「麒麟がくる」ロケツーリズムで盛り上がる明智光秀の古里

NHKの大河ドラマ「麒麟が来る」は、今、人気が沸騰しています。でも、コロナ危機の不安から、ロケが中止になり休眠しています。でも、この「麒麟がくる」で盛り上がっている地域があります。明智光秀の古里、岐阜です。私は過去に、この「岐阜のロケツーリズム(ロケーション+観光旅行、注1)」について、ブログを書いています。これは2019年7月13日のブログです。今日は、まず、これを引用します。

 

□椎野潤ブログ(229)ロケツーリズムに地域が盛り上がる

NHK大河ドラマが縁 岐阜の観光 2019年7月13日

 

☆前書き

NHKの大河ドラマ「麒麟がくる」の放映予定が決まってから、その舞台である岐阜は盛り上がっています。2019年6月28日の日本経済新聞の夕刊に、これが出ていました。今日は、これを取り上げてブログを書きます。記事は、以下のように書いています。

 

☆引用

「映像作品のファンを受け入れることで広く観光客の誘致につなげる『ロケツーリズム(注1)』が、全国的に注目を集めている。岐阜県内では、「君の名は」で飛騨市が。NHK朝の連続テレビ小説「半分、多い」で県南東部が舞台になり、多くのファンが訪れた。「麒麟がくる」では官民連携で、ノウハウを共有し、一過性のブームに終わらせない取り組みにすることを、目指している。」(参考資料1から引用)

 

☆解説

「麒麟がくる」の放送が公表されたのは、2018年4月でした。岐阜県と関係市町村、観光団体は、「岐阜県大河ドラマ『麒麟がくる』推進協議会」を設置しました。放送終了までに1000以上の土産物を作るのを目標にして開発を進めています。参加した市町の数は、当初は8市町でしたが、現在は16に増えています(注2)。

ロケツーリズムは、カタカナでロケツーリズムと書くと新しい取り組みのように聞こえます。でも、「ロケツーリズム」は、かっては映画を対象として、「フィルムツーリズム(注1)」と呼ばれ、日本でも1990年代から行われていました。また、芸術作品の背景を知ることを目的とした旅は、古くから行なわれていたのです。和歌に登場する名所を巡る旅人は、遠い昔からいました。ロケツーリズムは、古くて新しい旅なのです。

でも、観光地は、目新しさが無くなると飽きられる傾向があるのです。ロケツーリズムで、長期間、観光客の興味を引き続けて行くには、新しい観光資源の発掘や観光スタイルの提案を、常に維持していく必要があります。

でも、米国では、映画放映終了後も観光客が、年々増加した実例があります。次第に人気が増していき、定番観光地となっていった例もあるのです。

しかし、ロケツーリズムで観光客を呼び込むには、充分な準備が必要です。ドラマや映画が公開された後では、手遅れになることが多いのです。製作時点からプロモーション、観光商品の設計等を進めていく必要があります。岐阜県でも1年以上前から、周到な準備を進めていました。 (参考資料2、2019.6.28、日経夕刊を参照して記述)

国土交通省は、「ロケツーリズム事例集(参考資料3)」を、2014年3月に、発表しました。これは、ロケツーリズムを効率的・効果的に推進するために作られたものです。

 

☆まとめ

私は、ロケツーリズムの事例集(参考資料3)の中で、山形県の事例に、心惹かれました。山形県では、藤沢周平作品の映画化がきっかけとなり、各地域でロケの誘致が活発になりました。ロケ支援サービスや撮影後のセットの公開を行う民間企業も設立され、官民が協力しながら、観光誘客に取り組んできました。

具体的な事例としては、37年前のNHK大河ドラマ「おしん」に、私は若き日の感動を呼び覚まされました。ロケ地のマップや撮影レポートを記事にした「おしん新聞」を、15万部作成し全国の劇場で配布していました。

さらにロケツーリズムに実績がある地域が、長野県上田市です。上田市は1923年(大正12年)に、既に個人がロケの誘致をしていました。ロケ誘致による観光振興、地域活性化を目的に、2001年(平成13年)に、信州上田フィルムコミッションを組織化しました(参考資料3)。これまでの累計で、映画123本、TVドラマ77本の実績があります。

 

(注1)ロケツーリズム:フィルムツーリズム(film induced tourism)の語が原点。テレビの番組や映画の舞台となったロケ地をめぐる旅。このフィルムツーリズムの語は、日本でも、1990年代から使われた。近年はロケツーリズムと呼ばれる。ツーリズム(tourism): 旅行、観光旅行、観光事業。

(注2)岐阜ロケツーリズム協議会に参加した市町:岐阜市、大垣市、飛騨市、郡上市、関市、中津川市、羽島市、恵那市、美濃加茂市、可児市、山県市、下呂市、養老町、揖斐川町、坂祝町、白川町。(発起人は岐阜市、大垣市、飛騨市の3市長)

(注3)『おしん』:1983年4月4日から1984年3月31日まで放送された、NHK連続テレビ小説第31作。

 

参考資料

(1)椎野潤ブログ(229)ロケツーリズムで地域が盛り上がる NHK大河ドラマが縁 岐阜の観光 2019年7月13日。

(2)日本経済新聞、2019年6月28日の日本経済新聞(夕刊)。

(3)ロケツーリズム事例集、国土交通省、ロケツーリズム連絡会、平成26年3月。

 

[付記]2020年7月13日、椎野潤記]

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