規制緩和「拡大」すべしの回答9割  日本経済新聞「社長100人」アンケート

日本経済新聞は、国内主要企業の会長・社長を対象に、3カ月に1回、「社長アンケート100人」を実施しています。2020年9月、国難とも言われているコロナ危機の中、「コロナの克服」と「経済の再生」について、日本の経営者の意見を聞きました。

 

林業再生・山村振興への一言(再開)

 

2020年10月(№44)

 

□ 椎野潤(続)ブログ(255) 規制緩和「拡大」すべしの回答9割

日本経済新聞「社長100人」アンケート 2020年10月23日

 

☆前書き

2020年9月28日の日本経済新聞(参考資料1)は、同社が行った「社長100人のアンケート」の結果を報告しています。記事は、以下のように書き出しています。

 

☆引用

「菅義偉政権に経済界から規制緩和の期待が高まっている。『社長100人アンケート』で規制緩和を『拡大すべきだ』との回答が9割近くに達した。行政手続きや再生可能エネルギーなどの分野で要望が強い。事業環境が新型コロナウイルス禍前の水準に戻るまで2年以上とする答えが5割を超え、抜本的な成長戦略が求められている。」(参考資料1、日本経済新聞、2020年9月28日から引用)

 

☆解説

日本経済新聞のアンケート調査は、国内主要企業の社長を対象に、3カ月に1回実施しています。今回は、新政権発足がありましたので、これに向けた緊急調査も併せて実施しています。定例調査(2020年9月8日〜24日)では143社、緊急調査(同9月17日〜24日)では119社から回答を得ました。

 

[規制緩和]

規制緩和をどうするかを尋ねると、以下の回答がありました。

(1)「拡大すべきだ」が、89.3%に達しました(無回答を除く)。

(2)規制緩和では、「どちらかといえば評価しない」と「評価しない」が、計29.6%に上りました。安倍晋三前首相の経済政策への評価は、総合的には高かったのですが、規制緩和に的を絞れば、不十分と思う人は、かなりの数にのぼったのです。岩盤規制の改革は、やはり、極めて難しかったのです。

 

[規制緩和を望む分野]

規制緩和を望む分野を、複数回答で選んでもらいました。

(1)「行政手続きのオンライン化」が、73.9%で最多でした。

(2)首相が意欲を示している「オンライン診療の全面解禁」の恒久化は、44.5%、米国と中国が先行する「自動運転の規制緩和」は、41.2%で、高い注目度を示しました。

(3)「再生エネルギーに関する規制緩和」が49.6%で2位でした。

 

[その他の注目度の高い課題]

その他の注目度の高い課題は、以下のとおりでした。

(1)菅首相が掲げる「デジタル庁の創設」「携帯電話料金の引き下げ」などの政策については、「支持する」「どちらかといえば支持する」の合計が、軒並み9割を超えました。

(2)当事者に、重い決断を迫る「地方銀行の再建促進」についても、97.9%に達しました。「中小企業の再編促進」も、97.8%でした。

(3)人件費の拡大につながる「最低賃金の引き上げ」も90.8%でした。

(参考資料1、日本経済新聞、2020年9月28日を参照して記述)

 

☆まとめ

今、世界の人々は、日本人の「空気を読める」「和の社会を作れる」気質について、凄いと賞賛しています。どの国の経営者も、自国の国民に、そのような資質を育てたいのです。でも、この凄い資質の裏には、大きな弱点があります。「空気を読める」「皆が動かないから自分も動かない」。すなわち、常に改革が遅れるのです。

今回のコロナ危機でも、この弱点が露呈しました。多くの人々が、死ぬかもしれないと心配した、国難のさなかでも、役所の仕事を急に早くすることは出来ませんでした。「皆が動かないから自分も動かない」人達を「自分から動く人」には出来なかったのです。

でも、コロナの悪魔は、極めて強力でした。世界人類を危機に追い込みました。皆で、長年月かけて築きあげてきた、多くのものを破壊しました。さらに、改革の障害になっていたものも、一気に吹き飛ばしたのです。

今、コロナ危機の再発を抑えるとともに、停止した経済を再開することが、火急の課題になっています。この経済の再興は、近い将来に到来する、次世代に移行する上で重要なモノについては、直ちに復旧しなければなりません。でも、それのコロナ禍以前の状態への回復でも、容易ではないのです。そして、さらに、次世代では不要になると思われる「モノ」の復旧は、一層困難なのです。

