木材は建築以外にも家具や木工品、紙やバイオマスなど多くの製品に使われます。しかし取引価格が最も大きいのは、住宅・建築に使われる製材品や合板向けの木材です。ですから、山の維持管理に必要な木材価格を実現するためには、出口とか川下と呼ばれる、住宅その他の建築について知ることが欠かせません。木造と言えば
2022年11月15日、大分県の佐伯広域森林組合の皆さんが、地元の製材や工務店など多くの関係者と共に新潟県長岡市を視察に訪れました。直行便などあるはずもなく、皆さん早朝に大分を出て羽田に飛び、大型バスに乗って途中で木造住宅の建築用金物を製造するメーカーを視察した後、長岡入りされました。そうして迎えた
森林列島再生論において、私は山の資源情報と建築の部材データを連動させ、中間流通を省いて直接施主に販売する「森林直販」を提唱しました。その具体化に向けたプロジェクトが、信州大学の加藤研究室とウッドステーション株式会社を中心に動き始めました。山の資源情報の詳細な捕捉は、ドローンや地上レーザーを利用した計
先日、東北のある地域の建築関係の方々が、森林列島再生論を読んで触発されたと、ウッドステーションを訪れました。私も著者の一人として会合に出席し、その方々の悩みを伺うことになったのです。その地域では、豊富な森林資源を生かし、地域内での連携や有効活用を図ろうと協同組合を結成し、木材関連事業所を近くに集
短い秋からいきなり冬になる予感がするこの頃、頑丈で温かい家に住んでいる自分の幸せを改めて思う話を聞きました。東日本大震災やその後の災害でも仮設住宅が多く作られましたが、その品質が人間性を無視した劣悪なものだったというのです。長く居つかれては困るという理由から、薄い壁は冷暖房の効率が悪く結露でカビが酷
森林列島再生論の出版から2か月が経ちました。最初はただ書店に並ぶのを見るだけで嬉しく、知人の感想や通販サイトのレビューに一喜一憂していましたが、ここに来て大きな変化が起きています。一つは本を読んだ方からのビジネスの引き合い、もう一つは自分が信州大学に招かれ、来年から農学部伊那キャンパスで勤務すること
私が添乗員だとすれば、各章のまとめではなく、最初に見どころを案内するのが自然、そう考えた編集者の発案で、私は「オコシ」と呼ばれる文章を書くことになりました。更に、専門家の共著にありがちな、「結局何を汲み取ればいいのかわからない」事態を避けるため、一般の読者と同じ目線で、私なりの「旅を終えて」を書くこ
道程の前半では、建築の高口先生、そして木材と建築・生産システムの塩地氏、金融の松本氏について書きました。後半は山側の専門家、エネルギーの酒井先生、そしてサプライチェーンの寺岡先生についてです。森林とエネルギーをつなぐ-酒井先生私が酒井先生に直接お会いしたのは、椎野先生を囲む会食の席で
日本の森林・林業再生への解決策を示す旅、私が案内するその道筋を、各分野の専門家の皆様に書いて頂く必要がありました。訴えたいのは、木造大型パネルが建築のデジタル化を可能にし、汎用化されつつある林業ICTの技術、そしてバイオマス事業と連携することで、国産材の持つ潜在能力を最大限に引き出せるという提言です
佐伯レポート佐伯広域森林組合で見たかったこと、それは皆伐後の再造林が本当に100%実施されているのか、ということでした。林野庁が毎年発表する「林業白書」でも、再造林は全国的に見て3~4割しか実施されていないと書かれています。理由は、材木の価格が安すぎてコストを捻出できない、シカの食害のために植え