CONTENTS

地域に遺すべきもの

能登震災被災者ための応急仮設に、木造モバイル住宅が初めて採用されている。立教大学の長坂先生が長年提唱して来られた、十分な耐震性・断熱性を持ち、かつ必要なら移設ができる木造のユニットを組み合わせたものだ。災害時の応急仮設というと、建築現場の仮事務所のような軽量鉄骨の建物か、トレーラーハウスが主流だった

建築と地域材をAIが結ぶ日

先日、ウッドステーション株式会社が発表した概算AIについて、その使い方や計算結果を見せて頂く機会があった。ユーザー画面で施工予定日や地域を入力、防腐など仕様に関する項目を選択し、木材についても主な部位ごとに希望する材を指定した上でPDF図面をアップロードすると、数十秒でAIが画像解析を行い、見積書が

首里城を巡る風

友人の集まりで沖縄に行き、ホテルから歩いて20分の場所にある首里城公園を訪れた。ここに来るのは三度目で、前回は威厳に満ちた正殿の中を歩きながら、吹き抜ける風に何とも言い難い不思議な思いを抱いた。古代の文字や囁きが散りばめられた空気というか、人の思いが溶け込んだ水流に打たれるような感覚とでも言おうか。

木の命への作法

ヨーロッパの石造りの家は何百年も使い続けられている。地盤沈下やファサード(建物正面のデザイン)の重みで壁にヒビが入っても、400年持ったのだからすぐには壊れない、と意に介さず、補修をしながら人は住み続けている。地震や台風の無い国をうらやんでも仕方がないが、日本のように一生に一度の買い物が子孫に遺せる

FSCの普及を妨げるもの

FSCという森林認証(森のエコラベル)がある。欧米・オーストラリアをはじめ、最近は香港・中国などでも認知度が高まっているそうだ。日本では紙製品がかなり浸透してきたものの、木材では中々広まらず、認証を取得した森林も、その森から出た木材を使った製品もとても少ないのが現状だ。FSCは世界統一の原則や地

冒険遺伝子は森を目指す

私達は冒険遺伝子を持っていて、それがホモ・サピエンスをアフリカから全世界へ拡散させる後押しをしたという説をテレビ番組で知った。人口が増え過ぎて食料が不足したり、他の部族から攻撃を受けたりといったやむを得ぬ事情だけでは、大規模で急激な拡散の説明がつかないらしい。先が見えなくても新天地に賭けてみる、

カラマツ無垢梁の家

木島平のカラマツ梁の家が松本市内に完成し、見学会に行ってきた。ドローンや地上モバイルレーザで計測したデータを解析し、建築図面から割り出した部材情報とマッチングさせた梁材。それを使って実棟の建設まで行ったのは、恐らく世界初だそうだ。レーザデータでは腐れや傷など表皮の情報が取れず、皮の厚みが想定を大

春を待つ森

先日、林野庁の高官を訪問するウッドステーションの塩地会長に同行した。会長が開発中のシステムを使えば、いずれは誰でも建築図面から必要な部材の種類や量を簡単に抽出できるようになる。地域に林産クラスターを作り、部材情報を基に原木から建築部品を一貫生産する、そうなれば木材価値を一気に上げられるという会長の提

林業ICTで所有の壁を超える

せっかく県を上げてスマート林業を推進し、微地形図の公開も実現したのに、企業がいざそれを活用しようとしても森林の所有者がわからない。所有者はいても境界がはっきりしないので伐採できない、そんな声を聞いた。今年の4月から土地の登記が義務化されるが、これまでは任意だったため、お金にならない山林は捨て置かれて

林業とICTの全体像を追う

森林産業の実現のために、山側のICTは今どんな状況なのかを知りたいと思った。関連雑誌にはスマート林業の実例などが紹介されているが、実際に現場にどの程度浸透しているのか、誰に聞いても良くわからない。自分で調べてみることにした。林野庁やいくつかの自治体、森林組合や林業会社、レアなところでは木材運送を

TOP