小柳雄平・ 伊佐裕ブログ 森林パートナーズ 生命的サプライチェーンとDX

林業再生・山村振興への一言(再開)

 

2022年3月(№190)

 

□ 椎野潤(新)ブログ(401) 小柳雄平・伊佐裕ブログ 森林パートナーズ 生命的サプライチェーンとDX 2022年3月15日

 

☆前書き

小柳雄平さんが、経営する「森林パートナーズ」と生命的サプライチェーンとDXとの関係を幅広く説明してくれました。読者のみなさまに読んでいただきます。

 

☆引用

森林パートナーズ 生命的サプライチェーンとDX                                 小柳雄平

現代の日本の林業を立て直すには林業の収益構造の確立が必要です。現状を打破して林業を回復させる啓蒙活動や事業構築、新技術開発、新制度導入などの様々な動きが各地で広がりつつあります。総論的な社会全体の対策を各論的な具体策のバランス感を持って取り組む必要があります。その中で我が森林パートナーズは、山元(立木)への適正な利益還元を目指して木材流通のサプライチェーンを構築し実運営をしております。理念を共有する工務店、山元、製材所、プレカット工場と協同し、需要情報を起点とするサプライチェーンによって、工務店の直接原木購入(山元への利益確保)、六次産業化、消費者との価値共感、木材品質の確保、の4項目を中心とした内容で木材流通の変革を行い、IT技術を活用するモデルを構築して参りました。今更ではありますが自然素材である木材(森林パートナーズを主にスギを構造材に使用するサプライチェーン)がその中心にあるので地域差や山の斜面の向きによって品質の差があり、同じ木から採れる木材であっても様々で複雑です。木材は自由に加工できるという認識で捉えられていることもありますが、それは石や鉄などに比べ加工しやすいという話であり、繊維方向、製材の仕方、また樹種によって強度や含水率などの品質、また見た目の木(もく)理(め)(表情)、美しさが異なります。このような複雑な木材を効率よく流通させるには、「どのような品質の木材をどのくらいの数量だけ欲しい」という需要の情報を共有し、山の目利き、樹木の目利き、製材加工の目利き、木材商品づくりの目利き(技巧やデザイン、意匠設計)が連携する必要があります。この様な流れを一定の精度で行うには、特に人口が減り、働き手が少なくなっていく時代においては、それぞれの工程をデジタル化、データ化していくことが有効であります。数値化されたそのデータは客観性をもち、分析研究に活用され、また新しい技術とのリンクが可能となり、そのことがさらなるサプライチェーンの高度化につながり、それぞれの利益幅を上げることにつながると考えます。(前回の「森林パートナーズのビジョンとのつながり」参照)

サプライチェーンを実践、実運用して参り、サプライチェーンは生き物であると実感することが良くあります。サプライチェーンはその単線の中で成長し続け、変異が生まれ、また他のサプライチェーンと共鳴、融合します。災害などで木材搬出が滞ったときにはその修復作用が働きます。開発したシステムが横展開したときにはその地域の事情、参画者の構成によって、似ていながらも別物に変化、進化しております。また森林パートナーズが取り扱う木材はスギの構造材として活用できるものでありますが、そのために購入する丸太からは端材が発生します。そのために端材を効率よく活用する、例えばバイオマス事業との連携が生まれ、より最適化に向かいます。森林からは品質の良い木だけが採れるわけではなく、それ以外の木材のサプライチェーンと連携することも同様です。

