次世代農業へ向けて いよいよ出発「売れる農業」へ  九州勢が先行 宮崎・鹿児島・熊本が頑張る 

次世代農業へ九州勢が先行しています。

 

林業再生・山村振興への一言(再開)

 

2021年10月 (№146)

 

□椎野潤(続)ブログ(357) 次世代農業へ向けて いよいよ出発「売れる農業」へ 九州勢が先行 宮崎・鹿児島・熊本が頑張る 2021年10月8日。

 

☆前書き

長らく停滞が続いた農業も、ようやく、積極的な動きが出てきました。2021年8月14日の日本経済新聞がこれを書いていました。今日はこれを読んでブログを書きます。記事は以下のように書き出しています。

 

☆引用

「基幹産業として地域を支えてきた農業の競争力に大きな差が生じている。過去5年間で全国1741市区町村のうち6割の974が産出額を伸ばした一方、4割は縮小した。躍進が目立つ九州勢の取り組みを探ると、地域ブランド(注1)を活用した「売れる農業」の姿が見えてくる。(参考資料1、2021年8月14日、日本経済新聞(瀬口蔵弘、下村恭輝、山本公彦、吉田忠則)から引用)

 

☆解説

農林水産省が2021年3月に公表した2019年の農業総産出額は8兆8938億円でした。都道府県別の産出額では北海道が統計の残る1960年以来首位を守り、1兆2558億円でした。2位以下は鹿児島県、宮崎県、熊本県が順に並びました。

1960年時点では新潟県などの米どころが上位の常連でした。でも、需要の低迷もあり、稼げる農業の内訳が一変しました。台風被害を防ぐため、稲作から施設を使った畜産や園芸への転換を進めた宮崎県などの九州勢が踊り出ました。

2014年から集計が始まった自治体別の産出額でみましても、九州が目立ちます。2019年のトップは宮崎県都城市で877億円でした。2014年比増加率でも首位は74%の宮崎県日向市でした。2位は61%増の鹿児島市、都城市も25%増で3位に入りました。稼ぐ力を確立した地域が、より強みを発揮します。

マンゴーの産地、宮崎県日向市は県やJAなどと取り組んだ高級マンゴーのブランド「太陽のタマゴ」のほか、畜産などで生産力を高めました。主力の養鶏では事業者が鶏舎の清掃などの分業化を進めて作業効率を向上させました。鶏肉の年間出荷回数を従来の4.5回から5〜6回程度まで引き上げました。

日向市だけでなく、宮崎県内では関係者が一丸となった競争力向上の取り組みが進みました。県は1994年に「みやざきプランド確立戦略構想」を策定し『作ったものを売る』 から『売れるものを作る』を目標に据えました。おいしさや鮮度といった商品そのものの「質」を高めるだけでなく、安心・安全を前面に畜産物と花卉(かき)を除く全てのブランドに、月2回検体以上の残留農薬検査を義務付けました。そして、基準値を超えた場合には迅速な出荷停止処置をとれる体制を整えたのです。

都城市は1960年以降、稲作から畜産への転換を進めてきたことが功を奏し、2019年、初の首位となりました。主力産品のひとつ「宮崎牛」は1986年、関連団体が共同で「より良き宮崎牛づくり対策協議会」を発足させ、品質向上への動きを加速させました。「日本一の努力と準備」を合い言葉に、全国大会で史上初の3連覇を果たしたことなどで、首都圏などの大消費地の評価を高めました。

増加率2位の鹿児島市も「鹿児島黒牛」や「かごしま黒豚」の産地の一つとして、県や周辺自治体と連携して知名度向上に力を入れました。県は全国に先駆けて1989年から販売力強化を目的とした農産物の認証制度をスタートさせています。(参考資料1、2021年8月14日、日本経済新聞(瀬口蔵弘、下村恭輝、山本公彦、吉田忠則)を参照引用して記述)

 

☆まとめ

日本の農業といえば田圃(たんぼ)でお米を作り、畑で野菜を作る産業だと、私は、そう簡単に考えていました。その農業がコロナの悪魔の襲来で、日本の人々が等しく苦しむ中で、大発展をし始めているというので驚きました。それも、今、様々な産業が、思い切った産業転換をしていく中で、農業も大きな転換を達成し、凄い収益をあげているのです。

特に宮崎県が27年前の1994年に策定した「みやざきブランド確立戦略構想」で、「作ったものを売る」のではなく「売れるものを作る」を目標に定めていたのには、さらに驚きました。正論を目標にしっかり定め、地道に粘り強く頑張っていけば、未来の希望は必ず達成できるのです。

農業も、先見の明のある人がいた地域では、未来へ向けた改革が着々と進んでいたのです。その成果は驚くべきものがありました。日本の人々が、農業のブランド確立において、「コシヒカリ」を超えるブランド米の発見に情熱を傾けていた27年間に、宮城県が見付けた最強のブランド商品は、高級果実マンゴーの「太陽のタマゴ」と牛肉の名品「宮崎牛」でした。

