文月ブログ

隠岐諸島に秘められた力

隠岐諸島の海士町から、島の住宅事情の問題を木造大型パネルの技術で解決できないかと考える3人の移住者が視察にやってきた。ハーフ住宅のモデル棟、北千葉にある大型パネル工場などを見て事業スキームについて討論した後、ウッドステーションの塩地会長は彼らに対してこう言った。「海士町では神社が平地に、古い住宅も水際に立っている。恐らく災害が少ないのでしょう。」これには、同席した防災の専門家も含め、皆が一様に言葉を失った。言われてみれば確かにそうだ。隠岐諸島には100を超える神社があり、特に格式が高いとされる神社の数は島根県の本土よりも多い。後鳥羽上皇や後醍醐天皇をはじめ、高貴な人々が流されてきたのも、本土からは遠いが、産物が豊かで暮らしやすく、不意の災害で命を落とす危険が少ないという理由も大きかっただろう。
災害の少ない島、防災用の備蓄住宅の製造拠点を置くのにこれ以上の適地はない。島の住宅需要だけでは余ってしまう製造設備を備蓄用にも使えれば、税金や本土の物流インフラに頼る島が、自立、更には独立を勝ち取る道が見えてくる。
神様に守られてきた島には、本土を助ける力があるのかもしれない。離島という言葉の響きに、いずれ心強い災害復興拠点のイメージが加わる日が来ることを願う。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP