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森を巡るショートトリップ-サルスベリ(百日紅)

サルスベリは夏から秋にかけて花を咲かせる木です。リョウブやヒメシャラと同じように、コルク質が剥がれて表面がツルツルなので、猿も登れないということからこの名前がついています。父が申(サル)年生まれだった我が家では、猿が滑るというのを嫌って、百日紅(ひゃくじっこう)という別名で呼んでいました。一本の

森と生きるために-信州大学訪問②

信州大学農学部の森林計測・計画学研究室で、加藤正人先生と学生さん達が成し遂げた研究は、精密林業計測株式会社というベンチャー企業の事業として活用が始まっています。会社を立ち上げて5年、主に自治体向けのサービスとして着実に実績を上げてきましたが、一方で先の展開が見えない、行き詰まりに直面してもいるようで

森と生きるために-信州大学訪問①

2022年7月下旬、私は長野県伊那市にある信州大学農学部のキャンパスを訪れました。テレビ局が制作する番組のため、ウッドステーションの塩地会長が信州大学の加藤正人先生を訪ねる形で、その研究を取り上げる取材に同行したのです。農学部のキャンパスは、中央道の伊那インターを降りたすぐそばにあります。乗用車で通

森を巡るショートトリップ-赤毛のアンの家

孤児だったアンが引き取られたマシューとマリラの家は、「グリーンゲイブルス(緑の切妻屋根)」という名前でした。切妻屋根は、本を開いて伏せたような山形の形状で、シンプルですが雨や雪に強く、世界中に見られるもののようです。欧米では個人の家にも名前をつけるのだなと、初めて読んだ少女時代には強い憧れを抱いたも

森と生きるために-文化材保護と技術の継承

先日、「文化遺産を未来につなぐ森づくり会議」の総会がオンラインで開催されました。議事が終了した後、文化財の修復等に必要な大径材(太い丸太)の生産を担っていただく、幾つかの林業家についての調査報告がありました。日本の森林には200万戸を超える所有者がいて、その7割は1ヘクタールに満たない小規模所有

森を巡る旅-風の正体

昔、箱根で仲間と共に山の斜面を歩いていた時、急に強い風が吹いてきてみんなの足を止め、しばらく経つとまた嘘のように静かになったことがあります。その時、博学な男性が「気圧の谷の通過かな」と言うのを聞き、真偽のほどは別として、胸が高鳴ったのを覚えています。ネットで調べると、「高気圧に覆われていても、上空を

森と生きるために-マスメディアの役割

先日、大型パネルで伝統軸組工法のプレファブ化を進めるウッドステーションに、テレビ局の取材が入りました。撮影クルーの到着が予定より遅れ、たまたま打ち合わせで訪れていた私は、少なくなった社員の埋め合わせとして、その場所に居続けることになりました。金具とピンが打ち込まれた柱のサンプルを指差しながら、知人と

森を巡る旅-狩野川の眺め

幼稚園から大学まで、私は静岡県東部の清水町という町で育ちました。よく昔の清水市と間違われ、「ああ清水の次郎長ね」と言われますが、旧清水市は中部にあり、今は静岡市清水区になっている別の街です。それまで沼津市の港湾地区に住んでいた父は、隣町の清水町に造成された新興住宅地の土地を買い、そこに自分で間取

森を巡る旅-柿田川湧水群

私の故郷、静岡県駿東郡清水町は、その名のとおり、清流の流れる町です。柿田川湧水群と呼ばれる泉は、富士山の伏流水が数十年の時を経て湧き出し、その量は一日に約100万トンにものぼります。柿田川はこの湧水を源流として狩野川に注ぐ、全長1.2キロの、日本で最も短い一級河川です。水温は年間をとおして15度、四

森を巡る旅-故郷での講演②

SDGsは、2015年に国連で採択された17項目の目標です。私たち人類がこの地球で生き続けていくために、各国が2030年までに達成することを目指しています。その中で森林は、安全な水、クリーンなエネルギー、気候変動対策、陸の豊かさなど、多くの項目と深い関りがあります。そして大事なことは、その目標の達成

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