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木材建築のデジタル化

木は家になる。でも現代の住宅は木材だけではできない。ドアやサッシはもちろんのこと、壁の内側には断熱材、外側には防水シートが必要だ。都市部の木造だとそこに耐火ボードも加わり、省エネを実現するには外側にも分厚い断熱材を貼ることになる。その複雑で厚みのある壁と、上に載る屋根をどうやって隙間なく接合するのか

林業と土木

林業と土木はとても近い、建築よりもずっと近いだろう。林業機械も先端部分を除くベースマシンは土木用と同じだし、木材の搬出に使う道作りは正に土木工事だ。地形や地質を見ながら、搬出が楽にでき、長持ちするように作業道を切り開く。崩れないようのり面の高さを抑え、水はけを考慮した勾配をつけ、一定間隔で排水溝を設

「十億本の杉を伐る」

「十億本の杉を伐る」 五年ほど前、私が考えていた本のタイトルだ。手入れされていない人工林の1ha当たりの本数をざっと2000本とすれば50万ha、全国の杉林の8分の1くらいに当たる。こんな乱暴な標題を考えたのは、都市に暮らす人の意識を日本の森林に向けさせるのに、花粉症というキーワードが有効かもしれな

椎野ブログ転載ー「再造林型林業協定」の内容と意義

先日、前回のブログでお伝えした「再造林費用を上乗せした価格での木材取引協定」の内容が明らかになりました。ウッドステーション株式会社(以下ウッドステーション)のプレスリリースによると、大手の2×4建築資材供給会社であるウイング株式会社(以下ウイング)と100%再造林を実施してきた佐伯広域森林組合(以下

森と生きるために-「再造林型林業協定」④持続可能な国産材利用へ

再造林費用を価格に上乗せする今回の協定、ウッドステーション株式会社のプレスリリースにはこう書かれています。「本協定では、ウイングと佐伯森林は、再造林に必要とされる費用捻出を想定した木材価格で合意し、年間取引量は 10,000㎥以上と定めています。再造林に関わる費用や負担を透明化し、その応分責任を取引

森と生きるために-「再造林型林業協定」③森林と建築の結婚(佐伯広域森林組合)

再造林費用を上乗せした価格で年間10,000立法メートル以上の製材品を買ってもらう、これは一見、佐伯広域森林組合(以下佐伯森林)にとって良い事ずくめのように思えます。これまでも既に100%再造林を実施しているのですから、今のままで製品価格を引き上げてもらえるなら、こんなにありがたい話はありません。し

森と生きるために-「再造林型林業協定」②森林と建築の結婚(ウイング)

再造林費用を上乗せした価格で年間10,000立法メートル以上の製材品を取引する、そして公開はされていませんが、協定書には価格も明記されていると聞きます。このような協定が発効し、関係者全員が継続を望むような実効性、有効性を持つために、契約の当事者はどのように行動しようとしているのでしょうか。推測を含み

森と生きるために-「再造林型林業協定」①再造林費用の社会転嫁

2023年6月9日、この日、大分県の佐伯市で、林業・木材業、そして建築業界にも大きなインパクトを与える協定が締結されました。「再造林型木材取引協定」、需要者が木材価格に再造林費用を上乗せした価格で購入するという取り決めです。協定の当事者は、2×4用の住宅資材供給で年間15,000棟の実績を持

森と生きるためにー木島平での現地検討会

2023年5月29日、長野県の木島平村にあるジャンプ競技場のすぐ近くのカラマツ林で、「ドローンToハウジング」の現地検討会が行われました。この事業は、正式には「令和 4 年度「新しい林業」に向けた林業経営育成対策のうち経営モデル実証事業」として、「川上と川下のデータ連携を柱とするコスト削減と山元還元

森に遺された足跡-「山林王」を読んで

吉野に生き、林業で得た巨万の富を惜しみなく社会のために使った明治の偉人、土倉庄三郎の生涯とその業績を追った田中淳夫氏の「山林王」を読みました。心の深部にゆっくりと染み入るような感動は、その業績とはあまりに不釣り合いな、晩年の一族の没落によって、一層際立った陰影を与えられているように思います。

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