パラと歩む共生社会 夏期パラリンピック東京大会開会

第16回夏期パラリンピック東京大会が開催されています。特別ブログを発信しました。通常ブログに先駆けて特別ブログを掲載します。

 

「次世代産業社会へ」「地域創生・山村振興&林業再生」

 

2021年8月 (№134特別)

 

□ 椎野潤(続)ブログ(345特別) パラと歩む共生社会 夏期パラリンピック東京大会開会 2021年8月27日

 

☆前書き

パラリンピック東京大会が開会しました。その開会式の模様を、2021年8月27日に、特別ブログで発信します。既に準備していたブログは、原文のまま併せて発信します。このブログは、2021年8月25日の日本経済新聞を参照引用して記述します。記事は以下のように書き出しています。

 

☆引用

「第16回夏期パラリンピック東京大会が、2021年8月24日夜、開幕した。新型コロナウイルスの感染で1年の延期を経て、原則無観客での開催となる。障害を持つアスリートが世界に集い、競い合う姿は多様性への理解を促す契機となるうえ、誰もが社会参加できるバリアフリー(注2)を推し進める力につながる。日本が共生社会の実現に向けて飛躍するための大きな試金石となる。(参考資料1、2021年8月25日の日本経済新聞から引用)

 

☆解説

「大会には161カ国・地域と難民選手団が参加し、史上最多となる4403選手が集まりました。22競技539種目を、東京、埼玉、千葉、静岡の4都県の計21会場で行います。

天皇陛下は2021年8月24日夜、国立競技場(東京・新宿)で開かれた開会式に名誉総裁として出席し「私はここに、東京2020パラリンピック競技大会の開会を宣言します」と開会宣言されました。東京は夏大会で初めてパラリンピックを2回開催する都市となったのです。

パラリンピックは大会を重ねるごとに、世界が共生のあり方に目を向ける機会となってきました。国際パラリンピック委員会(IPC、注1)によりますと、2016年リオデジャネイロ大会後のブラジルの障害者就職率は、大幅に改善しました。

2008年北京大会では、中国の公共施設や交通機関など1万4千カ所が障害者に配慮したかたちで整備されました。

日本が目指したのはハード、ソフトの両面のバリアフリー(注2)でした。1日平均3千人が利用する鉄道やバスの施設で、エレベーターやスロープの整備が重点的に進められました。2020年3月の時点で全国3600カ所の鉄道駅のうち92%で移動を妨げる段差が解消されました。

スマートフォンの全地球測位システム(GPS、注3)機能を使い、車いす使用者がバリアフリー(注2)情報を共有するアプリ(注4)も登場しました。(参考資料1、2021年8月25日、日本経済新聞を参照引用して記述)

 

☆まとめ

でも、障害者への支援制度は、なお先進各国と隔たりがあるのです。経済協力開発機構(OECD、注5)の調査によりますと、国内総生産(GDP、注6)比で障害者に対する公的支出をみますと、日本は1.1%で、首位のデンマークの5%弱、2位のノールウェーの4%強と比べると見劣りがします。OECDの平均値にも届いていないのです。

企業などに一定割合の障害者の雇用を求める法定雇用率(注7)でみても、ドイツは5%、フランスは6%です。日本は2.1%と低い水準にあります。

障害の程度の重さは一人ひとり異なります。障害の特性に応じた勤務体制など、能力を引き出す環境づくりが欠かせません。人々の心の中にある壁を取り払うバリアフリー(注2)も、重い課題です。共生社会を前に進め、次世代へ引き継いでいくための大会が実現できるのか、日本の発信力が問われる13日間が始まったのです。

 

この開会式のNHKテレビの映像が、午後9時、突然切り裂かれました。そして、コロナの悪魔の襲来を受けてから最大の危機を迎えたことを知らせるニュースが放映されました。続いてアフガニスタンの世界危機の報道があり、最後に、最近の異常気象で、各地どこでも、突然大雨が降るという不吉な天気予報がありました。

