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森を巡る旅-特殊伐採との出会い

岐阜のNPOが主催したイベントの二年目だったと思いますが、特殊伐採を請け負うチームの方が招かれ、その実演を見たことがあります。特殊伐採は、ロープやカラビナなどの登山用具を使い、高い木の上で作業して、簡単には伐ることが難しい支障木などを安全に撤去する仕事です。住宅地の枯れかけた古木や、お寺の屋根に落ち

森を巡る旅-きこりという職業

2007年、林業塾の後に参加したイベントで、私は初めて多くの「きこり」に出会いました。木材の伐採を担う人達で、「素材生産業者」と呼ばれます。当時はチェーンソーから身を守る防護服は義務化されておらず、海外メーカーの装備は高価で、身に着けている人はほとんどいませんでした。高齢の方の中には、ヘルメットさえ

森を巡る旅-「木とつきあう智恵」

私のペンネームの「月」には、とても深い思い入れがあります。家づくり体験塾で日本の森林の危機を知った後、速水勉氏の本で林業塾に行く前に、私が林業への関心を高めたもう一つのきっかけが、エルヴィン・トーマというドイツ人によって書かれた「木とつきあう智恵」という本でした。トーマ氏はこの本で、「新月伐採」

森を巡る旅-西粟倉村その2「木質バイオマスの役割」

クラウドファンディングへの出資でご縁が生まれ、西粟倉村へはその後も何度か訪れる機会がありました。中でも印象に残っているのが、村の温泉施設にお湯を供給する、木質バイオマスボイラーを見学したことです。「西粟倉 森の学校」は、「ユカハリタイル」というオリジナル商品の販売が軌道に乗り、経営の危機を脱して

森を巡る旅-西粟倉村その1「100年の森構想に出資」

岡山県西粟倉村と言えば、市町村合併の大波に抗い、村の森林を生かす独自の構想によって、多くの個性的な人材を集め、常に新たな挑戦をしている自治体として知られています。林業塾の講師として出会った牧大介さんは、この村の「100年の森構想」に自ら関わろうと家族と共に移り住み、2009年10月に「西粟倉 森の学

森を巡る旅-隠岐の海士町「小さくても全てがある町」

2008年頃だと思いますが、林業塾の講師をされていた方に声をかけられ、島根県隠岐郡の海士(あま)町に行くことになりました。何をするのかわからず、「面白いことがあるよ」と言われて同行したのですが、後でわかったのは、海士町がその方の勤める会社に調査と提言を依頼していて、私以外の5~6人は仕事、私一人が自

林業ビジターエッセイ-山長グループその5「デジタル調査が開く未来」

山林から住宅まで、一貫生産を行っている山長グループですが、それでも昨年のウッドショックでは影響を受けない訳にはいかなったそうです。その主な理由は、足りない木材をすぐには山から調達できず、市場で購入していたからでしょう。昔は山に生えている木を購入する前に、一本一本の樹種や太さ・曲がりの程度などを詳

林業ビジターエッセイ-山長グループその4「スマート製材YSS」

真っ直ぐで目の詰まったA材と呼ばれる良質な丸太に対し、少し曲がっていたり、材質に問題があったりするB材は、手間をかけて製材しても元が取れず、多くは合板工場などに安く買い取られていきます。極力コストを抑えてB材を間柱(柱と柱の間に下地受けなどのために建てる柱)などの製品に加工するために、山長商店で

林業ビジターエッセイ-山長グループその3「貯木場と製材・プレカット工場」

伐採現場から運び出された木材で比較的良質なものは、山長の本社に近い貯木場に集められます。山長商店と山長林業の、合わせて7つの伐採班が伐り出した材を、熟練の仕分け作業者がフォークリフトに乗り、径級(太さ)や材質ごとに細かく仕訳けてそれぞれの山を作っていくのです。直径が40センチを超えるような太い丸太は

林業ビジターエッセイ-山長グループその2「伐採現場」

2022年5月上旬、林業と建築のデジタル化で国産材利用拡大を目指す視察団の一員として、私は羽田からの飛行機で南紀白浜空港に降り立ちました。迎えてくださった山長林業・山長商店の皆様の車に分乗し、空港から比較的近い伐採現場に移動します。山長グループは、製材・プレカット加工を行う山長商店を中心に、育林

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