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若き林業技術者に見た希望

若い林業技術者に話を聞いた。地元出身で、伝統的な林業地域の大学校に二年通った後、自分の親も働いていた今の会社に就職したそうだ。林業は地域ごとに全く違うので、学んだ内容が必ずしも地元で活かせる訳ではない、だから早めに戻ろうと思ったという。彼が勤めて5年ほどになる会社は、社長が保有する1,000ha

山で働く人の収入

山で働く人の賃金はいくらぐらいなのだろう。令和4年度の林業白書には、月給制の従業員は増えつつあるがまだ29%程度とある。林業従事者の年間平均給与は約343万円で、全産業平均よりも100万円程度低い。勤務地が都市部でなく生活費の安い地方だとしても、常に他産業との労働力の奪い合い

再造林に苦心する山の守り手

伐ることは機械化できて儲かるが、植えて育てることはずっと難しい。特に、植えることよりもその後の世話の方が遥かに大変だ。ウッドショックで木材の価格が急騰した時も、簡単に生産量を増やせなかった理由の一つは、伐った後の再造林の目途が立たないからだ。昨年300haに植栽を行ったというある森林組合では、そ

林業ICTの行方

林業ICTは利益につながりにくい。そんな話を続けて二人の林業関係者からお聞きした。農業で言えばハウス内の温湿度管理や、連動した給水・施肥の自動化。漁業なら天候や海流のデータを活かした魚群探知機の導入、それらはすぐに収益増につながり、投資を回収しやすい。林業は、高性能林業機械のような機械化までは効果が

森林組合の多様な姿

森林組合がどうあるべきか、法律の枠内で経営することは当然として、何をどこまでやっていいのかには様々な考え方があるようだ。木や木材と何の関係も無い仕事に違和感を覚えるのは誰でもわかるが、木材の先にある建築に手を伸ばすことには異論があるかもしれない。昨日紹介した森林組合の方に詳しくお話を伺うと、プレ

多能人材が開く山の未来

ある森林組合を調べていて、その事業内容が多岐にわたることに驚いた。森林整備や木材販売以外に製材加工や木工を手掛ける組合は珍しくないが、プレカット事業も行い、工務店と連携して地域材の住宅を提供している。他に原木しいたけの栽培と販売、薪の予約販売、森林セラピーやキャンプ場の運営まで。それを25名程度の従

ブナの森の再生③

ブナの稚樹は雪解け後に真っ先に葉を広げ、競争相手がいない初夏の間に一年分の栄養を蓄える。だからその後、伸びてきた草本に光を遮られても枯れることはなく、冬が来て雪が降ると、その下でまたじっと春を待つ。ブナの研究で博士合を取得された、長野県林業総合センターの小山育林部長のお話はとても興味深いものだった。

ブナの森の再生②

早く森に戻るよう手助けする。昨日と今日、木島平で行ったブナの移植にはそんな目的があった。新幹線の飯山駅から車で50分程の、カヤノ平という場所だ。昔、村が国有林を借りて牧草地に変え、牛の放牧をしていたが、牛乳の消費量が減って規模を縮小する事態になった。国に借地の返還を申し出たところ、元は森だった場所だ

ブナの森の再生①

杉を伐った後、そこに何を植えるのかは結構悩ましい問題のようだ。杉の生育の良い場所で搬出もし易ければ、同じ杉を植えるのが普通だろうが、そうでない場合は難しい。杉を植えれば、最初の5年は下刈り、混んで来たら除伐(間引き)などが必要で、間伐をせずに放置したとしても、収穫を期待できるまでに5~60年はかかる

山で働く人の笑顔で育つもの

山で働くことが楽しい、そう急傾斜地の現場で話す男性の動画を見た。新人採用のために制作されたビデオだから良い面が強調されているのは当然だが、登場する先輩の姿も含め、そこには力みのない自然な笑みがあった。私が林業に興味を持った15~6年前は、作業班の古株が現場でヘルメットをつけないので自分も被りにく

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