フォレスターズLLCによる市町村支援事業(その1) フォレスターズLLCを作る 

林業再生・山村振興への一言(再開)

2020年11月(№55)

 

□椎野潤(続)ブログ(266)なぜ、一般社団法人 ぎふフォレスター協会を設立したのか(その8) 市町村支援事業(その1) フォレスターズLLC を作る 2020年11月27日

 

☆前書き

このブログは、前回の続きです。小森さんから資料をいただきました。この資料には、森林総合監理士という民間にも開放されている資格で、市町村をバックアップすることの重要性が、丁寧に述べられています。また、民間フォレスターの組織として、「フォレスターズLLC(注1)」という合同会社を作ることにした経緯が述べられています。なおここで、私が、一連のブログとして、読みやすいようにと配慮して、言葉の流れを直す加筆をしています。これを元にしてブログを書きます。

 

☆本文

私は昨年から、都道府県の林務担当者研修の講師を務めています。経験年数3年未満の方を対象とし、基本部分を受け持っています。様々な市町村の担当者にお会いして思うのは、今年から林務に来た人が、すぐ、森林経営管理法の担当者になるのは難しいということです。

これは能力がないということではなく、モチベーションの高い職員の方でも、その専門知識を、まだ、持たない中で取り組みを始めても、形になる頃には移動してしまうからです。

私の受け持つのは基礎部分ですが、研修内容は、丸二日、10時間にもなる量です。私としては、これぐらいの内容は理解していないと、森林経営管理法の本来の目的を達成する、地域森林監理は出来ないと思っています。ですから、市町村の担当者には、なんとしても専門家に頼ってほしいと伝えています。

そこで専門家組織として、(一社)ぎふフォレスター協会を作りました。でも、全国の困っている市町村の支援をするには、どうしたら良いかを考え、全国に対応ができる組織を作る必要があると思うようになりました。

そのような時、林野庁主催のサスティナブル・フォレスト・アクション(SFA)というプログラムに出会いました。そこで「民間フォレスターによる市町村行政支援事業」というビジネスモデルを、2か月間で作り上げるというチャンスを頂きました。

 

私は自分の経験上、そのようなポジションが必要なのは、良く理解しています。国に「地域林政アドバイザー」という制度があるのも、国として、そのようなポジションの人材が必要だと分かっているからだと考えます。でも制度はあるが、うまく回っているのかというと、どうなのでしょうか。

そこで2か月間、関係者の方々と、市町村は本当に、そのような人材を必要としているのか、また必要としているとした場合、そのような人材は本当にいるのかということを、真剣に考えました。

そこで私が出した結論は、民間にも開放されている森林総合監理士という資格での市町村へのバックアップが、極めて重要だということでした。

 

[森林総合監理士という資格]

森林総合監理士は、森林法施行規則(昭和26年農林省令第54号) 第89条に規定する林業普及指導員資格試験の地域森林総合監理区分に合格した者となっています。

一定の職務経験があれば、民間人も受験資格があります。その職務が目指すところは、以下の通りです。

[主な業務]

(1)構想の作成:地域の森林の整備、林業や木材産業の活性化の進め方について、必然的・社会経済的条件を踏まえ、長期的・広域的な視点に立った構想(マスタープラン)を描きます。

(2)合意形成:地域の森林・林業関係者(森林所有者、森林組合、素材生産業者、木材加工業者、行政関係者等)や住民の間で、構想(マスタープラン)についての合意形成を図ります。

(3)構想の実現:構想(マスタープラン)の実現に向け、制度や予算等を活用しながら具

体的な取組を進めます。

市町村の中で、このような位置づけで長期にわたり仕事をする人は、いないのが現実です。そこで、民間フォレスターの組織として、「フォレスターズLLC(注1)」という、合同会社を作ることにしました。

このような業務を行うフォレスターは、コンサルティングフォレスターと言うことが出来ます。アメリカにおいては、民間のコンサルティングフォレスターの組織が全国にあり、その多くが合同会社形式を取っています。つまり、それぞれのフォレスターが専門家であり、組織の経営者でもあるという位置づけです。

日本においても、合同会社の形をとることが、あり方として一番良いのではないかと考えています。(小森胤樹著:参考資料1から引用)

 

☆まとめ

このブログでは、都道府県の林務担当者に対する、フォスターの専門家による専門教育についての、小森胤樹さんの丁寧な解説を掲載しました。これは素晴らしいのですが、私は、伊佐さん達の「森と人間のコミュニケーション」についてのブログを書いてきて、ここでも、同様の視点の重要性を、痛感しています。それで、その私見を、ここに少し書いておきます。

私は、ここで、フォレスターズLLCと民間フォスターによる市町村支援事業の「推進虎の巻を考える」プロジェクトチームを作ると良いと思っています。

小森胤樹さんをリーダーに、森林パートナーズの小柳雄平社長、それに支援を受ける側からの情報提供者として、鹿児島県南大隅町の森田俊彦町長も、参加してもらうと良いでしょう。さらに、秩父FORESTに参加しているスタートアップで、「SDGsを学ぶ教室」を主催している「第二ふるさと創生会」も、呼んで参加してもらいましょう。そして「民間フォレスターによる市町村支援事業コース」を開設してもらうのです。

そして「高度の知識を持っている」良く勉強している専門家から学ぶだけでなく、林業の現場からも学ぶのです。こうして「民間フォレスターによる市町村支援事業」の推進において、障害としてたちはだかる壁を、良く知ることが必要です。さらに「森自身」も良く見なければなりません。森自身は、その「壁」が何であるかを物語る姿を、どこかに示しているはずなのです。

また、その「壁」を乗り越えて、改革を成し遂げた森の姿に深い感動を受け、それを心に深く刻まねばなりません。民間フォレスターズによって、指導を受けた市町村に、この感動をいかに強烈に感じてもらえるかが、一番の鍵になります。すなわち「フォレスターLLC」と「民間フォレスターによる市町村支援事業」のプロジェクトにおける最重要人物は、実は、森自身なのです。そして教わる側の市町村の担当者の心に遺る、強烈な感動なのです。

 

次回は、フォレスターLLCが市町村の林務に、どんな支援が出来るのか、詳しく述べていただきます。(まとめは、椎野潤が記述)

 

(注1)フォレスターズLCC:フォレスター達が集合して形成する合同会社。

 

参考資料

(1)小森胤樹著、椎野潤補作:フォスターズLLCを作る、森林総合管理士という資格、2020年11月24日。

(2)椎野潤(続)ブログ(265)なぜ、一般社団法人 ぎふフォレスター協会を設立したのか(その7)、これまでの総括と次への展開、2020年11月24日。

 

[付記]2020年11月27日

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