今日のブログの主人公はロボットです。でも、このロボットはアバターロボット(注1)です。人工知能(AI、注2)は登載していないのです。遠隔地に住む障害者たちが、ネットを通じて顧客を喜ばせているのです。
林業再生・山村振興への一言(再開)
2021年9月 (№143)
□椎野潤(続)ブログ(354) 障害者 遠隔から本当に役立つ仕事を 分身ロボット (アバターロボット)「オリヒメ」使い接客 テレワークにコロナが追い風 2021年9月28日。
☆前書き
各地の地域に住む障害者が、ネットでの遠隔で、分身ロボット(アバターロボット)「オリヒメ」とコミュニケーションして、顧客を喜ばせ、自身の心にも明るい灯(ひ)を灯す嬉しい事例が増えています。2021年8月12日の日本経済新聞がこれを書いていました。今日はこれを読んでブログを書きます。記事は以下のように書き出しています。
☆引用
「IT(情報技術)を活用して障害者が遠隔で働けるようにする取り組みが首都圏で広がっている。障害者は在宅で働くことができるため移動の負担が減るほか、企業は地方在住者などの採用機会を増やしやすくなる。コミュニケーションなどの課題はあるが、障害者の働き方の選択肢が広がる可能性がある。(参考資料1、2021年8月12日、日本経済新聞(杉本耕太郎)から引用)
☆解説
今日取り上げる企業は、東京・日本橋の分身ロボットカフェDAWN Ver.β(ドーンバージョンベータ)と言う会社です。
この会社は、顧客と接客する分身ロボット(注1)「オリヒメ」を開発しています。記事は、オリヒメの接客の様子から、書き始めています。
子供ほどの大きさの白いロボット「オリヒメ」が、通路を移動して料理を届けています。テーブルの上には、さ23センチメートルの小型ロボットが客の話し相手を務めています。このロボットは、障害者が自宅などから遠隔操作をしているのです。このカフェで働く障害者は、国内外に住む50人です。
オリヒメは手をあげるしぐさもでき、店内ではオリヒメ同士やスタッフとコミュニケーションをとる光景も自然にみられます。
ここでは、オリヒメは、事実上、接客の主人公です。でも、オリヒメが顧客を本当に喜ばすことができるのは、在宅勤務で顧客の相談にのっている、在宅勤務の従業員のお蔭です。在宅で相談にのる従業員からの連絡を受けて、オリヒメは素直に行動しています。車椅子生活の三好史子さんは「その場にいるかのように働けます」と言っています。
自治体も熱意を示しています。この店の所在地、東京都港区では、2021年7月、オリヒメを使った実証実験を開始しました。その活用の場は、今、どんどん、広がりつつあります。(参考資料1、2020年8月12日の日本経済新聞(杉本耕太郎)を参照引用して記述)
☆まとめ
ここのところしばらく、私のブログは人工知能AI(注2)についての話題を中心に書いてきました。そして今回は、ロボットを話題として取り上げました。でも、今回取り上げたロボットが考える頭脳は、人工知能(AI)ではないのです。ここで取り上げた「オリヒメ」は、分身ロボット(アバターロボット、注1)です。
世界の人達は「アバターロボット」と言わないと解らないと思います。日本語の「分身ロボット」では解らないでしょう。でも、世界の人達は、アバターロボットのことは良く知っているはずです。アバターロボット(注1)には、人工知能(AI、注2)は、登載されていないのです。
そのためアバターロボットは、自ら考えて行動することはありません。遠隔地からアバターを操作する人間の考えに従って行動するのです。ここで遠隔地から操作していたのは、各地にいる障害者たちでした。この人達は、こころ優しい人たちが揃っているのです。ですから、オリヒメは、どんな人にも優しく接するのです。
私は、この人たちの優しい心「オリヒメ」の優しい心を核にして、未来のやさしい「こころの社会」を、作って行きたいと熱望しています。
インターネットで「分身ロボット(注1)」を検索しましたが、情報は多くはありませんでした。でも、「分身ロボットオリヒメ」で検索してみて驚きました。ネットは「オリヒメ」の情報で満ち溢れていたのです。「オリヒメ」は2010年に開発され、2014年から実用化されています。日本で開発された先端ロボットとしては古株です。
このアバターロボット(注1)は、難病で苦しむ人など、これまで人々とのコミュニケーションが難しく孤独だった人たちに、明るい心の灯(ひ)を灯しました。難病の人たちは支援する支援者の力を借りてアバターロボットに触れ、喜びの声を発していました。ネットは、この喜びに溢れていたのです。今日は、このブログの巻末「コメント欄」に、それを書いておきます。
