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宮崎県の再造林条例

32年連続スギの生産量日本一の宮崎県が、7月2日に再造林条例を公布・施行した。「再造林の理解促進」など4つの基本理念のもと、県・市町村・森林所有者・森林組合・事業者・県民がそれぞれ果たすべき責務や役割を定め、「再造林の推進に向けた気運の醸成」など5つの基本施策を推進するというものだ。宮崎県と言え

静岡県のデジタル森林情報

林業ICTや森林のデジタル情報について調べていくと、全国に幾つか、特に進んでいると言われる地域があり、静岡県はその一つに挙げられる。先日、森林クラウド公開システムについて県の担当者に話を聞く機会があった。静岡県は、平成18年(2006年)から森林簿等の情報公開を行っており、以後18年かけてシステ

木造建築に宿る命

「森林と建築の融合は再造林の責任を共有すること。」先日聴講した大学の授業で教授が語った言葉だ。データ連携によるコスト削減などはむしろ表面的な効果に過ぎず、真の価値は、建築が資源の収奪産業から育成産業に変ることなのだと気づいた。古来、都市は栄えては、周囲の木を伐り尽くし、水を使い尽くしてやがて滅び

競争が高める森林価値

森林組合0円、地元の大手林業会社40万円、小さな林業会社80万円。ある林産地の1ヘクタールあまりの間伐で、山主さんに示された見積書の金額だ。もう十年以上前になるが、小さな会社の社長さんが山主さんから譲り受けたとコピーを見せてくれた。森林組合は、お金は残らないが森林の整備ができますと言い、大手の担当者

この木どこの木?

これは昔、木材トレーサビリティの重要性を多くの人に知ってもらうためのキャンペーン用に考えた稚拙なキャッチコピーだ。大手家電メーカーのCMで流れるフレーズの認知度を利用して、「何の」じゃなくて「どこの」なのは何故?という疑問から説明の糸口を掴めないかと思ったのだ。ほとんど成果を出せなかったが、久しぶり

九州電力の百年の森

九州電力が湯布院に所有するFSCの認証林を見学させて頂いた。その森を管理する九州林産の社員の方々に案内して頂き、初夏の涼やかな緑と多くの鳥の囀りが響き合う散策路を歩いた。森を歩くのはいつも気持ちの良いものだけれど、こんなに心が浮き立つのは何故なのか。恐らくその森が、持続可能な森林経営をしようとする人

住宅建築に潜むもの

ある人から怖い話を聞いた。豪華な宮殿も、荘厳な寺院も、基本的に建築は全て「人」を支配するための装置だという。自分の権威を示し、人々が己にひれ伏すよう仕向けるための道具だと。言われてみれば確かにそのとおりで、貴重な遺産だと称える行為は、建築を指示した人間に未だに支配されているということでもある。更

相応しい対価を払うために

夏を前に自宅のエアコンが寿命を迎えた。近くの家電量販店を回って購入する製品を決め、この時期なので数日後には取り換え工事に来てもらえることになった。朝から小雨の降る日、到着予定時刻の確認電話の中で、工事担当者が取り付け場所を3階だと認識していないことを知った。私は店舗の担当者に戸建ての3階でエレベータ

森の時間

科学の進歩は私達に、宇宙の始まりが約138億年前だとか、ホモ・サピエンスがアフリカを出て世界中に広がり始めたのが約6万年前だとかを教えてくれた。その一方、ハイスピードカメラの普及によって、一瞬の出来事が引き延ばされることも起きた。水面に水滴が落ちた瞬間、美しい王冠(クラウン)のような造形ができる様子

物質と生命の間で

GWに、ベランダの植え込みやプランターの草取りをした。去年の秋以来、どこからか種が飛んできて根付いた、数十種類の草木を引き抜き、抜けないものは鋏で切ってゴミ袋に詰める作業。楽園を築いていた彼らから見れば、私は世界の破壊者で虐殺者だと思いながら。近年の研究によれば、植物も人の耳に聞こえない音を発したり

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