山に生えている木をそのまま住宅へ
-木を育てた人、伐った人、加工した人、建てた人の顔が見える家-

 

木材は、山に生えている樹木の状態から、人が建築や木工などに使えるようになるまでに、伐採・製材・乾燥など非常に多くの手間と時間がかかります。そのため、複数の事業者の手を経て、最低でも2~3週間、時には数年単位の時間が必要で、野菜や魚と異なり、生産地から消費者に直販するというのは無理だと考えられてきました。

現代の資本主義の効率優先、安さが命という風潮の元、梁や桁は外国産、柱も大きな工場で張り合わせた集成材、壁や床は工場で作られた合板、というように、同じ物を大量に作って安く売る商売が中心になってきました。

そのために、価格のしわ寄せを受けた木材は採算が取れないほど安くなり、多くの補助金がつぎ込まれ、自立した産業とは言えない状態になっています。

しかし専業化が進んだ現代と違い、昔は皆、近くの山の木で家を建てていたはずなのです。

同じものを大量に作ってどこまでも運ぶ、そのやり方が森林を痛めてきたことに、私たちは気づかなくてはなりません。

ただ、家を建てるために、昔のように何年も前から木を伐って準備しておかなくてはいけないかというと、そうではありません。現代の私たちは新しいテクノロジーを利用できるのです。その一つが、「大型パネル技術による木造軸組み建築のデジタル化」です。

この技術は、必要な建築部材の長さや断面を全て算出し、木材を無駄なく利用して歩留まりを上げます。製材工場に大型パネル生産ラインが併設されていれば、山から運ばれた木材が、そこで作れない必要最低限の部材を追加して、そのまま住宅に組み上げられます。

そして、サッシや断熱材など、木材以外の建築部材の利益も取り込み、大きな収益を上げられるのです。この工場は小規模で、地域の木材資源量と地域の建築需要により、その事業規模が決まります。高い利益を山に還すことで、再造林や間伐が進み、森は健全に維持されていくでしょう。

これが、関わる全ての人の顔が見える住宅、森林直販事業の目指す姿です。

山主、素材生産業者(きこり)、製材、大工、こういった人々が垂直型の共同組織を作り、利益をまず山に還してから、残りを公平に分配する、森林が第一という理念のもとに事業を継続する仕組みを、私たち「森林連結経営」は考えていきます。

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