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木々に寄せて-その4「柳」

柳という一文字を聞けば、ほとんどの人はシダレヤナギを思い浮かべるでしょう。池の周りなど水辺に多く、夏の暑い時期に、その風に揺れる様は見た目にも心地よいものです。実際に日本の柳は水分の多い土壌に強く、水害などで流されても、その倒れた幹から容易に芽を出すことで、河畔に多く自生するようです。上高地に行った

木々に寄せて-その3「檜」

松・杉と来れば、次は当然檜だろうと思いつつ、考えてみると、私には檜に関する思い出があまり無いことに自分でも驚いています。檜舞台、檜風呂、総檜の家、といった華々しい言葉にあるように、昔から檜は木造建築の花形でした。しかし現在、住宅部材のリストを見ると、土台に使われることが多いようです。強度では米マ

木々に寄せて-その2「杉」

私が杉という樹木を初めて意識したのは、2000年に箱根でパークボランティアの研修を受けた時です。杉と檜の葉の違いに加え、杉は木が真っ直ぐに生えることから、「すぐ木」が「すぎ」になったという説を聞きました。それより印象に残ったのは、先輩ボランティアが見せてくれたある技です。10センチ以上の長めの杉の穂

木々に寄せて-その1「松」

私が森林や樹木について語る時、必ず最初に思い浮かぶのが「松」です。人工林の7割近くが杉やヒノキですから、森林再生という話になると普通はそのいずれかが主語になるのですが、私にとっての最上位は変わりません。それは幼い頃の記憶と、パイオニア植物として松の背負った運命に強く惹かれるからです。私が4~5歳

森を巡る旅-言葉の探求その10「書籍への挑戦③」

5月末には、全ての筆者の原稿が揃いました。私は「旅を終えて」の初稿を出してはいましたが、全体をとおして見た時に、改めて思うことを含め、大きく手を入れたいと考えていました。初稿を出してからも、ロシアのウクライナ侵攻とその長期化、佐伯や紀州の山を訪ねて見聞きしたことなど、外部環境も現状認識にも大きな変化

森を巡る旅-言葉の探求その9「書籍への挑戦②」

「いい子」でいたい自分から脱却しよう。その決意を固めた私は、「旅を終えて」の後半で、現状に甘んじて変化を嫌う態度に対し、はっきり決別すべきだと表現しました。今までの私なら、自分を棚に上げて何を言うか、と批判されるのを恐れ、中途半端な物言いしかできなかったでしょう。昔から私はよく人に「優しい」と言われ

森を巡る旅-言葉の探求その8「書籍への挑戦①」

佐伯広域森林組合の視察レポートを書き上げた私に、書籍を書くという話が舞い込みました。一人ではなく多くの方との共著ですが、何の実績もない私にとっては大きな挑戦です。しかも大手出版社で、私がずっと考えて来た、林業の産業化を実現するための本なのです。他の執筆者は大学教授や事業経営者、専門家で、期待に応えら

森を巡る旅-言葉の探求その7「佐伯広域森林組合との出会い③」

「佐伯スピリット」、ようやく相応しい言葉を探し当て、私は視察の様子をレポート①にまとめることができました。自分が見聞きして感動したことを丁寧に記し、100%再造林の取り組みと、個性も能力も様々な人達がそれぞれの職場で誇りを持って働いていることの素晴らしさを、その言葉に込めて紹介したのです。どのように

森を巡る旅-言葉の探求その6「佐伯広域森林組合との出会い②」

大分県佐伯市の「佐伯広域森林組合」そこで見た、林業と製材に関わる人々の生き生きした様子は、私にとって長い間探し求めてきたものでした。愚直に再造林に取り組む姿勢は、組合直属の伐採班以外の、別の素材生産業者が伐った場所をもカバーする徹底ぶりです。この地域の森林は自分達が守るという矜持、そこには、実家が林

森を巡る旅-言葉の探求その5「佐伯広域森林組合との出会い①」

旅行会社に定年まで勤めた後、退職した私は新木場の小さな木材団体で一年ほど勤務しました。ウッドステーションの塩地氏は以前から知っていましたが、その団体の主催するセミナーの講師を依頼したご縁で、氏が開発した「木造大型パネル」や、経営指導をされた森林組合について、深く知ることになったのです。氏が長年関

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