています。現在、取組み中です。」(参考資料1、伊佐裕著、秩父フォレストのこの一年を引用)
☆まとめ
伊佐裕さんの秩父フォレスト設立の1年の活動が、良く分かりました。貴重な論文を拝読できました。
(注1)インタープリテーション(interpretation):解釈、通訳。 演劇・音楽などでは、自分としての解釈に基づく役作りや演出・演奏をいう。ここでは、自然・文化を分かり易く人々に伝えること。インタープリテーション制度:自然・文化を分かり易く人々に伝える制度。
参考資料
(1)伊佐裕著:秩父フォレストのこの一年、2021年6月1日。
[付記]2021年6月8日