近年、身体障害者の「優しいこころ」が、遠隔操作で日本各地の地域から発信され、都市部の激烈な競争の中で疲れて悩む人たちの心を癒している効果に、多くの人が驚いています。アバターロボットを使った地域の身障者の遠隔操作の活動が都市部の人達の心を安定に導き、コミュニケーションを改善し、さらに進んで、地域活性化や山村振興をも牽引するのです。国も自治体も企業も市民も総力を挙げて、強力にこれに取り組んでいくべきです。
(参考資料1、2020年8月12日の日本経済新聞(杉本耕太郎)を参照引用して記述)
(注1)アバターロボット=分身ボット:バーチャルに存在していたアバターをリアルの世界で実現するもの。 人が遠隔からアバターロボットを操作し、ロボットが体験したことを自分の体で体験すること。アバター:コンピュータネットワークで用いられる、自分の分身となるキャラクター。分身ロボットは、自ら考えて行動することはなく考えるのは遠隔地からアバターを操作する人間である。AIを搭載したロボットよりも開発は簡単なように思えるが、実用化するには高度な課題がある。
(注2)人工知能(AI):AI(artificial intelligence)=人工知能:「『計算(computation)』という概念と『コンピュータ(computer)』という道具を用いて『知能』を研究する計算機科学(computer science)の一分野を指す語。人の頭脳の代わりに、記憶し考える機械システム。
(注3)共生社会:障害者を含む全ての人々が、お互いの権利を尊重し、支え合う社会。地域住民や地域の多様な主体が、わが事として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて、丸ごとつながることで、住民一人ひとりの暮らし、生きがいと地域を共に創っていく社会。
参考資料
(1)日本経済新聞、2021年8月12日。
(2)アバターロボット ウィキペディア。
(3)OriHime プロダクト紹介 オリィ研究所。
(4)椎野潤(続)ブログ(345特別) パラと歩む共生社会 夏期パラリンピック東京大会開会 2021年8月27日。
(5)椎野潤(続)ブログ(345) 多様な働き方できる自治体 10万人都市が上位を占める 2021年8月27日。ブログ(345特別)内に登載。
[付記]2021年9月28日。
[コメント1][アバターロボットについて]アバターロボットについて、ウィキペディア(参考資料2)は、以下のように書いています。
「アバターロボットは、自ら考えて行動することはなく、考えるのは遠隔地からアバターを操作する人間である。AIを搭載したロボットよりも開発は簡単なように思えるが、送られてくる人間からの指示をリアルタイムに実行して体をコントロールしたり、逆にロボットが触った感触をデータ化してリアルタイムに人間に伝える必要がある。多くの要素技術の組み合わせが必要であり、実用化するにはインタフェースを含めて高度な課題がある。
1980年に舘 暲(たち すすむ)東京大学名誉教授が世界に先駆けて提唱し推奨したテレイグジスタンスの概念を実現させるためのロボット技術である。国内先駆けの実用例としては、2010年にロボットコミュニケーターの吉藤健太朗が開発した分身ロボット「OriHime」が2014年から難病患者宅、教育現場などで活用されている。テレイグジスタンス(Telexistence):遠隔臨場感、遠隔存在感。
[アバターロボット、オリヒメのさまざまな活用]
(1)受付OriHime。
(2)病院にいながら家族旅行ができた。
(3)不登校対策ロボット。
(4)絆を紡ぐロボット まるで一緒にいるみたい。
(5)在宅だけどウェートレス勤務 重度障害者 分身ロボット。
(6)20年寝たきりの秘書と果たした夢。
(7)分身ロボットで在宅学習。
(8)オリヒメ母さんの生き方学ぶ対人援助職。
(9)引きこもりで変人 分身ロボットで起業。
(10)会いたい人の分身をロボットで実現。
[コメント2][共生社会について] 私が、このブログで述べた、最も重要なことは、「アバターロボットを使った地域の障害者の遠隔操作の活動が、都市部の人達の心を安定に導き、コミュニケーしョンを改善し、さらに進んで、地域活性化や山村振興も牽引する」ことでした。
でも、これが目指していたのは結局、パラリンピックに世界から集まったアスリート達が目指していた共生社会(注3)の実現と同じものでした(参考資料4、5)。すなわち、障害者も含む全ての人々が、お互いを尊重し支え合う社会を作り上げることなのです。これは世界の人々が目指している理想社会です。