これで本当に地域の消滅は防げるのか(前編)「高齢独居対策」の先行地域に期待 山形先行 60代就活 滋賀 福井

☆巻頭の一言

地域で高齢の「お一人様」が、今、急増しています。各地の自治体は、3世代同居を促したり、高齢者の婚活を推進したり、ありとあらゆる知恵をしぼっています。この活動での先進地が現れました。私は、このことに強い希望を感じ、その先進地の動きを探ってみました。

全国で「高齢独居率」が、最も低かったのは、山形県でした。また、市町村区分では、秋田県大潟村が最少でした。すなわち、ここは、小さい村ですが、凄い熱意をもって、この課題に取り組んでいました。そして、同村の担当者は、「独居高齢者が増えると、この人たちが亡くなった後、空き家が増え、地域社会が維持できなくなる」と強い危機感を持っていました。

でも、全国で「高齢独居率」が、最も高い東京、これに次ぐ大阪などでは、このような危機感は、微塵も感じられませんでした。このような状況で私は、日本各地は「本当に地域の消滅を防げるのだろうか」と、究極の危機感を感じたのです。私は、この危機感を基に、二遍の連続ブログを書きました。前編と後編に分けて報告します。

 

林業再生・山村振興への一言(再出発)

 

2022年4月 (№199)

 

□椎野潤(新)ブログ(410) 「高齢独居対策」山形が先行 60代婚活は 滋賀・福井が熱意を持って推進 2022年4月15日

 

☆前書き

2022年1月29日の日本経済新聞は、この記事を報じていました。記事は、以下のように書き出しています。

 

☆引用

「地域で高齢の「おひとりさま」が増えている。体調変化への対応が遅れるだけでなく、特殊詐欺被害やゴミ屋敷、空き家増といったリスクを高める側面もあるだけに、自治体は3世代同居をうながしたり、婚活を支援したりと、知恵を絞る。都道府県の独居率の差は、最大14ポイント。少子高齢化に歯止めがかからない中、安心・安全な地域づくりに向けて、先進地の取り組みを探った。(参考資料1、2022年1月29日、日本経済新聞から引用)」

 

☆解説

全国で高齢独居率が最も低かったのは、山形県で12.1%でした。次いで福井県、新潟県と続きました。この高齢独居率が低い地域は、3世代同居の割合が高い地域と重なっていました。山形県は、3世代同居率が、全国トップでした。同県は3世代同居の住宅を新築する場合、借り入れに対して手厚い補助を実施し、多くの同居を後押ししたのです。

でも、金銭的なメリットを訴えるだけでは、若者たちの同居を促すのは難しいのです。結局、「高齢者を助ける」と言う視点よりも「子育てが楽になる」という視点の方が良いようです。この方がアピール力が強いのです。

山形県は、新型コロナウイルス下の人数制限でも、「大家族」へ強い配慮をしました。秋の風物詩「芋煮会」の開催では、県民に対しては、「短時間、4人以下」を求めました。でも、同県の吉村美栄子知事は、「家族は一つの単位」と宣言したのです。知事は結局、同居家族による5人以上の開催を認めたのです。

市区町村別の高齢独居率が最も低かったのは、秋田県大潟村(5.8%)でした。この地は、独居率の全国平均の1/3を維持しています。ここでは多世代同居を強力に推進し、3世代同居用の住居建設に対する補助を手厚く支援し、お祖父さんお祖母さんから孫までの同居を支援しました。同村の担当者は「独居高齢者が増えると、この人たちが亡くなった後、空き家が増え、地域社会が維持できなくなる」と地域消滅の強い危機感を述べています。

市区町村別で高齢独居率が、全国で6倍目に低い滋賀県は、50歳時の未婚率が16.2%で全国都道府県で、最も低いのです。ここでは公民連携で、婚活支援に取り組んでいます。地元企業やNPOなどと結成した「あいはぐプロジェクト応援団」を通じて、出会いの場を、強力に提供しています。

福井県も、この活動に熱意を燃やしています。2020年に県内の全7市町と「ふくい結婚応援協議会」をつくり、お見合いを県をあげて開始しました。私は、これは今の日本にとって、とても重要な活動だと思います。ここには60代の人たちも参加しています。私は、高齢新婚者に、今、強烈に期待しています。(参考資料1、日本経済新聞、2022年1月29日(桜井祐介、増渕稔、磯貝守也、佐藤栄基)から参照引用して記述)

 

☆まとめ

一方で、この高齢独居率が全国で最も高いのは、東京都(26.1%)なのです。そして、これに次ぐのは大阪府でした。日本を代表する2大都市が、高齢独居率を、ぐんぐん上げています。これらの大都市では、今後の高齢孤独死対策が、ますます大きな問題になるはずです。

でも、これは大都市だけの問題ではないのです。鹿児島県や高知県など13都道府県が、高齢独居率20%を超えており、これらの地域も、この上昇防止に、あの手この手で苦心しているはずなのです。この地域の情報は、この記事には出ていませんでしたが、私は今後、この地域の高齢独居率対策に、特に注目して、見て行かねばならないと思っています。

これらの地域は、秋田県大潟村のように、「高齢独居者が亡くなって家が空き家になり始めると、地域が支えられなくなり、地域の消滅の危機が一気に迫る」という強い危機感には、まだまだ、全く至っていません。ですから、ここを、どう対策していくのかが、現在の日本で未来に向けた最大の課題だと、私は、強烈に感じています。

 

前記の解説でも述べましたが、高齢者独居率の上昇は、生涯を未婚で終わる人の増加とも、密接に関連しているようです。人生の末期に、孤独な淋しい生活にならないように家庭を持つこと、家庭で幸せな生活を過ごすことが、どれだけ重要かを啓蒙して、男女の出会いを作ってあげることがとても大切です。結局、社会の中の人と人とのコミュニケーションを、いかに濃厚に保っていけるかが、鍵を握っているのです。

「日本の未来の幸せ社会つくり」を、今すぐ、国民みんなで開始しなければなりません。そして、これ以上の少子高齢化の進行を阻止し、労働人口の減少を食い止めて、日本国の衰退を断固防がねばなりません。GDP沈没を阻止する強靱な覚悟を固めねばなりません。(参考資料1、日本経済新聞、2022年1月29日(桜井祐介、増渕稔、磯貝守也、佐藤栄基)から参照引用して記述)

 

参考資料

(1)日本経済新聞、2022年1月29日

 

[付記]2022年4月15日。

 

 

 

[追記 東京大学名誉教授 酒井秀夫先生の指導文]

[指導を受けたブログ名:椎野潤(新)ブログ(409) 林業の再生と山村復興への挑戦 対談 大谷恵理VS塩地博文 周辺事業利益を取り込む国産無垢材大型パネル(その2)2022年4月12日]

 

ブログ配信ありがとうございます。

 

建材は未だに「未加工の製品取引」で、現場には大量に梱包材や切断粉が残り、始終、掃除しているとのことで、それだけ歩留まりが悪く、時間の無駄も多いことがわかりました。そのツケは結局消費者と山元ですね。ここで塩地さんの仰るファクトとデータの重要性の意味がよくわかりました。

林業のサプライチェーンは、川上から川下の間に利益のブラックホールがあり、ブラックボックス同士の取引でした。

利益の透明化はサプライチェーンを強固にし、関わる人の待遇改善にもなっていくと思います。是非本物のモデルルームが見たいです。

 

酒井秀夫

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