樹木は時間の貯蔵庫だ。巨木の年輪には過去の気象や災害の影響も刻まれている。成長するのは樹皮に近い部分だけで、古い細胞は形を留め、育った時の環境や状態を映す記憶媒体のようだ。私たち動物の体は逆で、古い細胞が死んで新しく生まれ変わり、常に置き換わっている。分子生物学者の福岡伸一氏によれば、分子レベルでは
山主さんってどんな人だろう?昔は材木が高値で売れたから、広大な森林の所有者は大富豪だった。一雨降るごとに木が太って財産が増える、そんな表現をした山林王もいた。しかし今は木材の価格が下がり、先祖からまとまった面積の森林を受け継いだ人達も維持に四苦八苦している。知人のある林家さんは十数haの土地持ちだけ
木は家になる。でも現代の住宅は木材だけではできない。ドアやサッシはもちろんのこと、壁の内側には断熱材、外側には防水シートが必要だ。都市部の木造だとそこに耐火ボードも加わり、省エネを実現するには外側にも分厚い断熱材を貼ることになる。その複雑で厚みのある壁と、上に載る屋根をどうやって隙間なく接合するのか
林業と土木はとても近い、建築よりもずっと近いだろう。林業機械も先端部分を除くベースマシンは土木用と同じだし、木材の搬出に使う道作りは正に土木工事だ。地形や地質を見ながら、搬出が楽にでき、長持ちするように作業道を切り開く。崩れないようのり面の高さを抑え、水はけを考慮した勾配をつけ、一定間隔で排水溝を設
「十億本の杉を伐る」 五年ほど前、私が考えていた本のタイトルだ。手入れされていない人工林の1ha当たりの本数をざっと2000本とすれば50万ha、全国の杉林の8分の1くらいに当たる。こんな乱暴な標題を考えたのは、都市に暮らす人の意識を日本の森林に向けさせるのに、花粉症というキーワードが有効かもしれな
先日、前回のブログでお伝えした「再造林費用を上乗せした価格での木材取引協定」の内容が明らかになりました。ウッドステーション株式会社(以下ウッドステーション)のプレスリリースによると、大手の2×4建築資材供給会社であるウイング株式会社(以下ウイング)と100%再造林を実施してきた佐伯広域森林組合(以下
再造林費用を価格に上乗せする今回の協定、ウッドステーション株式会社のプレスリリースにはこう書かれています。「本協定では、ウイングと佐伯森林は、再造林に必要とされる費用捻出を想定した木材価格で合意し、年間取引量は 10,000㎥以上と定めています。再造林に関わる費用や負担を透明化し、その応分責任を取引
再造林費用を上乗せした価格で年間10,000立法メートル以上の製材品を買ってもらう、これは一見、佐伯広域森林組合(以下佐伯森林)にとって良い事ずくめのように思えます。これまでも既に100%再造林を実施しているのですから、今のままで製品価格を引き上げてもらえるなら、こんなにありがたい話はありません。し
再造林費用を上乗せした価格で年間10,000立法メートル以上の製材品を取引する、そして公開はされていませんが、協定書には価格も明記されていると聞きます。このような協定が発効し、関係者全員が継続を望むような実効性、有効性を持つために、契約の当事者はどのように行動しようとしているのでしょうか。推測を含み
2023年6月9日、この日、大分県の佐伯市で、林業・木材業、そして建築業界にも大きなインパクトを与える協定が締結されました。「再造林型木材取引協定」、需要者が木材価格に再造林費用を上乗せした価格で購入するという取り決めです。協定の当事者は、2×4用の住宅資材供給で年間15,000棟の実績を持