林業再生・山村振興への一言(再出発)
2022年2月(№183)
□ 椎野潤(続)ブログ(394) 林業の再生と山村復興への挑戦 対談 大谷恵理VS塩地博文 2022年2月18日
☆前書き
対談 大谷恵理VS塩地博文(その3)を発信します。
☆引用
対談 大谷恵理VS塩地博文 林業再生への挑戦(その3)挑戦開始宣言
大谷恵理 塩地博文
塩地 : いよいよ林業再生への挑戦、その大命題への具体策を語り合いたいと思います。ウッドショックで露呈した国産材の脆弱性は、大谷さんもご理解されているでしょう。
大谷 : 木造建築では工事が遅れたり、木材価格が急騰したりと聞いています。ただ、長い間低迷していた木材価格が上昇に転じた事は、幸運だとも思います。ウッドショックは、経済ダメージではあるけども、木材価値を見直すチャンスだと思えます。大胆なサプライチェーンへシフトする契機で、私自身がその普及の先頭に立ちたいと思います。
塩地 : 大型パネル事業も、僕が代表を務めるウッドステーションも、受託加工技術に立脚しています。木材の出自を問わず、品質主義なのです。集成材を基本としており、海外材でも国産材でも対応可能です。国産無垢材への対応は最も難易度が高く、JAS材の普及が進まない現状では、受入れ品質基準が不明瞭です。佐伯広域森林組合や山長商店グループへの技術移転は、両社の品質管理を見極めて、何度も試作を繰り返した上で、技術移転に踏み切っています。また、主要構造である梁や桁と言われる横架材は、国産材では調達が困難です。僕もウッドステーションも、「大型パネル事業を国産材で進める」と決して言えないのです。
大谷 : 状況は理解しています。木材団体在籍中に、JAS材の普及セミナーを自らが主催して実施してきましたので、その問題点も理解しています。ただ、大型パネルの実際の施工現場や組み立て工場を拝見し、この技術は国産材の普及に貢献する可能性が高いと感じました。今まで積み残された課題も、大型パネル技術で解決するのではないかと、強く思ったのです。塩地さんが先頭に立てないならば、私自身が先頭に立って、大型パネルと国産材の一体化への普及活動を行いたい。このままでは国産無垢材はイノベーションから置いて行かれると思っています。サプライチェーンの対象者ではなくなってしまうとも思います。
塩地 : 一つ秘策があります。大型パネルの組み立てラインの前に、JAS材認定、無垢材の変化を抑制して馴染ませる方法などを盛り込む事は可能かもしれません。これは企業秘密なので、詳しくは申し上げられません。腰を据えた開発研究が必要だという事だけを申し上げておきます。
大谷 : 期待しています。もしも、長年の懸念事項であったJAS認定の普及、無垢材の変形性への対応などが出来た上に、大型パネルまで一気に組み立てられるとしたら、状況は一変すると思います。山から木材を誰よりも高く買い、サプライチェーンを強化した上、出来上がった国産無垢材大型パネルを消費者へ販売できるとしたら、それは「森林直販」です。私の長年の夢は、森林直販を進めて、生み出された利益を森林へ戻すこと、その利益で日本の山々を蘇らせ、そこに住む人々の生活を豊かにすることです。それが新しい資本主義であり、椎野先生の教えだと思ってきました。佐伯広域森林組合で見た「全員で明日を作っている」姿こそが、目指すべき日本の未来像だと思います。私が心に描いて来た夢、その入り口に漸く立てることになりました。椎野先生、塩地さんだけでなく、このブログの読者の方々にお約束したいと思います。私は、林業再生への挑戦を始めます。国産無垢材大型パネルという武器を手にして、林業の再生と山村復興に向けた取り組みの先頭に立ちます。
塩地 : 大変な決意をお聞きし、僕の方も、国産無垢材大型パネルの製造ライン、その情報処理技術の開発研究を加速したいと思います。三回に渡って、林業再生への挑戦と題したテーマをお話し頂き、ありがとうございました。この対談は、大谷さんのこれまでの道筋、経験、そして決意に繋がる対談になったかもしれません。最後の締めをお願いします(笑)。
大谷 : 私は、この美しい国に誰よりも誇りを持っています。子孫のために、森を守り、木を植えて育ててくれた無名の人々の思いに応えたいのです。日本の多様で豊かな文化の土台を築いてきた森林、それを活かし、蘇らせ、若返らせることは、人口が減少し、経済の縮小が避けられないこの国の、未来をつくる仕事です。色々な事に挑戦してきましたが、それは解決策への糸口を見つけるための旅でした。大きな解決策を見出した今、過去の自分にご苦労様、そして未来の自分に頑張ろうねと言いたい気分です。私は活動を広げていき、読者の皆様にも必ずお目にかかる日が来るでしょう。「森林直販」の実現へ、力強いお力添えを、どうぞよろしくお願いいたします。
☆まとめ
塩地さんは、以下のように書いておられました。「大型パネル事業も、僕が代表を務めるウッドステーションも、受託加工技術に立脚しています。木材の出自を問わず、品質主義なのです。集成材を基本としており、海外材でも国産材でも対応可能です。国産無垢材への対応は最も難易度が高く、JAS材の普及が進まない現状では、受入れ品質基準が不明瞭です。佐伯広域森林組合や山長商店グループへの技術移転は、両社の品質管理を見極めて、何度も試作を繰り返した上で、技術移転に踏み切っています。また、主要構造である梁や桁と言われる横架材は、国産材では調達が困難です。僕もウッドステーションも、「大型パネル事業を国産材で進める」と決して言えないのです。」