そしてまた、何の前触れもなく、言い訳がましい説明もなく、開会式の映像に戻りました。私は驚きましたが、すぐパーソンズIPC(注1)会長の言葉を思い出したのです。同氏は「日本はコロナ禍の最悪の状況を迎え、逆境の中にいます。この状態の中で世界の仲間たちを迎えてくださいました。深く感謝いたします」と述べられました。

そうなのです。日本国は、今、逆境の最中(さなか)にいるのです。そのような逆境下の国家であれば、この放送の取り扱いは当然なのです。私は、頭に付いていた蜘蛛のようなものが取れたように思いました。同じ思いを感じた方も多いのかもしれません。私はそれで、前例のない特別ブログを発信しました。(参考資料1、2021年8月25日、日本経済新聞を参照引用して記述)

 

(注1)IPC:国際パラリンピック委員会。

(注2)バリアフリー(Barrier-free):対象者である障害者を含む高齢者が、社会生活に参加する上で生活の支障となる物理的な障害や、精神的な障壁を取り除くための施策、若しくは具体的に障害を取り除いた事物および状態を指す語。

(注3)全地球測位システム(GPS):アメリカ合衆国が軍事用に打ち上げた約30個のGPS衛星のうち、上空にある数個の衛星からの信号をGPS受信機で受け取り、受信者が自身の現在位置を知るシステム。

(注4)アプリケーションソフトウェア(application software):ある特定の機能や目的のために開発・使用されるソフトウェアで、コンピュータの操作自体のためのものではないもの。たとえば、ワープロソフト、表計算ソフトウェア、イラスト作成用ソフトウェア、写真加工用ソフトウェアなど。 アプリと略されることが多い。

(注5)経済協力開発機構(OECD): 国際経済全般について協議することを目的とした国際機関。本部事務局はパリ16区に置かれている。

(注6)国内総生産(gross domestic product:GDP):一定期間内に国内で産み出された付加価値の

総額。

(注7)法定雇用率:障害者の就業の安定を目的に、一定の人数以上の労働者を雇用している企業や団体を対象として、すべての常用労働者のうち障害者をどのくらいの割合で雇う必要があるかを定めた基準。

 

参考資料

(1)日本経済新聞、2021年8月25日。

 

[付記]2021年8月27日。

 

ここ以降は通常ブログです。

 

「次世代産業社会へ」「林業再生・山村振興&林業再生」 2021年8月27日 多様な働き方できる自治体 10万人都市が上位を占める

 

「次世代産業社会へ」「地域創生・山村振興&林業再生」

 

2021年8月 (№134)

 

□ 椎野潤(続)ブログ(345) 多様な働き方できる自治体 10万人都市が上位を占める 2021年8月27日

 

☆前書き

日本は、少子高齢化が進み、人口減少が続いていきます。これで日本の未来は、どうなるのだろうかと、不安が募ります。でも、各地では、これに対する危機感から、地道な努力も重ねられています。また、増えている都市に共通の特徴もあるのです。ここでは、これを探索してみました。2021年7月21日の日本経済新聞が、これに関する記事を書いていました。今日は、これを取り上げてブログを書きます。まず、この記事の「書き出し文」の引用から始めます。

 

☆引用

「新型コロナウイルス流行を機に、働く場としての中堅都市の潜在力が浮かんできた。日本経済新聞と東京大学は、各種都市データを集計し、多様な働き方が可能な特徴を点数化。主要287市区に順位をつけると、人口10万人の石川県小松市が首位となった。トップ31の68%を10万人台の都市が占めた。新たな職・住スタイルに適した環境づくりが都市の成長力を左右する。(参考資料1、2021年7月21日の日本経済新聞から引用)

 

☆解説

これまで都市の競争力は、人口規模や企業の立地で測ることが多かったのです。税収が増えればインフラが整い集積度が高まるからです。大都市にヒト、モノ、カネが流れてきたのは、こうした循環があったからです。でも、コロナ禍で、人々の働き方や生活は一変しました。テレワークが広がり、自宅やその周辺で効率よく働けることを重視する人が増えてきました。多様な働き方や生活を実現できる都市が再評価され始めたのです。

