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次のステージに向けて

直感を信じて、価値のある人に食い下がる。お花畑と言われようと、60も過ぎて何をやってきたのかと呆れられようと、自分の無能さに背中が凍える思いをしながら、それでも「国産材を」と言い続けた。決してエリートではない普通の人達が大きなリスクを取り、コツコツ努力し、見違えるような組織になった、その何気ない

茨城の住文化と県産材を守る人々

つくばエクスプレスの計画が持ち上がり、大手ハウスメーカーが進出してきた頃、このままでは固有の住文化が失われてしまうと立ち上がった人がいた。彼は茨城の気候風土に適した木造住宅を供給しようと「協同組合茨城県木造住宅センター」を立ち上げ、産業振興で農水省、国産材流通システムで林野庁から表彰されるなど精力的

鹿児島で見た建築と林業の現実

鹿児島市は、市電の走る広い道路、風に揺れるヤシの葉、ロック並みに濃い水割り焼酎、何を取っても豊かさと異国情緒を感じられる街だ。鹿児島大学に呼ばれ、2コマの講義を行ったウッドステーションの塩地会長は、「木造建築と国産材活用の同時成長」というテーマで話をした。ごく簡単にまとめれば、森林を資源倉庫

新たな製材への挑戦者

製材は木材利用のボトルネックになりやすい。ウッドショックの時も、国産材増産の上限は乾燥機の容量の合計だと言われたのを記憶している。量が増えないのは、中小の地場製材所が収益を確保しにくく、新規参入より廃業の方が多いからだろう。騒音や木屑にまみれ、危険を伴う作業でもある。大手の製材工場がFITの恩恵を受

モクコレ2024で感じたこと

WOODコレクション2024(通称モクコレ)に行ってきた。東京ビックサイトで毎年開催される、国産木材に特化した展示商談会だ。誰でも無料で参加できるが、実際に行くのは林業・木材産業や関係する自治体、業界団体の人が中心だろう。二つの大ホールに都道府県ごとにまとまって企業や組織の出展ブースがあり、お金をか

過去の経験を翼に

翼の右側に緑、左側に赤の航空灯、機体の左側から乗り降りすること、これらはみな、船舶の安全な航行のために作られたルールを航空業界が引き継いだものだ。恐らく数えきれない数の事故の教訓から、衝突を避け、港への出入りや着岸をスムーズに行うために世界共通のルールとして定着した事項に、高い有用性を認めたのだろう

森林添乗員が見る林業ICTの行方

2023年は、私達がずっとまともだと思っていたものの多くが虚像だと明らかになった年だ。ジャニーズ事務所や宝塚、ビッグモーターにダイハツ工業。問題が明るみに出ること自体は良いことで、会社はようやくこれまでのやり方が間違いだったと認めて方向転換できる。私が怖いと思ったのは、そういったビッグネームではなく

伐る前にわかる立木の品質

内部の虫食いを立木の段階で目視判定できるのか?その問いに対して、ある男性は明確に「YES」と答えた。「伐ってみなければわからない」が常識のようにまかり通る林業・木材業界の中で、ここまで心強い回答を聞いたのは初めてだ。しかしそのためには何十年という経験が必要なのではないかと問うと、そんな事はない、知っ

造林・保育のデジタル化

再造林をデジタル化したい、本気でそう考える造林事業者に初めて出会った。彼は生まれ故郷の市役所で長年行政に携わった後、誰かがやらねばと感じていた仕事のために役所を辞めて起業した。その地域は林業生産が盛んで、早くから高性能林業機械を導入し、他の多くの地域と同様、伐採に造林が追いついていない。私のような外

人を大事にする産業へ

「人手不足は悲劇ではなくビッグチャンス、なぜなら人が邪魔していたからだ。」先日行われたある会合で聞いた言葉だ。前後の文脈から言葉を補うと、「人」を安く使えたことが技術革新を邪魔していたという意味だと思われる。出生率の低下、将来の人口減少は20年以上前から予想されていたのに、問題が深刻になるまで何もせ

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