佐伯広域森林組合の視察11月21日~22日

椎野潤ブログ(大隅研究会第14回)  佐伯広域森林組合の視察11月21日~22日

 

おおすみ100年の森 森田俊彦

今回、ウッドステーション㈱塩地会長のおすすめも有り、おおすみ100年の森の研修視察を佐伯広域森林組合でウイング㈱倉田さん一行や宮崎県環境森林部他の皆様とご一緒させてもらい大変有意義な研修視察と交流が出来ました。また、田中市長をはじめ県市の行政当局も参加する地域ぐるみで取り組む意気込みを感じる研修でした。

先ず戸高組合長、田中市長、倉田ウイング㈱社長と塩地会長のご挨拶で始まり、今回の連携協定の概要等を踏まえ佐伯市の森林の持続可能性への思いが全般的に話されました。

その後の原木市場、伐採現場や苗木生産現場、森林組合の製材工場等の視察をさせてもらいましたが、ご挨拶の中身が本物でありまた、一朝一夕にて出来上がったものではない事に感銘を受けました。

この度の連携協定の特出すべき点がいくつかありました。

(1)価格と数量を協定書に明記した点

ウイング㈱にしてみれば、引取り数量を試算することはできたとしても価格決定に至る交渉は並々ならぬものであろうかと推測いたします、再造林までも踏まえた上での積み上げ積算価格の同意は、協定を結ばれた両者の勇気と決断に敬服いたします。

(2)川上川下の直結

直接の取引のある佐伯広域森林組合とウイング㈱のみで完結する非常に短い動線であること。単に佐伯広域森林組合がこれまでの歴史の中で山林経営、原木市場、製材工場等を有している時点で、川上から川中まで一つの意思で動けることと、ウイング㈱の川下側の需要量の掌握と一括発注は、シンプルでいて短い動線であることは素晴らしいことであると思います。

(3)行政参加と港湾物流

連携協定に市が参加されることにより協定の重みが増すと同時に今後の展開に何らかの形でサポートされるであろう事も期待できる。市のインフラ整備の中今後の物流問題の代替えとして、近くの港湾から船便にて都市部に大量輸送できる事も期待したいところです。

(4)再造林の基本姿勢

再造林率85%は、森林組合の今までの信頼と実績のたまものと地域の方々の意識の高い結果であろうかと思います。切ったら植えるを先人から脈々と受け継ぐこの姿勢こそ今回協定の最終目的である再造林への道を地域ぐるみで成し遂げる最重要事項だと思いました。

私共おおすみ100年の森も多種多様な川上から川下までのメンバー構成ですが、この度の視察と交流では、山の恩恵に報いまた次世代へつないでいこうとする人々の熱意と魂に触れ目覚めさせてくるものとなりました。

 

まとめ 「塾頭の一言」 本郷浩二

佐伯広域森林組合の視察、お疲れ様でした。

素晴らしい取組を目にされて、大隅の皆様にも、心も新たに取り組まれる気持ちが生まれていると思います。ぜひ、大隅でも地域に適合した取組を前進させてください。

これまでも先進的な取組があちこちで起こり、全国からたくさんの視察、見学が行われてきましたが、その取組が広まり、同様の取組が進められた例はわずかしかありません。あの取組は素晴らしいが、あそこだからできるのであって、同じようにヒト、モノ、カネの条件が揃わないから自分達にはできない、と諦める皆さんが多いのです。確かに、成功事例にはうまくいった要因があるとは思いますが、その要因も自らの知恵と工夫、そして何より熱意と実践が導いてきたものなのだと思います。

ヒト、モノ、カネの条件は地域地域で違いがありますから、その中で、何をすればよいのか何ができるのかをしっかり考えて、確実に前に進むことが大事です。無理を押し通すのではなく、越えられない壁があれば回り込む、渡れない河があれば浅瀬を探す、回り込めなければはしごを掛ける、浅瀬がなければ舟を渡すなど、諦めずに済む手立てや支援を得る努力をお願いします。

まずは森や木の需要を見つけてください。目標となる需要があることで、地域で取り組む力は具体化すると思います。そしてその需要で収入を得る、お金にすることがその取組の持続力の源になるはずです。

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