CONTENTS

森林添乗員が見る林業ICTの行方

2023年は、私達がずっとまともだと思っていたものの多くが虚像だと明らかになった年だ。ジャニーズ事務所や宝塚、ビッグモーターにダイハツ工業。問題が明るみに出ること自体は良いことで、会社はようやくこれまでのやり方が間違いだったと認めて方向転換できる。私が怖いと思ったのは、そういったビッグネームではなく

伐る前にわかる立木の品質

内部の虫食いを立木の段階で目視判定できるのか?その問いに対して、ある男性は明確に「YES」と答えた。「伐ってみなければわからない」が常識のようにまかり通る林業・木材業界の中で、ここまで心強い回答を聞いたのは初めてだ。しかしそのためには何十年という経験が必要なのではないかと問うと、そんな事はない、知っ

造林・保育のデジタル化

再造林をデジタル化したい、本気でそう考える造林事業者に初めて出会った。彼は生まれ故郷の市役所で長年行政に携わった後、誰かがやらねばと感じていた仕事のために役所を辞めて起業した。その地域は林業生産が盛んで、早くから高性能林業機械を導入し、他の多くの地域と同様、伐採に造林が追いついていない。私のような外

人を大事にする産業へ

「人手不足は悲劇ではなくビッグチャンス、なぜなら人が邪魔していたからだ。」先日行われたある会合で聞いた言葉だ。前後の文脈から言葉を補うと、「人」を安く使えたことが技術革新を邪魔していたという意味だと思われる。出生率の低下、将来の人口減少は20年以上前から予想されていたのに、問題が深刻になるまで何もせ

佐伯広域森林組合の闘い

 「森林組合が自ら製材所を持てば、原木の売り買いに利益相反が生じる、だから佐伯は必ず失敗する。」工場開設当時、林業・木材業界に詳しいある識者はそう断言したそうです。製材所を持つ森林組合自体は珍しくありませんが、佐伯の投資額の大きさと、製材品販売の難しさを良く知るからこそ、暗い未来を予言されたのでしょ

佐伯広域森林組合の飛躍

未来へと飛躍する森林組合、それは既に従来の森林組合の概念を超え、成長エンジンとそれを支える人材の厚みを備えた、企業のような組織になっていました。大分県で最も面積が広く、人口約68,000人の佐伯市、その約60,000㏊の民有林を管理する佐伯広域森林組合は、15年前に森林組合としては巨額の投資

地域に現れたシン・日本人

シン・日本人の出現。最近出会った幾人もの若者のことを思い出すと、そんな表現が浮かんできた。新聞報道によると、東大はじめ高学歴の学生が官僚を目指す割合が激減しているそうだ。彼らの多くはITベンチャーや外資に行くとか、中には日本に飽き足らず海外に活躍の場を求める人もいるだろう。そ

水源の森の光

丹波山村のことを、別の角度からもう一度書いてみる。この村には、多摩川の源流にあたる丹波川が東西に流れ、その川沿いに約500人、300世帯ほどの人々が住んでいる。昭和35年に2,200人いた人口が4分の1に減り、半数近くが65歳以上という山村だ。村には大工がいない。明らかな廃屋や、いつ倒れてもおか

山梨の光と影

明るい光と深い影は一体のものだ。ギリシャで彫刻が発展し、エジプトでレリーフ(浮き彫り)が多くの建築を飾ったのは、光の強さの違いが大きな理由だという。強い日差しの下では、彫刻の影になる部分は真っ暗になるが、レリーフなら僅かな凹凸でもくっきりと線が浮かび上がる。山梨県を訪問して、そんな話を思い出した。

植える責任・使う責任

熊本県のある村では、伐採届に森林組合の捺印が必要だ。村はそうすることによって、素材生産事業者が誰のどの山を伐るのか、森林組合が把握できるようにしている。再造林するかどうかは山主の判断だが、一般的な素材生産事業者は木を伐採するだけで、後の面倒は見ない。それでも、森林組合がその伐採に関する情報を得られれ

TOP