米国で植物肉が「普及元年に」 世界小売り最大手ウォールマートが先導 

私は森林とその周辺で、木材、木製品以外に、何か産出物を増やせないかと、思考していました。そして、私は、2021年の新年の挑戦テーマとして、「植物肉」を考えていたのです。ブログを書く情報を、新聞で探していましたら、2021年正月、1月5日の日本経済新聞の朝刊(参考資料1)に、「シンガポール『食品テック』育む、培養肉などの人工食品開発を、政府が支援」という、大きな見出しを見付けました。私は、これを読んで、ブログを書こうと思い立ったのです。

この見出しをみて、私は、シンガポールは、人工肉などで、世界の先進国なのだろうと思ったのです。でも、そうではなかったのです。シンガポールは、米国に比べて、立ち遅れていました。それで政府が、研究開発から、生産・販売まで一貫支援し、培養肉などの人工食品を開発する新興企業の進出を促していたのです。

この事例は、日本にとって、凄く参考になります。日本の今の立場は、シンガポールと、まさに同一だからです。

一方で私は、昨年(2020年)の10月4日の同紙(参考資料2)の記事を、思い出しました。この日の記事の見出しは、「植物肉『普及元年』に」でした。記事は、「コロナ危機を契機に米国で、植物肉が一気に普及した」と書いていたのです。そして、詳細な実例も報告されていました。

まず、米国の植物肉の「普及元年」のブログから始めます。

 

林業再生・山村振興への一言(再開)

 

2021年1月(№72)

 

□ 椎野潤(続)ブログ(283)米国で植物肉の「普及元年」に 米社会をウォールマートが次世代社会へ先導か 2021年1月26日

 

☆前書き

米国では、世界の食料危機が来るのは、そう遠い先のことではないという認識があり、早くから、植物肉(注1)の研究開発が進められていました。これが、コロナ危機の襲来で、一気に加速したのです。2020年10月4日の日本経済新聞の朝刊は、以下のように書き出していました。

 

☆引用

「大豆など植物由来の成分でつくる「植物肉」の普及が加速してきた。新型コロナウイルス禍を契機に、消費者の意識が変わってきた。米小売り最大手ウォールマート(注2)など流通企業が取り扱いを拡大し、国内外外食企業でもメニュー投入が相次ぐ。食品大手や新興企業も、商品開発を強化し、政府の後押しも広がる。2020年は植物肉の「普及元年」になりそうだ。(参考資料1から引用)」

 

☆解説

2020年の春、米国の食品加工工場で、コロナの集団感染が発生しました。スーパーは、精肉の購入を制限しました。また、ハンバーガーを販売できない外食店が続出しました。トランプ大統領が、生産継続を求める大統領令を出す事態になったのです。精肉の値上がりで割高感が薄れた植物肉に、消費者が手を伸ばしたのです。

米国の植物肉においては、スタートアップのビヨンド・ミートやインポッシブル・フーズの躍進が顕著です。ビヨンド社の2020年4〜6月期の売上高は、1億133万ドル(120億円)と前年同期比で、69%増えました。米国内外での小売り向けの「植物肉」の販売が増えたからです。

一方で、小売り業者の最大手ウォルマート(注2)の、販売拡大が目を引きます。2020年7月には、スタートアップのインポッシブル社の商品の販売を開始しました。同年9月29日には、ビヨンド社の商品を扱う店舗数を、その時点での800店から2400店に増やすと発表しました。ウォールマートは、次世代商品を足元のビジネスとして取り扱っています。ウォールマートは、社会を次世代へ牽引する先導者です(参考資料1を参照して記述)。

 

☆まとめ

2020年、米国社会は、コロナ禍のもとで、次世代社会に大きく前進しました。引用した記事が書いていたように、米国の2020年は、植物肉の普及元年になったのです。それに対して、日本では、大きな変化はありませんでした。ここに大きな差が出来たのですが、その原因はコロナウイルスにありました。

コロナウイルスは、世界中の人々に、多くの災難を与えましたが、米国人に対しては、食肉改革に関しては、幸運をもたらしたのです。でも、日本で、食肉工場でのコロナの集団感染が発生していたら、食肉革命が起きたでしょうか。私は、それは難しかっただろうと思います。米国では、工場のコロナ感染で、スーパーから食肉が消えたとき、即座に、その代替えとして植物肉が店頭に並んだのです。日本では、それは出来なかっただろうと思うのです。

でも、ここで参照した記事を、丁寧に読んでみますと、日本にも、大きなリスクを背負って、高額の先行投資をしていた企業がありました。それは不二製油グループ本社です。同社は「植物肉」の原料となる、粒状大豆たんぱくの増産へ、29億円を投じて、千葉県に新工場を立ち上げていたのです。

 

そこで私は、自分が命懸けの大手術を控えて、長期にわたり書き続けていたブログの終了宣言をした2020年1月のブログ(参考資料2)の中に、植物肉のブログがあったのを発見しました。このブログを読むと、不二製油は、2019年9月、植物由来専門店をオープンしています。大阪府泉佐野市に阪南工場があり、この時、すでにフル操業していました。その後、報道がなく、読んだ記事にも記載がなかったので、私の認識不足でした。末尾のコメント欄に、このブログを部分引用して示しておきます。

 

でも、この記事には、多くの企業が挑戦をはじめたと記載されていましたが、やはり、不二製油は、突出していました。世界の速い動きへの対応が遅い日本社会の中にあって、このように積極的に対応する企業が存在していたのです。

私は、このような少数の企業を、大事にしなければならないと、あらためて、痛感しました。そして、2021年の新年こそ、未来に向かった改革が、日本でも力強く、本格的に始まってほしいと願ったのです(参考資料1を参照して記述)。

 

(注1)植物肉=代替肉:動物を屠殺・食肉処理した通常の肉ではなく、大豆など植物性原料を使い肉の味や食感を再現して作られた、肉の替わりとなる植物ベースの食品。

(注2)ウォールマート(Walmart Inc.):アメリカ合衆国アーカンソー州に本部を置く世界最大のスー本格的パーマーケットチェーン。売上額で世界最大の企業。ウォルトン一族による同族経営企業。現在、世界15か国に進出し、日本では西友を子会社化して事業展開している。2018年、楽天と提携関係を結んだ。

 

参考資料

(1)日本経済新聞、2020年10月4日。

(2)椎野潤ブログ 「植物肉」開発競争激化 伊藤ハム家庭用植物肉産業に参入 セブン・イレブン ハンバーガーに採用 米国 次世代に向け基幹産業化 世界人類を襲う食料危機を救う その先端技術を先駆けて開発 2020年1月12日。

 

[付記]2021年1月26日。

 

[コメント]

「不二製油も、2019年9月に、植物由来専門店をオープンしました。この店は、唐揚げなど約20種類の惣菜やデザートで全てが植物由来です。植物肉は油脂を除いた大豆に熱と圧力を加え繊維状にして加工します。主力の阪南工場(大阪府泉佐野市)はフル操業です。2020年7月には24億円を投じて、千葉県に専用の新工場を稼働させます。生産能力は、現在の年9千トンから倍増します。」(2020年1月12日、参考資料2から引用)

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