 

コロナ禍対策として求められた三密防止対策も、単に、悪性度の進化が著しく早い新型コロナに対してだけではなく、実は、人口減少と高齢化が進む社会では、遠からず、対応しなければならないテーマでもあるのです。人口減少下で消費量が減少しやすい国内市場は、需要をいかに増やすか、その増やした需要を減少し続ける労働力で、どのように対処していくかが凄く重要です。すなわち、強力な生産性向上と省人化が必要なのです。

近年、特に著しく進化が進んでいる、AI、IoTの活用。全ての「モノ」をネットでつなぐIoT。それも、その「モノ」とは、「物」よりは「人」、「人の心」、「社会」、「異業種の産業間」の繋がりが重要になるのです。

この繋がりが進むということは、「人と人」「人の集団と人の集団」「会社の中の部・課と部・課」「会社と会社」「産業と産業」「国と国」の間にある壁に、穴があくということです。ここでは、人間集団の間の壁に穴があくのです。

さらに、この穴の中を情報が通り抜けるようになったとき、その穴を通じて、情報を渡す「モノ」を作り出さねばなりません。それは、個々の人が原点ですが、その受け渡しを支援する「モノ」、支援するシステムを作る「モノ」が必要です。すなわち、これは日本でも、最近ようやく始まってきたスタートアップです。そして、このスタートアップによって道具が、どんどん、作られます。

情報を繋いでくれる相棒、ロホット君。でも、ロボットと言っても、人に似た姿をした物ばかりではないのです。スマホの中に入っている「スマホアプリ」、これが一番重要なロボットです。このようなスタートアップやロボットは、需要減少下の市場で、需要を生み出し続けてくれます。コロナ危機では、これらは破壊に、とても弱かったです。でも、破壊後の再開は、逆に劇的に早いのです。

日本だけでなく、世界の先進国でも後進国でも、コロナ禍のもとで、これら次世代を担う「モノ達」が、一気に増えました。すなわち、これにより次世代への到達の時期は、大幅に早くなりました。

次世代を早くから見て決断し、大改革を進めてきていた日立製作所は、コロナ危機の危機感が一番深刻になっていた2020年4月に、16万人の従業員へのDX研修(注1)を敢行しました(参考資料2、注2)。このような先進企業は、コロナ危機の到来を経て、今後、改革の速度がさらに鮮やかになるでしょう。

 

この「社長100人のアンケート」の記事を読んで、私は深く感動しました。日本のトップ経営者は、日本人の特質の「空気を読む」「皆が動かないから自分も動かない」という負の体質を、「空気を読む」「皆が動きだしたから自分も動く」プラスの体質に、大転換させてくれました(コメント参照)。さすが、日本を牽引する大リーダーの集団です。

新しく誕生した菅内閣の登場で、その国家的な支援のもと、日本の産業は、この先覚者のリーダーの牽引のもと、一気に革新速度を早めると思います。2018年頃から、世界の進化から、ずるずると遅れ始めていた日本社会は、ここで、一気に差をつめて、追い抜くと思われます。地域も成長しはじめます。(まとめは、参考資料1を参照して椎野潤が記述)

 

(注1)デジタルトランスフォーメーション(digital transformation: DX):トランスフォーメーション (transformation): 物の形態、外観、性質などをかえること。変革。変形。変質。デジタルトランスフォーメーション: デジタル技術で事業を変革すること。DX研修:DXに関する専門研修。

(注2)参考資料2、国土緑化推進機構、フォレストサポーターズ、活動報告、mori-zukuri.jp/signp 。

 

参考資料

(1)日本経済新聞、2020年9月28日。

(2)椎野潤(続)ブログ(254)  コナナ下でデジタル革命が急進展、日立製作所16万人にDX研修、2020年10月13日。

 

[付記]2020年10月23日、椎野潤記

 

[コメント]

日本を牽引する「リーダー100人」のほぼ100%(97.8%)が、「中小企業を再編すべきだ」と考えていることが明らかになれば、日本の中小企業のリーダー達は「皆が動きだしたから自分も動く」ことになるのです。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です