地域における挑戦者たち(その2) 福島県相馬市。「古里の復興 田んぼから」

地震被災地、福島県南相馬市に、「古里の田んぼを再建しよう」と、挑戦している20歳の女性がいます。震災地に自動走行トラクターなどを導入したスマート農業が、若い就農家を元気づけています。彼女は、颯爽とトラクターに乗って挑戦しています。今日は、その活動を報告します。

 

林業再生・山村振興への一言(再開)

 

2020年12月(№58)

 

□ 椎野潤(続)ブログ(269)  地域における挑戦者たち(その2)

福島県相馬市。「古里の復興 田んぼから」2020年12月8日

 

☆前書き

震災の荒れ地が一つ一つ、田んぼに復旧するのを見て、古里がもどってくると、頑張っている少女がいます。地震被災地南相馬市の20歳の鈴木ふみかさんです。2020年9月27日の日本経済新聞(参考資料1)は、「少女の田んぼ作りからの古里復興」の挑戦を書いていました。今日はこれを取り上げてブログを書きます。

 

☆本文

東日本大震災と原子力発電所の大事故が起きたのは、鈴木ふみかさんが、小学校4年生の春でした。避難先から自宅に戻ったとき、テレビを見ていて、目に映ったのは、地元の農家の男性の姿でした。何時かは分からないけれど、それでも必ず農業を再開するとあきらめずに、黙々と除染やがれき撤去に取り組んでいました。その姿をみて「自分も農業の復興に役立ちたい」と思いました。

この思いは募り、県立農業高校へ入りました。でも、立ちはだかる壁に、すぐ、突き当たりました。学校で作った野菜を、地元で売ろうとした時、返ってきた言葉です。「小さい子供がいる。放射能が怖いから、この土地の野菜はいらない。」「厳しい検査や安全対策をやっているのに」と悲しくなりました。

でも、高校2年生の時、福島県内のNPOが企画した、東欧ベルラーシ(注1)の訪問に参加したことが、悲しかった自分の背中を押しました。

1986年のチェルノブイリ原発事故で汚染被害を受けたベルラーシ(注1)の国立ゴメリ大学は、事故後の放射性物質の抑制研究で高い評価を受けていました。同大の生物学部長と面会した鈴木さんは、研究を重ねて正確な情報を伝え続けることの尊さを教わったのです。

鈴木ふみかさんが、高校卒業を控え、就職先を探していたとき、多くの休耕地を預かり、田んぼの再生をして、南相馬の社会を復興しようとしている、紅梅夢ファームの存在を知りました。鈴木さんは、「ここで、私は頑張れる」と勇気をもらいました。

紅梅夢ファームが挑戦している、遠隔操作の作物管理や自動走行トラクターの導入などのスマート農業(注2)は、鈴木さんの未来に、明るい夢を与えてくれました。これは若い経験不足の挑戦者の就農のハードルを、大きく下げてくれたのです。彼女は颯爽とトラクターに乗り、改革に挑戦していました。(参考資料1、日本経済新聞、2020年9月27日から引用)

 

☆まとめ

鈴木ふみかさんは、震災で荒廃した荒れ地が一つ一つ田んぼに復旧するのを見て、一日一日の毎日に、大きな生き甲斐を感じています。病の床にあった古里が、一日一日と健康体に戻っていく「古里の変化」を、はっきり体感できるのです。

来年(2021年)には、収穫した、お米が、自社ブランド精米として、発売されます。田んぼが一枚元気になれば、古里も一歩ずつ元気になっていきます。鈴木さんは、近づく年末年始を迎えて、「今年も大分元気になったね」と、古里の田んぼに話しかけています。

 

日本各地の山村の若い人達は、鈴木ふみかさんに、見習って、挑戦していただきたいのです。自分が先頭に立って「わが古里を未来にむけて、成長させていく」という、強い熱意を持ってもらうのが、まず、重要です。

また、地域を守る方々は、鈴木ふみかさんが見付けた紅梅夢ファームのような、地域活性化を先導する組織を、是非、早急に立ち上げて欲しいのです。そして、自動走行トラクターのような、若者が夢を持って挑戦しやすい先進的なツールを、思い切って導入していただきたいのです。

各地に、「紅梅夢ファームのような先導組織が出来て、鈴木さんのような若者の第1号が生まれる。」これが「山村振興運動」の第一歩です。その掛け声は「古里の復興 田んぼから」が、最高です。(参考資料1、日本経済新聞、2020年9月27日を参照して記述)

 

(注1)ベラルーシ共和国(ベラルーシ語: Рэспубліка Беларусь、ロシア語: Республика Беларусь):ベラルーシは、東ヨーロッパに位置する共和制国家。日本語では白ロシア(はくロシア)とも呼ばれる。東にロシア連邦、南にウクライナ、西にポーランド、北西にリトアニア、ラトビアと国境を接する、世界最北の内陸国である。首都はミンスク。ソ連崩壊でソビエト連邦から独立した。

(注2)スマート農業:センサー技術、情報技術、ロボット技術等を高度に活用して、少人数で多数の圃場を的確に管理することを目指した農業。肥料・農薬・水・エネルギー・労力を過不足なく使用し、かつ収穫・品質を確保するため、営農サイクルの主要な意思決定において、作物や圃場の実態に関する空間情報を用いる。一見、均一にみえる圃場において空間的・時間的に気温土壌肥沃度や土壌水分がばらつく事を前提とし、それを認識して制御することで収量等の改善を目指す。

 

参考資料

(1)日本経済新聞、2020年9月27日。

 

[付記]2020年12月8日。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です