文月ブログ

森と生きるために-山長グループの大型パネル工場②

長い歴史を持つ山長グループが、もともと集成材を原則とする木造大型パネルの工場を自ら手掛ける。その目的は「国産材復権への挑戦」ではないか、私はそう考えました。歴史のある企業は、変化への対応力に優れた企業でもあります。社会が大きく変わり、しかもこの30年間、木材の価格がずっと下がり続けてきたにもかかわらず、山長はブランドを作り、最新鋭の工場に投資し、山から住宅までの一貫生産を実現してきたのです。
そもそも、なぜ大型パネルは集成材を基本としているのでしょうか。それは建築部品を工場で生産し、高気密・高断熱など高い品質管理を行うために、木材にもミリ単位の精度が要求されるからです。集成材の105角は一辺が10.5㎝ですが、無垢材の場合は、輸送途中の変形を削って修正できるように、10.6㎝以上に製材されていることも珍しくありません。それに加え、乾燥の仕方が悪く、内部割れがあると、金物工法のピンを打った瞬間に真っ二つに割れてしまうこともあると聞きます。それだけ、無垢材の品質にはバラつきがあり、正確な見極めが難しいのでしょう。しかしブランドを堅持し選び抜かれた山長の材だけは、そのような心配が無く、既に多くの大型パネル建築に使われています。
一方、そのような選別の裏には、基準に達しなかった大量のハネ品が存在します。近年は林業機械の高性能化で木材の産出量は増えていますが、手入れの行き届かなかった林分や虫害にあった木も多く、製材品の産出量は増えていないのが実情です。高く売れる一本の利益で、安値でしか売れない大量の木材の仕入れや販売を維持し続けることは難しいのです。山長ではB材を低コストでラミナや真柱に加工するスマート製材工場を建設していますが、住宅の新規着工件数も減っていく中で、このままでは先細りという予想もあったのでしょう。
そこで挑戦を決めたのが、大消費地に近い北千葉に大型パネル工場を建設することです。併せて、モック社長の榎本氏は、そこに大工の職能を継承し、発展させられる集いの場を作ることも決めました。進行する職人不足への対応、サッシや断熱材の利益も取り込む高い収益率、無垢材の応用範囲を広げる実証の場づくり、それらは相互に影響し合い、技術革新や人材の育成をとおして、国産材の利用拡大につながるはずです。
経営の安定だけが目的ではない、未来を拓く投資だからこそ、関係者の表情には吹っ切れたような明るさが感じられるのだと思います。皆様も機会があれば、ぜひこの工場を訪れてみてください。

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