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時を超えて残るもの

古いものを愛でる。長い時間を経たものに価値を見出す。そこには、一時期人々に忘れ去られ、ある時タイムカプセルのように目の前に現れたものを発見する、という経過が潜んでいることが多い。世界遺産の岩見銀山に近い、島根県大森町がテレビで取り上げられていた。100年前に銀山が閉山してから、町はゴーストタウン

自然への恐れを取り戻す

「都会でしか暮らしたことのない山主さんに、伐採の必要性をわかってもらうのは難しい」最近話を聞いたある森林組合の組合長さんはそう嘆いていた。施業計画を立てて、その区域内の不在村山主に電話をする。村で暮らしたことのある男性は、伐らないとみんなに迷惑がかかるから、いいですよと答える。しかしその後で再度連絡

森林情報のオープン化

不動産は誰にでも情報開示されるのに、森林はなぜそうではないのか。オープン化を目指して森林情報の整備に取り組んだのに、周囲からの猛反対で断念した方の話を興味深く聞いた。資源情報がオープンになれば、誰かが知らないうちに伐採して運び出してしまうかもしれない、それがなくても、自分の財産価値を人に知られたくな

寄せるデジタルの波

森にデジタルの波がヒタヒタと押し寄せている。保守的で新しいやり方に抵抗を示すと言われていた林業に関わる人達が、本格的に変わろうとしているのを感じる。意欲のある人々はとっくの昔から取り組んで成果も出しているが、やらねばと思いつつ手を出せずにいる組織も多い。最近の技術の進歩と、他業界から参入する新興勢力

隠岐諸島に秘められた力

隠岐諸島の海士町から、島の住宅事情の問題を木造大型パネルの技術で解決できないかと考える3人の移住者が視察にやってきた。ハーフ住宅のモデル棟、北千葉にある大型パネル工場などを見て事業スキームについて討論した後、ウッドステーションの塩地会長は彼らに対してこう言った。「海士町では神社が平地に、古い住宅も水

森は止まらない

森は止まれない。日光と水があれば、どこまでも成長し続ける。ある時、市民の散策路として整備された森林公園も、20年も経つと高層の樹木が大きくなり、中低木の光を遮って枯らしてしまう。樹木の名を記載した標識だけが残り、対象の低木は跡形もなかったりする。私が以前活動していた箱根でも、数十人のパークボラン

高知でのフォレスターギャザリング③

高知県本山町での森林活用、今の時点で振り返ると、自分が凡庸なアイディアしか出せなかったことに悔いが出てきた。もっと尖ったものが必要で、それが可能な気がしてきたのだ。清水の流れる水路を辿りながら登る山は、至るところ美しいコケに覆われている。きっと水を好む生き物が沢山いるだろう。そして、道は急だが比

茨城県境町で社会デザインを学ぶ

昨日までは高知の中山間地域で森の活かし方を探り、今日は茨城の境町で社会デザイン研究のゼミ合宿に参加。前者では地域おこし協力隊が大きな役割を果たしていたが、今日は北関東で、外食産業が公金を活用して人口の少ない場所で飲食店を出店・運営するケースが増えているのを知った。どちらも税金が投入されていて、シュリ

高知でのフォレスターギャザリング②

特急南風に乗って高知を後にし、瀬戸大橋を渡って岡山へ。新幹線に乗り換えて家路はまだ遠いけれど、心地よい疲労感に包まれながらこれを書いている。年に一度、各地を巡って開催されている自称フォレスターの集まりは、今年も大きな学びと再会の喜び、自分を叱咤する刺激を与えてくれた。参加者は開催地に来る前に、4

高知でのフォレスターギャザリング①

林業・建築・バイオマス、それを連携させることが日本の森林をめぐる課題の解決につながると信じて活動しているが、私はいずれの専門家でもなく、実践者ですらない。それでもできるだけ多くの知識を得て、関係者と出会い、具体的に何かを動かすビジネスや運動に繋がる種を探し、育てたいと思っている。今日と明日は高知

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