南紀熊野スーパーシティ構想 3800人の村の挑戦 和歌山県すさみ町 特区へ名乗り  先端技術を通じた小町村の存続への挑戦 

林業再生・山村振興への一言(再開)

 

2021年5月 (№101)

 

□ 椎野潤(続)ブログ(312) 南紀熊野スーパーシティ構想 3800人の村の挑戦 和歌山県すさみ町 特区へ名乗り 先端技術を通じた小町村の存続への挑戦 2021年5月7日 。

 

☆前書き

人口3800人の極小さな町は、地域再生を果たせるのか。県と一体の挑戦が始まります。2021年4月14日の日本経済新聞は、以下のように書いていました。

 

☆引用

「人口減や高齢化などの社会課題に対応するため、先端技術を通じた持続可能な街づくりを後押しする政府の「スーパーシティ」構想(注1)に、和歌山県すさみ町が名乗りを上げる。民間企業と共同でデータ連携基盤を構築して、交通・防災・医療の利便性の向上と、観光資源を生かした先端サービスの実現を進め、交流人口を呼び込む構想だ。人口3800人の小規模自治体は、地元の再生は果たせるか。県と一体の挑戦が始まる。」(参考資料1から引用)

 

☆解説

人口3800人の南紀和歌山のすさみ町は、風光明媚な美しい町です。でも、高齢化と人口減で、一時期、「消滅可能性都市」の一つに挙げられ、直近50年で、人口は半数以下に減ったのです。今後、四半期でさらに半減するとも予測されていました。そのすさみ町が、政府の推進するスーパーシティ特区入りを目指しているのです。

すさみ町は、町土の9割を超える林野に、階段状に広がる美しい海岸線を持つ、小さな町です。でも、それゆえに、住民同士のつながりは、暖かいのです。そんな地元に入り込むような滞在体験を、来訪者に提供して、再訪を誘えないか。そして移住誘致にもつなげられないかと、政府の進めている「スーパーシティ構想(注1)」に応募することにしたのです。これは和歌山県と共同で推進している「南紀熊野スーパーシティ構想(注1)」です。

これは先端技術をテコに、町の立地や規模の悪環境を、逆に魅力に転換して、県外からの交流人口の拡大の道を探るのです。これに成功すれば、小規模自治体活性化の貴重な「モデル」になるでしょう。重点策は、自動運転の技術を通じた交通の改善や、地震や津波などに備えた防災、医療アクセス、さらに、環境資源を生かした先端サービスです。具体的には、顔認証技術により訪問者が、町民と顔見知りのように滞在できる安心・安全サービスの構築を目指しています。

最大の武器は、空の便です。隣接する和歌山県白浜町にある南紀白浜空港と羽田空港との往来は約1時間です。新型コロナの悪魔の到来で、次世代で中心になるとみられてきた、仕事と休暇を組み合わせた「ワーケーション(注2)、参考資料2、3」が、今、俄かに現実のものとなりました。このワーケーションの最適地として、小さな、かすみ町が俄かに着目されています。

 

☆まとめ

この小さな町のスマート化は、データ連携基盤構築では、民間と組んで、小規模自治体ならではの手法で進めています。データの収集・活用をしているスタートアップ(注3)のウフル(東京・港)は、2018年に、和歌山県と白浜町と進出協定をむすび、白浜町に拠点を開設しました。同社は「レトロフィット(注4)というコンセプトを掲げています。現代は、最先端IT技術を駆使しないと最先端の産業改革・技術革新はできません。でも、金がかかる新鋭コンピュータなどは、買わなくても良いのです。人工知能(注4)やIoT(注5)に強い人に参加してもらって、新鋭ソフトを使ってもらえば、コストを抑えて最先端の体制にできるのです。これがレトロフィット(注4)という技術です。

すさみ町にも、凄い高度技術者がきてくれています。すさみ町の最高技術責任者は、白浜町の拠点と合わせて、先端技術を推進してくれています。それによりワーケーション(注2)もかなり進展しており、すさみ町のワーケーション先進地としての評判は、高くなりました。

人口3800人の「すさみ町」のこれからは、凄く楽しみなのです。次世代社会の実現に向けて、どんどん、先頭を走っていくことでしょう。(参考資料1を参照・引用して記述)

 

(注1)スーパーシティ構想:先端技術を活用した遠隔教育や医療、ドローンによる自動配送や自動車の自動運転、キャッシュレス決済などのサービスを住民へ提供する「住みやすい未来都市」を、国や地域、事業者が一体になって実現させようという取り組み。南紀熊野スーパーシティ構想:消滅可能性都市「すさみ」を日本の最先端の町に。Microsoft PowerPoint – 00_南紀熊野SC構想コンセプトペーパー (wakayama.lg.jp)。

(注2)ワーケーション:work(ワーク)とvacation(バケーション)の合成語。休暇中、特に旅行先でテレワークを行うこと。

(注3)スタートアップ:「始める」「起こす」「立ち上げる」という意味を持つ英語表現。スタートアップ=スタートアップ企業:新しく設立された会社のこと。特に、新規事業領域を開拓する会社のこと。

(注4)レトロフィット(retrofit): 旧型式の 機械を改装 ・改造して新型式にすること。最近の人工知能(AI)、IoTを使った最先端技術の開発では、コンピュータのハードは交換しなくても、ソフトを更新することで、最先端の体制に変えることができる。

(注5)人工知能(AI:artificial intelligence):「『計算(computation)』という概念と『コンピュータ(computer)』という道具を用いて『知能』を研究する計算機科学(computer science)の一分野を指す語。人間の頭脳の代わりに「考えて記憶する」機械のソフトウエア。

(注6)IoT(Internet of Things):モノのインターネット:あらゆる「モノ」がインターネットで接続され、情報交換により相互に制御する仕組み。

 

参考資料

(1)日本経済新聞、2021年4月14日。

(2)再開ブログ(001) 新型コロナの大爆発で世界は危機に直面 今求められているのは「遠く離れていても相互に信頼を高められる働き方改革」「テレワーク・ワーケーション」2020年4月1日。

(3)再開ブログ(002)ふるさとテレワークとワーケーション  2020年4月10日。

(4)椎野潤(続)ブログ(293)林業再生・山村振興ブログ 林業・山村スタートアップの先導者たち(その1)株式会社中川 2021年3月2日。

 

[付記]2021年5月7日

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