地域創生 アニメ聖地巡礼 経済潤す 全国で500カ所 7年で2倍 

林業再生・山村振興への一言(再開)

 

2021年7月 (№125)

 

□ 椎野潤(続)ブログ(336) 地域創生 アニメ聖地巡礼 経済潤す 全国で500カ所 7年で2倍 2021年7月27日

 

☆前書き

アニメの聖地巡礼は、私が2019年8月11日にブログで書いた頃は、京都アニメーションの痛ましい火災事故での、アニメ作家の死を悼むファン達が、世界から集まっていました。それからの2年間は、このブームを一過性のものに終わらせたくないと考えた人達の強い努力で、着実に拡大してきたのです。日本経済新聞の2021年6月26日は、その後のアニメ巡礼についても書いていました。今日は、これを取り上げてブログを書きます。まず、この記事の「書き出し文」の引用から始めます。

 

☆引用

「アニメに登場する舞台を訪ねる観光スタイルが勢いを増している。「アニメ聖地巡礼」と呼ばれ、民間の関連サイトにファンらが登録したスポットは5000カ所を超え、7年で倍増した。舞台は全国に広がり地域再生の芽になっている。」(参考資料1、2021年6月26日の日本経済新聞(江口博文、山本公彦)から引用)

 

☆解説

インターネット上で「聖地巡礼」を運営するディップによりますと、聖地は2021年4月時点で全国に5315カ所あります。2014年時点の2478カ所から培増しました。制作会社が集中する関東が過半数を占めるのですが、伸び率は東北(6.0倍)、東海(3.8倍)などの増加が目立ちます。海外市場の拡大を意識して、日本的な街並みを生かした作品を増やす動きが反映しているようです。

静岡県の聖地は、都道府県別で5番目に多く、東海4県の4割を占めています。牽引は沼津市を舞台に2016年に初放映した「ラブライブ!サンシャイン!」です。「沼津を舞台に」との製作会社からの提案を、市や経済界はチャンスに変えました。市内を巡るスタンプ企画や、クラウドファンディング(注1)を活用した図柄入りマンホールの設置など、多彩な事業を展開しました。

聖地が多い地域の観光案内所の2017年度の利用者は、8万4000人と放映前の2015年度の9倍に膨らみました。新型コロナウイルスの影響を受けた2020年度も、3万4000人を維持しました。

大きな投資をせず既存の地域資源に付加価値がつく利点は大きいのです。2016年には、飛騨市が舞台の映画「君の名は」がヒットしました。十六総合研究所(岐阜市)の試算では、同年に公開された他の2作品を含めた経済効果は、235億円に上っています。

福島県会津若松市の温泉旅館「大川荘」は、映画が歴史的なヒットとなった「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」に登場するシーンと似ていると評判になりました。2020年6月、新型コロナによる休館後に再開すると、ファンの予約が殺到しました。同館では「団体客が消えた中、ファンが経営の下支えとなった」と語っています。(参考資料1を参照引用して記述)

 

☆まとめ

大河ドラマなどと比べると、アニメのファンは、作品の世界観やキャラクターへの愛着が強いとされています。茨城県大洗町は、東日本大震災の津波被害などで観光客が激減しましたが、2012年〜2013年に放映した「ガールズ&パンツァー」の舞台になり、息を吹き返しました。

一過性に終わらせまいと、各店舗には当初から、キャラクターの等身大パネルが設置されました。店主がファンと交流するきっかけをつくり、年間30〜40回は開催していたイベントを通じて、絆を深めてきました。昨年は、新型コロナで苦境に陥った店舗などへの支援を、クラウドファウンディング(注1)で募ったところ、目標の2倍以上の4680万円が集まりました。聖地巡礼を機に、大洗町に移住した人は100人に上ります。

日本のアニメ市場の半分は、海外での映画の上映やゲーム販売です。観光庁によりますと、2019年の訪日外国人のうち、「映画・アニメゆかりの地を訪問」をした人は4.6%でした。「次回にはアニメを訪問したい」と述べた人は10.2%いました。

私は、2019年8月11日に、聖地巡礼のブログを書いています(参考資料2に登載、注2参照)。

2019年7月に、日本のアニメ製作の大手、京都アニメーションの放火事件が起きました。この京アニの悲しい事故が、インスタグラム(注2)で、世界中の京アニファンに伝えられ、事故から一カ月もたたない内に、世界から猛烈にファンが押しかけてきました。このときのファンの爆発が「巡礼」の語のはじまりです。

このときは、熱愛する作品の作者が火災で亡くなり、それを悼んだファンが猛烈に、集まったのです。それから、これまでの2年間は、このブームを一過的なものにしたくないと強く思った人達が、この聖地巡礼を、さらに拡大させたのです。これは、聖地巡礼の地域の魅力を更に積み重ね、SNS(注3)で海外へ発信した地元の人達の努力の賜物です。

今後、この聖地巡礼の魅力を海外に、更に広く深く発信できるのかが、今後の日本の観光産業の成長と地域創生に、多大な影響を与えると思います。これからの地域のさらなる努力を強く期待します。(参考資料1、2021年6月26日、日本経済新聞を参照引用して記述)

 

(注1)クラウトドファウンディング:社会・政治運動、ベンチャー企業への出資 、映画・フリーソフトウェアの開発、個人・事業会社・プロジェクトへの貸付など、幅広い分野への出資に活用されている。

(注2)参考資料2の中に登載、椎野潤ブログ(230)京都アニメーション支援金100億円突破 名作のモデルになった地域を巡回する巡礼の流れが発生 祭の神輿も登場 2019年8月11日。

(注3)インスタグラム:写真に特化したSNS (ソーシャル・ネットワーキング・サービス)。画像や短時間動画を、共有する無料のスマートフォン・アプリとそれを用いたサービスのこと。

(注4)SNS(Social Networking Service):人と人との社会的な繋がりを維持・促進する様々な機能を提供する、会員制のオンラインサービス。

 

参考資料

(1)日本経済新聞、2021年6月26日。

(2)京アニ巡礼 熱烈なファンが世界に大きな波を作る 山村振興に追い風、国土緑化推進機構、フォレストサポーターズ研究報告、2020年7月17日。

 

[付記]2021年7月27日。

 

[コメント] 東京五輪開会式開催

「2021年7月23日の夜、東京五輪の開会式が行われました。国立競技場の夜景は、暖かい木の色と姿が美しかったです。日本の伝統的な美意識と近代的で新鮮な美感覚が融合した、美しい日本の木造建築物の美を、数十億人の世界の人々に感動して見てもらえました。」

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