日本経済新聞では、コロナが流行し始める前の2020年1月時点で、人口10万人以上の市と特別区に絞って、その実力を探っていました。ここでは、仕事と生活を両立できる環境、地域の自立度を把握して、それぞれの水準で採点し、順位をつけました。

首位の石川県小松市は、学童を含む保育環境と福祉施設の充実度、住宅の広さなどが最高点でした。製造業が集積するほか、金沢市に近く通勤時間は総じて短いのです。職場への出勤、在宅勤務のいずれも選択しやすい環境にありました。同市は「新型コロナの拡大を機に、働きやすい環境を一段と整備したい」と述べています。(参考資料1、2021年7月21日、日本経済新聞(朝田賢治、森川直樹)を参照引用して記述)

 

☆まとめ

多様な働き方や生活は、大都市でなくても可能です。都市の実力点のトップ31には、中核市への移行に必要な20万人に満たない21市が入っていました。2位の鳥取市は18万人、3位の富山県高岡市は17万人です。いずれも公衆無線LANが整い、相対的に地域内で所得と支出がうまく循環していました。4位の愛媛県西条市は、保育所への入りやすさで高い得点を得ました。市内全域に分散しており、自宅近くや職場近隣など、移住者の生活スタイルにあった保育園を選びやすいのです。

上位の自治体は3世代同居が多く、地域社会の結びつきも強いのです。子育てと仕事を両立しやすい環境にあるのです。

コロナの前後の変化を反映しているのが昼間人口です。NTTドコモの人流データで平日午後2時の人口を比べると小松市と高松市で3%増えていました。総合点が高い都市で、昼間人口の増加率が高い傾向があるのです。住宅周辺で働きやすい環境が整っていると思われます。

京都大学の広井良典教授は「人口増のような単純な発展モデルではなく、職住近接や生活の質の視点で地域を評価することが必要である」と指摘され、その上で「人口10万人台の都市が活力を取り戻すことが重要だ」と訴えておられます。共同で調査した東京大学の腰登教授は、「多くの人が大都市の過大な移動距離や待ち時間に気がついた。コロナ終息後も「密」の解消や「職住一体化」が進み、中堅都市の求心力は高まる」と予測されています。

日本経済新聞の調査で、「多様な働き方可能都市」の、全国トップ31の中で、21市が人口10万人台の都市であったのには、私はとにかく、驚きました。このことに焦点を合わせて考えれば、全国各地に、10万人台の都市を散在させて地域創生を進めるのが、極めて有望です。(参考資料1、2021年7月21日、日本経済新聞(朝田賢治、森川直樹)を参照引用して記述)

 

(注1)森林サービス産業:多様な生活者を意識し、森林空間が生み出す恵みを活用したサービス。医療・福祉、教育・学習支援、観光・旅行、娯楽、林業等に関わるサービスを複合的にビジネス化。相乗効果を発揮することを目指す。

(注2)共生社会:すべての人がお互いの権利を尊重し、支え合う社会。地域住民や地域の多様な主体が、わが事として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて、丸ごとつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会。

 

参考資料

(1)日本経済新聞、2021年7月21日。

 

[付記]2021年8月27日。

 

[コメント]

今日のブログに、今、開催されているパラリンピック東京大会の開会式のことを書いた特別ブログを、併せて発信しました。パラリンピックは、未来に向けて共生社会(注2)を築いていくことを目指して、世界の人たちが集まる大会です。このブログで結論を得た10万人台の人々が集まる都市が、高い評価を受けたのは、職住近接や、特に「生活の質」の視点で地域を評価した結果でした。ですから、ここで評価された10万人都市は、共生社会(注2)に、一歩前進した社会をもっていると思われます。

日本国は、今、コロナの悪魔に襲われて逆境の最中(さなか)にいるのです。このような時こそ、足元を見るだけでなく、未来社会へ向けて重要な第一歩を踏み出さねばなりません。限りなく広い視野で考える必要があります。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です