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森に遺された足跡-「山林王」を読んで

吉野に生き、林業で得た巨万の富を惜しみなく社会のために使った明治の偉人、土倉庄三郎の生涯とその業績を追った田中淳夫氏の「山林王」を読みました。心の深部にゆっくりと染み入るような感動は、その業績とはあまりに不釣り合いな、晩年の一族の没落によって、一層際立った陰影を与えられているように思います。

森と生きるために-小さな掌の応援

先日、千葉市内で行われた2×4(ツーバイフォー)工法のアパートの上棟現場で、敷地の隣の高台から作業を見守り、懸命に両手を叩き続ける小さな男の子に出会いました。アパートの土台の近くに横付けされたクレーンが木製の大型パネルを吊り上げ、良く晴れた青空をふわりと舞うように移動させ、所定の位置に降ろしていきま

森と生きるために-在来木造と2×4(ツーバイフォー)の融合

先日、千葉市内で2×4木造アパートの上棟が行われました。100平方メートルの2階建て、大きな窓の数からみて、10戸程度が入居する建物でしょう。このアパートの建設には、いくつもの革新的なトピックが絡んでいました。一つには、柱のほぼ全てに、国産の杉材を利用していることです。2×4で使われる木材の

林業ビジターエッセイ-「かがわ木材加工センター」

林業の観点から見ると、香川は四国の中で異質な県です。高知・愛媛・徳島はいずれも林業が盛んで、高知と愛媛は年間50万㎥以上、徳島も30万㎥以上を産出していますが、香川はわずか1万3千㎥。(林業統計R3)全国でも沖縄・大阪に次いで下から3番目の少なさです。古くから讃岐三白(砂糖・綿・塩)の産地として知ら

森と生きるために-2×4(ツーバイフォー)国産化に向けて

2023年の年明け早々、日刊木材新聞に、2×4建築資材製造大手のウイングと、木造軸組建築用大型パネルを製造販売するウッドステーションの提携記事が大きく掲載されました。この記事ではわずかに触れられただけですが、両社はこれまで外材に頼ってきた2×4の資材を国産化していくことも前向きに検討しています。

森と生きるために-信州大学での新たな挑戦

2023年1月4日、信濃毎日新聞の一面に、「デジタル在庫で木材受注生産」と題した記事が掲載されました。副題には「ドローンやAI活用 使える立木の情報収集」「価格安定 持続可能な林業へ」という文言が続きます。本文は、この事業を手掛ける信州大学農学部の加藤正人先生への取材を基に、AIなど最新技術を駆使し

森と生きるために-木材流通の転換点

2021年、新型コロナウィルスの蔓延による世界的な物流の混乱をきっかけに、ウッドショックと言われる木材の不足・高騰が始まりました。外材の輸入が止まり、影響を受けるのは梁桁が中心のはずが、木材在庫が少なくなっていたタイミング、相場取引という慣習や先行き不安により、国産の合板や羽柄材なども大きく値上がり

森と生きるために-広葉樹の森の生かし方

12月の上旬、旅行会社の知人の紹介で、高松市の塩江町でFAMツアーに参加してきました。FAMツアーはFamiliarization(ファミリアライゼーション) :慣れ親しむ、から来る言葉で、観光地が商品造成や誘客のために専門家や人気インフルエンサーなどを招待して実施する視察ツアーのことです。私自身は

森と生きるために-ツーバイフォー(2×4)工法を学ぶ

木材は建築以外にも家具や木工品、紙やバイオマスなど多くの製品に使われます。しかし取引価格が最も大きいのは、住宅・建築に使われる製材品や合板向けの木材です。ですから、山の維持管理に必要な木材価格を実現するためには、出口とか川下と呼ばれる、住宅その他の建築について知ることが欠かせません。木造と言えば

森と生きるために-森林と建築の連携最前線

2022年11月15日、大分県の佐伯広域森林組合の皆さんが、地元の製材や工務店など多くの関係者と共に新潟県長岡市を視察に訪れました。直行便などあるはずもなく、皆さん早朝に大分を出て羽田に飛び、大型バスに乗って途中で木造住宅の建築用金物を製造するメーカーを視察した後、長岡入りされました。そうして迎えた

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