文月ブログ

サンゴ礁を作った森

広大なサンゴ礁を作ったのは太古の森。そんな心惹かれる学説を知った。オーストラリアの東海岸に2千キロにわたって続くグレートバリアリーフ。世界最大のサンゴ礁で、太平洋の荒波から海岸を守ってくれていることから、大きなバリアという名がついている。
 美しく海洋生物の宝庫である貴重なサンゴ礁だが、繰り返し大規模な白化現象に見舞われ、消滅への危機感から国をあげて保護活動が続けられている。長年の研究で、サンゴの白化は海水温の上昇によるもの、サンゴを食い尽くすオニヒトデの大発生は、洪水によって耕地の化学肥料の成分が海に大量に流れ込むことが原因といったことが突き止められた。最近では農場主の中にも、サンゴを守るために行動を起こす人々が増えている。沿岸でサトウキビを栽培するある経営者は、農地から流れ出る雨水に化学成分が残らないよう、収穫時に地面に葉を残してフィルターの役目をさせ、農道を草で覆い、敷地の周囲を樹木で囲んだ。人手やお金をかけてでも、自然への悪影響を減らす活動は共感を呼んでいるようだ。
 グレートバリアリーフに近い東海岸には、世界で最も古い森の一つという森林がある。下に固い岩盤があるので土壌が薄く、分解された落ち葉などの有機物は川を伝って海に流れ込む。サンゴ礁の広がる海域の外側は深い海溝になっており、対流によって底からも豊富な栄養素が沸き上がる。そんな場所だからこそ、類まれなサンゴ礁が形成されたのだという。
 生物達が長い時間をかけて作ってきた楽園を守ること、それは私達が自然とうまく折り合いをつけて生きる方法を見つけ、実践することを通して、私達自身を破滅から守ることにつながるだろう。

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