私は、塩地さんの事業家として開発者として、特に、社会から投資を受けて事業を展開す
るものとして、極めて当然な厳しい決意だと思います。しかし、私の林業再生・山村新興が、ここまでの水準にまで、こぎつけたのは、塩地さんの佐伯広域森林組合での大型パネルの国産材利用の渾身の努力があって実現できたのです。
ウッドステーションは、加工技術に立脚して出発し発展してきましたが、今や、その評価はそれに止まるものではありません。その改革が目指す先は、無限の広野に拡大しています。ただ、横架材については、まだ、大きな峠を超えなければならない段階にあるのは確かです。
これは「林業再生と山村新興」が、日本国と日本民族の未来での永続的な発展の鍵を握るものの一つだと考えるのなら、国家的な対策として、国をあげて、官民をあげて、国民的な活動として、全力をあげて行かねばならないと思っています。
大谷さんは、以下のように決意を語って下さいました。「長年の懸念事項であったJAS認定の普及、無垢材の変形性への対応などが出来た上に、大型パネルまで一気に組み立てられるとしたら、状況は一変すると思います。山から木材を誰よりも高く買い、サプライチェーンを強化した上、出来上がった国産無垢材大型パネルを消費者へ販売できるとしたら、それは「森林直販」です。私の長年の夢は、森林直販を進めて、生み出された利益を森林へ戻すこと、その利益で日本の山々を蘇らせ、そこに住む人々の生活を豊かにすることです。それが新しい資本主義であり、椎野先生の教えだと思ってきました。佐伯広域森林組合で見た「全員で明日を作っている」姿こそが、目指すべき日本の未来像だと思います。私が心に描いて来た夢、その入り口に漸く立てることになりました。椎野先生、塩地さんだけでなく、このブログの読者の方々にお約束したいと思います。私は、林業再生への挑戦を始めます。国産無垢材大型パネルという武器を手にして、林業の再生と山村復興に向けた取り組みの先頭に立ちます。」
これは凄い決意です。私も大谷さん、塩地さんと一緒に、「林業再生・山村新興」を目指す未来への輝く道を歩む、一層固い決意を固めました。
そして大谷さんの「まとめ」の一言は、さらに素晴らしかったのです。「私は、この美しい国に誰よりも誇りを持っています。子孫のために、森を守り、木を植えて育ててくれた無名の人々の思いに応えたいのです。日本の多様で豊かな文化の土台を築いてきた森林、それを活かし、蘇らせ、若返らせることは、人口が減少し、経済の縮小が避けられないこの国の、未来をつくる仕事です。色々な事に挑戦してきましたが、それは解決策への糸口を見つけるための旅でした。大きな解決策を見出した今、過去の自分にご苦労様、そして未来の自分に頑張ろうねと言いたい気分です。私は活動を広げていき、読者の皆様にも必ずお目にかかる日が来るでしょう。「森林直販」の実現へ、力強いお力添えを、どうぞよろしくお願いいたします。」
私の言葉も同様です。ここで過去の自分に「ご苦労さま」と言います。そして輝く未来に向って、渾身の力を込めて頑張ります。
みなさん、私と一緒に頑張りましょう。そして、日本国と日本民族の未来を、明るく輝くものにして行きましょう。この対談は、きわめて有意義でした。今、私の胸中は、高揚感に満ちています。
参考資料
(1)大谷恵理、塩地博文著 対談大谷恵理VS塩地博文 林業再生への挑戦 (その3)挑戦開始宣言、2022年2月12日
[付記]2022年2月18日
[追記 東京大学名誉教授 酒井秀夫先生の指導文]
[指導を受けたブログ名:林業の再生と山村復興への挑戦 対談 大谷恵理VS塩地博文(その2)椎野潤の教え、 2022年2月15日]
大谷恵理様
ブログ配信ありがとうございます。
今回連載その2ということで、本丸に斬り込んでこられましたね。
塩地さんの相手の内部コストに入り込む連携経営は、サプライチェーンに不可欠で同時に強い武器になると思います。この連結取引が出来ていないのが木質バイオマス発電です。FITの眼鏡がサプライチェーンを直視する目を曇らせています。
大谷さんのサプライチェーンの指揮官が塩地さんの冠となる仮想企業になると思いますが、仮想企業の統治の概念は、点や線は存在するが、面積を持っていないという数学の概念に似ているかと思います。もっとも線は点の連続だとなると、では連続とはとなり、話がむずかしくなってしまいます。
さて、企業は成長を続けなければならないと思いますが、それがこのブログで以前紹介されたアメーバ体質になると思います。サプライチェーンに支えられた多様な企業がスタートアップするチャンスが生まれるのではと思います。
サプライチェーンの直進性は必ずしも直線ではないと思います。稲妻は、カクカクしたり枝分かれしていますが、それは巨大なエネルギーが最短経路を見つけながら地上に降りようとしているからです。稲妻を想起することで、最短時間・直結のサプライチェーンのイメージができました。富の偏在を解決したサプライチェーンはなかなか存在しないと思いますが、その実現は仮想企業の使命でもあると思いますし、椎野先生は仮想企業は思想を持たなければとされています。思想は文化であり、経営理念を持たない企業は社会に受け入れてもらえません。
「自分たち業界の利益を死守するのではなく、今の時代に合った利益を得られるように業界を開いていくことにある」という椎野先生のお言葉は重要なご指摘です。
酒井秀夫