これはサプライチェーン内の情報が透明化すればするほどその傾向が強くなると思われます。これは即ちサプライチェーン構成者間の「対話」が生き生きと成立しているためです。これは働く人同士の人間的な信頼関係の中での対話、また有意義なデータ情報の交流などでしょう。さらには、森林の木材活用の視点のみではなく、生物多様性保全機能や環境保全機能、防災土壌保全機能や、森林空間のレクレーション機能など様々な機能間での対話も必要であります。各工程、各業種、各分野の温度差を埋める透明性を持った対話が自己組織化にむかう時に重要なものなのだと気づかされました。サプライチェーン実行に踏み出すことができた森林パートナーズのプラットフォームにデジタル化した情報を神経のように張り巡らし、複眼的思考で他のサプライチェーンと共鳴するDXを、また人間的な深い交流をしながらサプライチェーンを生命的に運営、成長させていきたいと思います。

またその需要者である伊佐ホームズで家づくりの木造住宅設計に携わる者として、お客様に美しい木の文化をお届けし、感動の共感、価値の共創を目指します。

サプライチェーンの進化と共鳴、マーケットとの価値共感がこれからの重点です。

 

☆まとめ

小柳雄平さんの師匠、伊佐裕さんは、「住宅は「芸術」と「家づくりの革新」が二本柱だ」と提唱されています。

小柳雄平さんは、伊佐ホームズの世界で高い評価を得ている優秀な建築設計士として育ちました。今、この「芸術」に関しても、その才能がさらに高い評価を得ています。

また、近年、急進化している、人工知能(AI、注1)やIoT(注2)についても、良く勉強してしおり、私が最近ブログに良く書いている「生きているサプライチェーン(注3)」の生きている姿の重要性なども、すでに深い理解をしめしています。

今年、一年間における心の深化は凄いものがあるのです。小柳雄平さんは、この分野で、まさに世界のホープです。ご活躍を深くふかくお祈りいたします。

 

(注1)人工知能(AI)=AI(artificial intelligence):「計算(computation)」という概念と「コンピューター(computer)」という道具を用いて「知能」を研究する計算機科学(computer science)の一分野」を指す語。言語の理解や推論、問題解決などの知的行動を人間に代わってコンピューターに行わせる技術。計算機(コンピュータ)による知的な情報処理システムの設計や実現に関する研究分野。

(注2)IoT(Internet of Things):様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され(単に繋がるだけではなく、モノがインターネットのように繋がる)、情報交換することにより相互に 制御する仕組みである。それによるデジタル社会の実現を指す。人とモノの間、およびモノ同士の間の新しい形の通信を可能にする。

(注3)生きているサプライチェーン:部材の製造から製品の流れ、情報の流れを合理化して、顧客に提供する価値の増大を図り続ける総合的な活動。サプライチェーンマネジメント:サプライチェーンをマネジメントすること。生きているサプライチェーン=あたかも生きているような挙動をとるサプライチェーンンシステム。

 

参考資料

(1)小柳雄平著 森林パートナーズ 生命的サプライチェーンとDX 2022年3月13日

 

[付記]2022年3月15日。

 

 

 

[追記 東京大学名誉教授 酒井秀夫先生の指導文]

[指導を受けたブログ名:小森雄平・伊佐裕ブログ 森林パートナーズのビジ

ョンとのつながり 2022年3月11日]

 

大谷恵理様

 

ブログ配信ありがとうございます。

 

「サプライチェーンが収益性を内包した構成になっているか」はサプライチェーンを評価していく上で重要な指摘です。高度経済成長の時代とちがって、

需要情報に合わせて生産された材を、需要者である工務店が山元から直接購入することで、山元の利益を確保するという「森林パートナーズ」のシステムは慧眼です。

 

サプライチェーンは利害関係者の集まりであるかぎり画餅だという人もいますが、信頼関係と情報の見える化・共有化が一番のコストダウンで、さらには利益の分配が可能になり、持続的な産業連携基盤があることにより自由な競争が起こり、競争力の向上にもつながるということは多くの方に読んでいただきたいです。

 

設計者が引いた線を即座に丸太の玉切りにリンクさせるというのは、設計のプロである小柳さんならではの発信で、塩地さんや大谷さんの取り組みにもつながっていけば、林業、森林の価値も大きく変わると思います。

 

酒井秀夫

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