ワコール アバターロボットを使い顧客対応 ジブAIが立 体モデル分析 積年蓄積した全身データで勝負 

女性衣料品大手メーカー、ワコールはアバターロボット(注1)で接客対応し、ジブAI(注2、3)で立体モデルを解析します。ワコールは、積年蓄積した、膨大な全身のビックデータで勝負します。

 

林業再生・山村振興への一言(再開)

 

2021年10月 (№144)

 

□椎野潤(続)ブログ(355) ワコール アバターロボットを使い顧客対応 ジブAIが立体モデル分析 積年蓄積した全身データで勝負 2021年10月1日。

 

☆前書き

女性下着メーカーの最大手ワコール(注7)は、IT時代の最先端技術、アバターロボット(注1)とエッジAI(参考資料3、注5)技術を中核においた先端企業として、次世代産業社会に先頭で突入しました。2021年7月15日の日本経済新聞がこれを書いていました。今日はこれを読んでブログを書きます。記事は以下のように書き出しています。

 

☆引用

「ワコールホールディングスが、ビックデータを活用し、弱点だった若者の顧客を取り戻す。「ユニクロ」のブラジャーなどが席巻するなか、百貨店や専門店で30代以上を中心に売るだけではジリ貧になりかねない。50年余り測り続けた女性の体型データに、3次元の全身スキャナーなどのデジタル技術を組み合わせ、伝統的な下着事業を変革する。(参考資料1、2021年7月15日、日本経済新聞から引用)

 

☆解説

これまでブラジャーといえば、売り場の試着室で何度も試着し、販売員と最適なサイズの商品を選ぶのが一般的でした。ところが、このワコールの店では、客は殆ど店員と顔を合わさず胸に触れられることもなく、購入できるのです。

まず、個室で20台の小型センサーがついたスキャナーで全身を測ります。5秒で150万の点群データを取得します。これで全身の立体モデルを作ります。

ここまでの過程で扱うデータは、プライベートな情報です。他人に知られたくないモノです。また、人間の店員には話しにくい話題も多いのです。また、自分の身体を他人に触られたくないのです。ですから、これらの作業の直接の対応はロボットにやらせます。

でも、顧客の本音の情報は、詳しく聞かねばなりませんから、ベテランの店員が遠隔操作で、アバターロボット(代理ロボット、参考資料2、注1)を通じて聞き取り、顧客の質問には、アバターに丁寧に答えさせるのです。

でも、ここまでの顧客への対応は、ロボットが考えているのではありません。ベテランの店員が、アバターロボットを通じて顧客の情報をもらって考えて、アバターを通じて顧客に丁寧に返答させるのです。

このようにして、データが収集できましたら、このデータに長期間かけて収集してきた多くの人達の全身データを合体させ、ロボットに解析させます。ここからはAIロボット(参考資料3、注3)の登場です。AIロボットが総合的に解析します。ここでデータを考える(解析する)のは人工知能です。AIロボットが深層学習(注4)などのコンピュータ解析技術を使って分析し、立体モデルを構成します。この解析では人工知能が考えます。ここでは、二つの全く異なる機能を持ったロボットの相棒君(注5)が活躍しています。

ここでは、情報のプライバシー保護に万全を期すことが極めて重要です。でも、ここでは万全です。ここでクラウドに送信されるデータには、現地で撮影された映像データなどは含まれません。計測した寸法データの解析結果の最小限のデータの送信のみになります。ですから、外部からの侵入者に対して安全なのです。

すなわち、顧客情報収集段階は、アバターロボット(代理ロボット、注1)でベテラン社員が遠隔から対応します(参考資料2を参照)。そして実質的な解析は、接客中の現地店舗内の端末コンピュータが行うのです。これにより、処理コストは安くなり、プライバシー保護も万全になります。(参考資料1、2021年7月15日の日本経済新聞(DXエディター社師康佑、片山志乃)を参照引用して記述)

 

☆まとめ

ワコールは、1946年に創業。創業時の社名は和江商事。最初の事業はアクセサリー販売。1948年からブラジャーを販売。1950年、世界一の下着メーカーを目指し「50年後の経営計画」を設定し高島屋に出店。「和江の名を永遠に留める」という経営戦略から、「和光留=ワコール」と社名を変更しました。

