地域再生 コロナ禍後への模索 現場の人手不足再び 問われる情報発信力

林業再生・山村振興への一言(再開)

 

2021年10月 (№151)

 

□椎野潤(続)ブログ(362) 地域再生 コロナ禍後への模索 現場の人手不足再び 問われる情報発信力 2021年10月26日。

 

☆前書き

日本人と日本社会は、コロナの悪魔に襲われて苦しんできました。これがようやく終焉に向う兆しが見えてきましたが、また、人手不足が始まってきたのです。でも、採用難の内容は、大分違ってきているようです。2021年9月17日の日本経済新聞が、これを書いていました。今日は、これを読んでブログを書きます。

 

☆引用

「新型コロナウイルス禍が続く中でも、製造業を中心に業績が回復傾向にある中小企業では、再び人手不足が課題になりつつある。新卒、中途も採用に苦労する企業も多い中、IT(情報技術)、環境などに絡めた取り組みが人材獲得のカギを握るようだ。(参考資料1、2021年9月17日、日本経済新聞から引用)」

 

 

☆解説

東京都労働局が発表した2021年7月の有効求人率は1.19倍で2カ月連続で改善しました。新卒求人数は、製造業が前年同月比35%増えました。医療・福祉も22%増えて、建設業も14%増えました。緊急事態宣言で休業・時短営業を強いられた飲食などの非製造業と異なり、これらの産業は、IT、半導体関連ではコロナ禍が追い風になっている企業もあるのです。売り上げ高や受注が回復する中、採用難も再燃しています。

変圧器製造のNISSYO(東京都羽村市)は、半導体製造装置の需要増でコロナ禍でも売り上げ高が前年同月を4割上回りました。とにかく人が欲しい状況です。2020年9月から1年間で中途採用10人の採用に成功しました。でも、大学の新卒の採用には苦戦をしています。5人の採用枠に2人しか内定が出ていません。同社は「大手志向は変わらない」と言っています。

一方、デシタルトランスフォーメーション(DX、注1)などIT分野に関連する採用では、反応は異なっています。軸受け製造の折橋製作所(東京・江東)は茨城県古河市の工場で、工員として働く中途採用を数人採用するのとは別枠で、受注と生産を一貫管理する技術者を募集しました。工員の採用は決まらないままですが、こちらは採用がすぐ決まりました。同社は「ものづくりとITは採用の状況が違う」と感じています。

 

自立発電の街路灯など省エネ機器製造のMIRAI−LABO]ミライラボ(東京都八王子市)は、道路の路面での太陽光発電などの新規事業展開に備え、2020年末で24人だった従業員を、技術者を中心に倍増させる計画を立てました。電気自動車(EV)関連や家電大手出身の技術者を含めて、今年中に達成できる見通しです。同社は4年ほど前までは、1人の採用にも苦労していたのです。応募の動機を聞きますと環境、SDGs(持続可能な開発目標、注2)などのキーワードで検索して同社に注目したという応募者が多数でした。

平塚利男社長は「以前はなかったSDGsやESG(環境・社会・企業統治、注3)という言葉に絡めた採用での情報発信力が重要であることがわかった」と話していました。

(参考資料1、2021年9月17日、日本経済新聞を参照引用して記述)

 

☆まとめ

世界の産業社会は、次世代へ向けて激しく移行を始めています。コロナの悪魔は日本の社会と日本の人々に様々な打撃を与えましたが、この改革の障害であった厚い壁にも、その凄いエネルギーで打撃を加え、穴を開けてくれました。すなわち、コロナによって日本の産業社会の次世代に向けた改革の動きも、加速したのです。今までは、なかった新しい産業社会の姿が、どんどん見え始めています。その新社会を担う企業の創生も始まりました。ここで新しいタイプの会社が産業社会を担い始めるということは、これまで担っていた古いタイプの企業が、段々、退場していくということです。

 

このような時代になると、学校を卒業して会社に入ろうとしている就職活動中の若者は大変です。会社を選ぶとき、今後、段々だめになる会社を避けて、これから伸びしていく会社を選ばねばならないからです。会社の大きさ、業績だけではなく、コロナ禍後の社会の進歩について行ける企業を探さねばなりません。

このような就職活動をしている若者にとって、今日のブログは、とても参考になるはずです。就活のポイントが良く判っている受験生たちは、有望会社を探す手段としてSDGs(注2)やESG(注3)をキーワードとしてネット検索していました。そうして有望会社を探り当てていました。

 

林業再生・山村振興分野においても、先見の明があり、未来に向けて熱い情熱を持つ若者を獲得するには、同様の方法が活用できるはずです。

林業関係でSDGs(注2)とESG(注3)の視点から見て重要な仕事を浮かび上がらせて、それを基点とした事業モデルを組立て、SDGs・ESGの語を巧みに織り込んだ求人広告を、ネットで広く発信すれば良いのです。これにより、有望な人材が、きっと、検索してくれると思います。凄い人材が採用できます。これによって、林業・山村の次世代に向けた改革を、着実に前進させることが出来るようになると思います。

 

(注1)デシタルトランスフォーメーション(Digital Transformation、略語はDX):進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること。既存の価値観や枠組みを根底から覆すような革新的なイノベーションをもたらすもの。略語がDXである理由は、「Trans」を「X」と略すことが一般的な、英語圏の表記に準じているため。

(注2)持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals):17の世界的目標、168の達成基準、232の指標からなる持続可能な開発のための国際的な開発目標。ミレニアム開発目標が2015年に終了することに伴って2015年9月の国連総会で採択された。

(注3)ESG:環境面(E)、社会面(S)、企業統治面 (G)への適切な配慮を行う企業に対して行う投資。「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を取った略語。企業の社会的責任活動は利益の一部を社会に還元する意味合いが強かったが、ESGは環境や社会への配慮、企業統治の向上を通じて企業価値の拡大を目指す点で違いがある。企業がESGに積極的に取り組むとブランド力向上や事業リスクの低減につながり、持続的な成長が可能になるとされる。国連が2006年に「責任投資原則」の考えを提唱し、機関投資家にESGの視点を盛り込んだ投資を求めたことが注目される契機になった。

 

参考資料

(1)日本経済新聞、2021年9月17日。

 

[付記]2021年10月26日。

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