次世代の日本社会を力強い姿にするには、若者たちを強い柱に育てることが重要です。若者を強い柱に育てるには、どうすれば日本社会が強くなるかを、若者たちに解らせることが肝要です。それには政治に関心をもたせることです。日本各地のうち、どの地域が、若者達に政治への関心をもたせることに成功しているのか、それは18歳・19歳の選挙での投票率の推移を見れば明確にわかります。
林業再生・山村振興への一言(再開)
2021年10月 (№148)
□椎野潤(続)ブログ(359) 地域再生 民主主義の未来10代に 秋に衆議院選挙 2017年投票率 山形県首位 2021年10月15日。
☆前書き
日本経済新聞が、全国各地の十代の若者の投票率の推移を調べました。また、投票率の向上をめざして、どんな対策を講じてきたかを丁寧に調べています。2021年9月18日の日本経済新聞が、これを報告していました。今日は、これを読んでブログを書きます。
☆引用
「もうすぐ衆議院選挙を迎える。投票は生活や社会をよりよい方向へと変革させる重要な機会だが、国政選挙の投票率は長期的な低迷に加え、年代が若くなるほど低くなる傾向がある。高齢化が加速するなか、新しい日本を創り上げていくには、若者の意志を政治に反映させることが欠かせない。2016年から新たに有権者に加わった10代の投票率が高い地域をみると、民主主義の再生に向けたヒントが見えてくる。(参考資料1、2021年9月18日、日本経済新聞(瀬口蔵弘、宮坂正太郎、天野豊文)から引用)」
☆解説
都道府県別に見て、18・19歳の投票率が相対的に高かった地域を調べてみます。2017年衆議院選挙で投票率が最も高かったのは山形県で、47.24%でした。以下、愛知県、山梨県、北海道、新潟県が続きました。最下位の徳島県とは、トップとの差が15.65ポイントもありました。
日本各地の地域創生の参考になると思いますので、これら高成績だった地域の活動の実施例を見みてみることにします。
山形県は、選挙権が「18歳以上」に引き下げられた2016年の参議院選挙に比べて投票率が上がった全国の9道府県の一つです。全世代投票率でみても、64.07%と全国首位でした。山形県では、選挙権が「18歳以上」に引き下げられた2016年の10年も前である2006年から、既に若者の選挙啓蒙活動を始めていました。
選挙管理委員会の担当者が、県内の高校や中学校などで、選挙制度の説明や模擬投票を行い、投票への参画意識を高めていました。選挙時期の休み時間などには、投票を呼びかける取り組みも実施しています。ここで実施した放送の内容も、生徒自身が考えて策定していました。
模擬議会も実施しました。これを通じて生徒達に政治を身近なものと捉えさせる取り組みが進んでいるのです。同県金山町では、高校生による模擬議会を招集しています。選挙で選ばれた高校生議員と議長が実際の議場で、町長以下、町幹部に直接質疑しています。当事者の「生の声」だけに、すぐ具体的な実現につながります。通学バス料金の負担軽減を求めた際には、補助金をすぐ予算化しました。「模擬」に止まらない事業となっているのです。
北海道では、漫画を使って、選挙をPRしています。高校生を対象に、選挙を題材にした漫画コンクールを2017年度から実施しています。選挙の漫画は、選挙の仕組みを詳しく理解しないと、書けないのです。2016年参議院選挙の時の10代の投票率は、全国平均を3.4ポイント下回りましたが、2017年衆議院選挙では、45.97%と全国4位に躍進しました。
全国で5位、投票率44.80%の新潟県の選挙管理委員会は、今年度から未来の自分へ手紙が届く「届け!未来レター」を始めました。県内全域の高校2年生を対象として、事業の一貫として記載してもらった手紙を選挙管理委員会が保管しています。これが19歳到達時に本人に届くという仕組みです。「選挙に行け!」「大事な1票だよ」など自分への思い思いのメッセーが添えられています。(参考資料1、2021年9月18日、日本経済新聞(瀬口蔵弘、宮坂正太郎、天野豊文)を参照引用して記述)
☆まとめ
若者の選挙への関心が薄れてしまった国家が、これを回復するのは、容易なことではありません。このような状況の中で、18・19歳の選挙投票率が首位になった山形県は、もう10年以上前から、十歳代終期の若者への選挙への啓蒙活動を進めているのです。
実際の議事場を使って、模擬議会を実施しています。高校生が模擬議員になり、町長以下、町の幹部らに実務的な質問をし、その場で要望に応えて即時に予算処置もしました。こうして、高校生に重い緊張感を与え、生涯の思い出になる体験をさせているのです。
各地で、このようなことが行われれば、少なくとも10年後には、日本全国の若者の政治への意識は、大きく変わるでしょう。世界の先進国と比べ、遅れていた日本の民主主義は、大きく前進するはずです。
北海道の「選挙を漫画に書かせる」取り組みも、とても有望です。選挙を本当に理解できていないと漫画は書けないからです。さらに、新潟の「届け!未来レター」も有効です。これにより、他人事ではなく自分事として、選挙への行動へ移れるでしょう。
コロナの悪魔の襲来で、日本社会・日本人の素晴らしい処と、このままでは駄目なところが極めて明瞭になりました。日本の屋台骨として、その強化が最も求められているところは、「民主主義」の根本的な理解と実践です。
240年にわたる江戸時代で、日本人は、日本社会の美質を大いに磨きましたが、この240年の間に著しく進化した欧州の民主主義には、大きく立ち遅れました。明治維新から、一気に急追を開始しましたが、このコロナ禍後の社会の再建は、その更なる追撃の絶好のチャンスです。ここを第二次維新としてとらえて、激しく出発しなければなりません。(参考資料1、2021年9月18日、日本経済新聞(瀬口蔵弘、宮坂正太郎、天野豊文)を参照引用して記述)
参考資料
(1)日本経済新聞、2021年9月18日。
[付記]2021年10月15日。
[コメント] [最後にもう一つ大事なこと]
最後にもう一つ大事なことがあります。この若者たちの選挙意識の高揚には、自治体行政の役割・影響がとても大きいのです。でも、これは自治体間の経済的な競争を誘導する分野ではなのです。自治体としての根源的な社会への危機意識に基づく政策なのです。ここでランキングすることが、素直に自治体担当者の適切な評価や関係者の誇りや自信など、更なる推進力につながることを期待しています。また、そのことが縦割り意識を持たず、協調して未来を目指す若者たちを育てます。
山村振興も自治体間で競争して、(関係)人口を奪い合うことにならないような社会共通の意識になるようにしていかなければならないと考えています。