「女性一人ひとりに最適なブラジャーを提供」をモットーにして、女性の全身寸法を手計測で地道に測り続け、データを蓄積してきました。その創業時からの未来をみる的確な目と地道な努力の積み上げが、AI・IoT時代の現代で、見事に結実しました。接客におけるアバターロボットの活用。データ解析・商品開発・個々人に対する最適商品の提供に、エッジAIをいち早く採用。まさに、IT時代の次世代に先行して突入しています。

これは近年、世界的に低迷していたアパレル産業の次世代に向けた猛発進の基点となるでしょう。アバター、エッジAIの基本先端技術は、アパレル産業のファッション・スタイル・型・色彩などの次世代を牽引するものに、瞬く間に、移って行くはずです。

 

この先端技術の各産業への伝播は、「地域再生・山村振興」にも同様に影響を及ぼして行くでしょう。先端技術が、どのように取り込まれていくのか、私は強い関心を持っています。(参考資料1、2021年7月15日の日本経済新聞(DXエディター社師康佑、片山志乃)を読んで発想)

 

(注1)アバターロボット:バーチャルに存在していたアバターをリアルの世界で実現するもの。 人が遠隔からアバターロボットを操作し、ロボットが体験したことを自分の体で体験すること。アバター:コンピュータネットワークで用いられる、自分の分身となるキャラクター。アバターロボット=分身ロボットは、自ら考えて行動することはなく考えるのは遠隔地からアバターを操作する人間である。AIを搭載したロボットよりも開発は簡単なように思えるが、実用化するには高度な課題がある。

(注2)人工知能(AI):AI(artificial intelligence)=人工知能:「『計算(computation)』という概念と『コンピュータ(computer)』という道具を用いて『知能』を研究する計算機科学(computer science)の一分野を指す語。人の頭脳の代わりに、記憶し考える機械システム。

(注3)AIロボットの相棒:AIが計算・分析して回答してくれるスマホなどは、結局、一番頼りになる相棒である。筆者は、これをAI相棒ロボットと呼んでいる。

(注4)深層学習:人や動物の脳の神経回路をモデルにした、多層のニューラルネットワーク(ディープニューラルネットワーク)による機械学習の手法。機械学習(Machine Learning):経験からの学習により自動で改善するコンピューターアルゴリズムもしくはその研究領域で人工知能の一種。

(注5)エッジAI:クラウドで運用している人工知能(AI)と異なり自動車やカメラ、ドローンなど利用者に近い端末(エッジ)で画像解析などを担うAI。あらかじめ多量のデータで学習させたAIを使って解析等を行う利用方法が一般的。小型の端末でもデータをリアルタイムに高速処理できる。

(注6)クラウドコンピューティング(cloud computing):インターネットなどのコンピュータネットワークを経由して、コンピュータ資源をサービスの形で提供する利用形態。略してクラウドと呼ばれることも多く、cloud とは英語で「雲」を意味する。

(注7)ワコール:京都市に本社を置く、日本の衣料品メーカー。事業の中心は、女性用下着販売。

 

参考資料

(1)日本経済新聞、2021年7月15日。

(2)椎野潤(続)ブログ(354) 障害者遠隔から本当に役立つ仕事を 分身ロボット (アバターロボット)「オリヒメ」使い接客 テレワークにコロナが追い風 2021年9月28日。

(3)椎野潤(続)ブログ(348) AIの次世代 エッジAI 実店舗を大改革 契約書類作成 自動運転にも クラウドに代わり台頭 2021年9月7日。

(4)アバターロボット ウィキペディア。

 

[付記]2021年10月1日。

 

[コメント]

[アバターロボットウィキペデベア]

アバターロボットについて、ウィキペディア(参考資料4)は、以下のように書いています。

「アバターロボットは、自ら考えて行動することはなく考えるのは遠隔地からアバターを操作する人間である。AIを搭載したロボットよりも開発は簡単なように思えるが、送られてくる人間からの指示をリアルタイムに実行して体をコントロールしたり、逆にロボットが触った感触をデータ化してリアルタイムに人間に伝える必要があり、多くの要素技術を組み合わせる必要があり、実用化するにはインタフェースを含めて高度な課題がある。

1980年に舘 暲(たち すすむ)東京大学名誉教授が世界に先駆けて提唱し推奨したテレイグジスタンスの概念を実現させるためのロボット技術である。国内先駆けの実用例としては、2010年にロボットコミュニケーターの吉藤健太朗が開発した分身ロボット「OriHime」が2014年から難病患者宅、教育現場などで活用されている。テレイグジスタンス(Telexistence):遠隔臨場感、遠隔存在感。」

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