次世代産業は、想像を絶するほどイメージが違う世界になるはずだと、私は確信していましたが、具体的にこうなると、実は本当に驚きました。こうなると林業でも、森林サービス産業を中心に、「2021年林業ブランド戦略」を至急考えねばならないでしょう。

 

2021年8月17日に、林野庁森林利用課 山村振興・緑化推進室の安高志穂室長が書いてくださった森林サービス産業の解説(参考資料2)によりますと、森林サービス産業の役割は、医療・福祉・教育・観光・旅行・娯楽・林業に関わるサービスを、人々の幸福社会に役立てることを目指して、広く国民に提供することです。

農業において、米(こめ)がマンゴーに化けたくらいですから、林業が提供する主力ブランドが医療や福祉に関する何かに化けても、驚くには値しません。観光・旅行・娯楽については、いろいろ、面白いサービスが見つかりそうです。今日は教育について一つ書いておきます。

 

平安時代の古くから、霊験あらたかな奥山の空気の中で修行をし、人々の人生を厳しいものに挑戦させ、正しく豊かなものに導いてくれた山伏の修行に、私は強い関心をもってきました。私が椎野塾塾長代行をお願いしています天台宗普賢寺の小野常寛住職は、2017年 の春から夏にかけて、天台宗の百日回峰行(注1)を満行されました。この修行は、天台宗の代表的な修行で、極めて厳しいものですが、私は、もっとやさしい初心者向けの修行プログラムが組めないものかと思っていました。

お聞きしてみますと、先達(せんだつ、注2)さんにお願いすれば、登山経験の浅い人でも行くことが出来て、それなりに霊験な山地に案内してもらい、初心者向けの修行会を実施することができると言うことでした。一度、詳しく相談してみようと思っています。私は、今ここで、森林サービス産業(注3)の一つの代表的なブランド(注4)を作っておきたいのです。(参考資料1、2021年8月14日の日本経済新聞を読んで発想)

 

(注1)千日回峰行、百日回峰行:千日回峰行は7年間かけて行なわれる。1年目から3年目までは、1日に30キロの行程を毎年100日間行じる。この1年分の百日のみの回峰行を百日回峰行という。

(注2)先達:山伏の先頭になって道案内や修行を指導してくれる長老の山伏を先達(せんだつ)と呼ぶ。

(注3)森林サービス産業:多様な生活者を意識し、森林空間が生み出す恵みを活用したサービス。医療・福祉、教育・学習支援、観光・旅行、娯楽、林業等に関わるサービスを複合的にビジネス化。相乗効果を発揮することを目指す。参考資料2を参照。

(注4)ブランド(brand):財・サービスを、他の財やサービスと区別するためのあらゆる概念。当該財サービスと消費者の接触点での、当該財サービスのあらゆる角度からの情報と、それらを伝達するメディア特性、消費者の経験、意思・思想なども加味され、結果として消費者の中で当該財サービスに対して出来上がるイメージの総体。

 

参考資料

(1)日本経済新聞、2021年8月14日。

(2)椎野潤(続)ブログ(342) 次世代産業社会へ向けた林業・山村(その2)森林サービス産業の解説 2021年8月17日。

(3)椎野潤(特別)ブログ比叡山延暦寺京都切回り参加紀行:2017年6月5日。比叡山百日回峰行の修行中の小野常寛さんの、京都切回りを応援に、京都へ行きました。

 

[付記]2021年10月8日。

 

[コメント]比叡山百日回峰行の京都切回り

比叡山百日回峰行の修行中の小野常寛さんの、京都切回りを応援に、京都へ行きました。2017年6月5日の特別ブログに書いています。ここで、それをご紹介します。

 

「比叡山百日回峰行の京都切回りの大阿闍梨と小野常寛さんの一行は、予定通りに、清水寺に到着しました。凄い速さの歩行です。小野さんは、お元気そのものでした。今年の百日回峰行は、8人が修行中とうかがいましたが、小野さんともう一人、二人だけが、特別に選ばれて大阿闍梨について京の街を回っていました。小野さんは、見違えるほど、元気そうで立派に成長されていました。大阿闍梨は、お迎えに集まった大勢の人達のために、一人一人、心を込めて祈ってくださいました。私も、頭と体に触れて祈ってくださいました。幸せな一瞬でした。

小野さんを応援にきた人達、一同は、小野さんと一緒に記念写真をとりました。写真は、明王堂の写真班の方がとってくださいました。そして、全く特別扱いで、大阿闍梨さんが写真に入って下さったのです。それは小野さんの人徳と、平素の行いに対する大阿闍梨さんの強い信頼を示すものでしょう。凄いことだと思いました。「こんな幸せな日もあるのだ」と、私は、幸福感に満ち溢れました。」(参考資料3から引用)

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